The Mastersounds / Ballads & Blues ( 米 World Pacific WLP )
バディ・モンゴメリーは50年代後半から60年代初めにかけてザ・マスターサウンズとモンゴメリー・ブラザーズという2つのグループを併行して
走らせていた。マスターサウンズはM.J.Qやミルト・ジャクソン・カルテットを意識していたようだが、そこからクラシックの要素を取り払い、
ベースをエレクトリックにすることでもっとモダンなバンドへと発展させている。
このグループは過度なブルース・フィーリングに溺れることもないし、特定の傾向に偏重することもない。淡麗でスッキリとした口当たりの
洗練された感覚がとてもいい。全体のバランス感に優れていて、聴いた後の満足感は高い。
腕に覚えのあるメンツが集まってざっくりと演奏するセッションではなく、グループとしての演奏なので、全体のバランスを十分意識した
デザインが施されていて、それでいて各人の演奏は闊達でしっかりとしている。よく考えられたグループだと思う。
このアルバムのジャケットは、収録された演奏の雰囲気をうまく表現している。これは静かに雨が降る夜に一人で聴くといい。
そういう情景がよく似合う、いいレコードだ。