



食卓は蔦の絡んだベランダの一段と 高くなっている所にしつらえてあった。 その後ろには丈の高い樅とロンバディーの 杉が、薄い薔薇色と消えて行く 黄色の夕映えの空に向かって伸びていた。 その間から暗い、 サファイアのような入江が見えた。 小さい光の島の向こうに 大きな陰影の塊があった ―― 【「エミリーの求めるもの」 第14章】 |

昨夜から今朝にかけて随分、冷えました。
しかしながら日中は意外にも暖かく、今日も小春日和に。
そんな中、庭の藜(アカザ)がその色を益々、秋色にして来ました。
柔らかく繊細な藜の葉っぱは、光に透けてそれはそれは美しく・・。
虫食いの葉っぱだって例外ではありません。
そこに日が射せば、まるで小さな灯が灯ったようになるのです。
勿論、藜だけではありませんが、厳しい冬に向かうほんの一瞬、
燃えるように色付き、深みを増し、すがれて行くのですね。
季節の恵みを思います。四季のある日本に感謝。



折角ですから、このかそけき葉の下でお茶と致しましょう。
外の方が家の中より余程、暖かいですから。
それに今週末辺りから寒くなるといいますし、
戸外では今日が最後になるかも知れません。

およそ一週間振りですね。
『カフェ「薔薇の詩(ポエム)」』、
開店です。
当然、テーブルクロスも
カップも枯葉色。
藜の花も単体で見れば、
本当に目立たない、控え目な
大人しい花ですが、小豆色の
その花は、いかにも秋らしくて。
これこそ、
「侘び寂(さび)」 の世界。
ある意味、薔薇の華やかさに
勝るとも劣っていませんね。
そうそう、この藜、いつの間にか
野村紅葉(ノムラモミジ)の
中腹まで伸びています。
たった1年で凄い成長。
でも葉を落とせば、幹(茎?)だけ残し、
やがてその姿は消えてなくなります。
見かけは何ともか細い幹ですが、杖にも出来るという、
丈夫なそれは、来年の緑のカーテンの支柱にしましょう。
いずれにしても楽しみです。