11月21日(日曜日)。⛅🌤⛅。日曜日だというのに、今日もガソリンスタンドは朝から大盛況。へえ、まだガソリンがあるんだぁと感心していたら、ランチの頃にはスタンドの周囲に黄色いテープが張られていた。とうとう地下の貯蔵タンクが空っぽになってしまったらしい。郊外へ行く途中にあるニューウェストでは、場所を知っているだけで5カ所、私たちの普段の徒歩圏内だけでも3ヵ所あるけど、バンクーバーは人口の割にはガソリンスタンドが極端に少ないので、すでにどこも品切れらしい。それにしても、テープが張ってあるのに車を乗り入れて、しばらくして回れ右で出て行く車のなんと多いこと。看板の価格だって消えているんだから、通りすがって「あ、ないんだ」と思いそうなもんだけど、アプリで確認でもしているのかな。仮想現実じゃない本物の現実には対応できないって人が増えたのかなあ。
ガソリンを入れられるところを探し回って走りっている間にタンクのガソリンをどんどん消費するわけで、結局どこも品切れだったら骨折り損の何とかだなあと半ば同情しつつ、出かける用がない今日なぜか中断していた旅の写真の整理。ローマを出てから2つ目の寄港地はイタリアン・リヴィエラのポルトフィーノ。今はおしゃれなリゾートだけど、元々は漁村だそうで、小さな入り江に面した小さな広場(ピアツェッタ)を囲むように絵のような建物が並び、マリーナにはセレブが持っていそうな大型クルーザーやスーパーヨット。クルーズ船が接岸できる場所がないので、沖に錨を下ろした船からテンダーと呼ばれる補給船(緊急時は救命ボート)で入り江の端の船着き場へ。
入江を形作っている岬がぐっとくびれるところにあるサンジョルジョ教会を目指して細い坂道をてくてく。その狭さと来たら、人間がすれ違うのがやっとなんだけど、両側の高い塀の中は古くからある住宅。住んでいるのは富裕層だろうけど、車で上がれないところでは不便じゃないのかなと思ったけど、開いていた門から家の裏の斜面に庭があるのが見えたので、そっか、下に車庫があって階段か何かで下りて行くようになっているのかもしれないと納得。門に自転車を立てかけてあったのにはびっくりしたけど。
ガイドさんが指さした「絵に描いた窓」。ピアツェッタに面した建物の窓も良く見ると絵に描いたものが多い。昔、昔のこと、窓に税金をかけたお殿様がいて、住人はそれはたまらんと実際に開けられる窓の数を最小限にして税金を減らし、後は壁に窓の絵を描いて体裁を保ったんだそうな。税金を逃れたいのは今も昔も洋の東西を問わず同じってことだな。
岬がぐっとくびれたところにあるサンジョルジョ教会は12世紀創建だそうで、両側が海にすとんと落ちるような崖。重機も何もない時代に、こんなところにどうやって建材を運び上げたんだろうな。(他の寄港地でも中世の城塞や教会を見るたびに同じことを言っていたワタシ・・・。)
丘の上にそびえている塔はカステロ・ブラウン(ブラウン城)。ローマ時代の紀元前に作られて何度か改装された末に廃墟になっていた城砦を19世紀にイギリス領事が買ってヴィラに改築して住んだところで、イギリスの小説家エリザベス・フォン・アーニムは後に映画化された『Enchanted April』(『魅せられて四月』)をここで書いたんだって。(映画もここでロケをしたらしい。)現在は市の博物館。
教会から岬の突端にあるポルトフィーノ灯台へさらに細くなった道をてくてく。マリーナに来る途中のテンダーから見えていた白い灯台で、100年ほど前に作られて今でも現役。沖には目が覚めるような青い海に揺られて待っている真っ白なシルバーシャドウ号。鈍い青緑色の海を見て育ったワタシには、地中海ブルーはほんっとに息を呑むような強烈な青。灯台のすぐそばにあるレストラン/ラウンジは人気スポットらしい。ピアツェッタから歩いて30分もかからないし、坂道だから少々顎は出るかもしれないけど、冷たいカクテルを片手に眼下にポルトフィーノを眺めるのはさぞかしゴージャスな気分だろうな。
ピアツェッタに戻って間もなくテンダーがお迎え。坂道を上ったり、下りたりで、何日分ものウォーキングをまとめてやったような気分。船に戻ったら、まずはランチ。私たちのお気に入りのLa Terrazzaは夜は予約制だけどランチタイムにはバフェになって、何を食べようかなあとずらりと並んだご馳走を眺め渡すのが楽しい。今はコロナ防止策で自分で取らせてもらえなくて、あれ、これと指さしてはお皿を差し出して載せてもらう仕組み。今日のランチはサラダと巻きずし。握りをころんっとお皿に置いてくれたハンサムなお兄さんが「ワサァ~ビを付けますか」とスプーンにいっぱい。午後はキャビンでのんびり過ごすのもよし、海風に吹かれてデッキを散歩するのもよし。やっと実現したバケーションなんだもの。