リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

寄付集めのキャンペーンガールになった日

2022年07月19日 | 日々の風の吹くまま
7月18日(月曜日)。☂☁⛅☀。月曜日、だよね。何となく雨っぽい朝だけど、今日は正午にスタンリー劇場に行って、「レガシーサークル」の秋のキャンペーンのビデオ撮りをするので、元気に起きて、元気に朝ご飯。何しろ今年のいわば「キャンペーンガール」なもので、出かける前にインタビューの質問をざっと頭に入れておこうと、エリナーからもらった質問表をながめて、つらつらと答を考えていたら、頭の上でガリガリガリガリ。あ、もしかしてエレベーターの修理工事かな。まさかドイツの工場みたいな仕事はしないと思うから、予定通りに今週いっぱいで終わるかな。故障して止まってからもう5ヵ月だもんね。

バンクーバーのお屋敷町ショーネシーに路上駐車して、ウォーキングの代わりに劇場まで下り坂をてくてく。劇場ではエリナーと学生インターンのアメリアがロビーで待っていて、さっそくステージの上でインタビューの準備。まだ『Kinky Boots』の上演中なので、靴工場のセットがそのままになっていて、その前に椅子が3つとカメラ。アメリアから渡されたマイクのレシーバーをポケットに入れて、マイクを着ていたチュニックの下を通して、アメリアに襟元に固定してもらって準備完了。なるほど、こうするとビデオには胸元の小さなマイクしか映らないよね。マイクがオンになっているのをサウンドテクニシャンのトレヴァーが確認して、私たちはカメラの外に座ったエリナーと向き合って、2つ並んだ椅子に座って、インタビュー開始。カメラを操作しているアメリアにカメラの方は見ないように言われているので、リラックスした感じでエリナーとの「対談」。

キャンペーンの主旨は「未来への贈り物」だから、インタビューの焦点も「Arts Clubへの遺贈を決めたきっかけは?」という質問。すべて互いが自動的に相続する設定にしてあったし、子供もいないからと遺言書を作らずにいた私たちが初めて遺言書を作ったのは戸建てからマンションに住み替えた7年前。売買と登記の手続きをしてくれたのが個人資産の管理を専門にしていて、Arts Clubで親しくなった弁護士のリチャード。移転登記が済んだところで「遺言書は作ってあるの?」と持ち掛けられて、ないと言ったら「2人ともいなくなった後はどうするの」。まあ、後は野となれ山となれ的に考えていたんだけど、遺言書がないと検認裁判所が相続人を決めることになって、手数料をごっそり取られるということで、じゃあ、遺言書を作ろうか。そこでまた2人ともいなくなった後の遺産相続をどうするかを決める段になって、ワタシが思いついてArts Clubにしようと言い、カレシが「うん、そうしよう」。ということで、リチャードが主宰する法律事務所を遺言執行人に指名して、ワタシには家族に等しいArts Clubを唯一の相続人とする遺言書ができあがったという行き当たりばったりの経緯なんだけど、(永遠の)劇作家志望のワタシの頭にあったのは、たとえ奇跡的にでも上演する価値のある作品を残せたとしても、舞台演劇の灯が消えていたらすべての努力がむだになるじゃないかということ。

コロナのおかげで劇場が閉鎖されて、多くの若い才能ある演劇人が活動の場を奪われていたこの2年間はまさにその懸念を具現化したようなもので、キャンペーンでワタシが伝えたかったメッセージは「演劇ファンの中には子供や孫、ひ孫が演劇の道に進もうとしている人たちもたくさんいて、親として祖父母としてサポートするだろうけど、せっかく開拓した才能の花を開かせる舞台がなければどんな努力も報われないわけで、未来の世代のために劇場の灯を私たちの世代が守らなければならない」。それがレガシーサークルの存在意義なわけだもの。インタビューの後は、ワタシとカレシはセットの中を歩きながら小道具を手に取ったり、(板でできている)レンガの壁に触ったり、ボクシンググラブでスパーリングのまねをしたり、しまいにはワタシはブーツを手に取ってちょこっとおふざけをしてみたりと大いに楽しんで、最後はカメラに向かって(かっこよく)お辞儀をして、手を振って、ビデオ撮りが終了。帰りがけに劇場の外でチケット売り場横の『Kinky Boots』のポスターの前でポーズして写真を撮ってもらって、キャンペーンガールの大役(?)を完遂。パチパチパチ。後はアメリアが音声とビデオのいいところ取りをして短いキャンペーンビデオにまとめるそうだけど、どんな風に出来上がるか楽しみだな。


Kinky Bootsの舞台。観客には見えないところまで実に細かくデザインされている



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