きのうは
三ツ星フレンチで
デジュネ(ランチ)を頂いてきた。
40年近い常連で、
お店のHPや広報冊子、
お食事券も作らせて頂いてるので、
本来、二名以上の予約受付だが、
“ぼっちフレンチ”も特別に
させて頂いている。
独りと言っても、
シェフとマダムとは懇意なので、
食事の合間、合間には
歓談をさせて頂き、
少しも退屈することはない。
*
玄関でお迎えされ、
部屋までエスコートされると、
ウェルカム・フラワーと
カルト(メニュー)と
飾り皿のセットされた席に
着座した。
*
「クラポディーヌ」と
「インスピレーション・フレーズ」
という耳慣れぬ単語に
関心を寄せたが、
後でシェフから現物と共に
説明を聞いて、
新たな知見を得た。
*
卓上では
ロマラン(ローズマリー)と
ナルシッス(水仙)の
フルール(花々)が綾なすアロマに
癒されもした。
*
アミューズ(付きだし)は、
ブルターニュ産の
ソーモン・フュメ
(スモーク・サーモン)と
カリリとクリスピーな
パン・グリエ(トースト)が
快適なスターターとなってくれた。
釜揚げシラスと
イタリア産の
水牛モッツァレラとの
組み合わせも面白い味だった。
*
オードヴルは、
サーブル(タチウオ)に
細かいシャペリュール(パン粉)で
カリリと焼き上げたパネ。
レデュイール(煮詰め)した
ヴィネーグル・バルサミク
(バルサミコ酢)のソースが
香り高く、高貴な味にしていた。
敷かれたリー・ソバージュ
(ワイルド・ライス)は
セルクル(丸型)を使われず
自然に均されていたのには、
“スティル・ナチュレル”
(自然なスタイル)
だなぁ・・・と、思わされた。
ガルニチュール(添え物)の
フルール・ド・クルザ(菜の花)も
きちんと塩茹でされ、
仄かな苦みが、いかにも、
“ムニュ・ド・プランタニエール”
(春の一品)
という感じがした。
*
オードヴルは、
英語では「アペタイザー」となるが、
それは、「食欲を増させるもの」
という意味でもある。
グッと食欲が加速した処で、
プラ(メイン・ディッシュ)が登場した。
先の「クラポディーヌ」とは、
シェフに拠れば、
“観音開き”した姿を言うらしい。
フランス人は
その語を聞いただけで、
この形の「焼き鳥」だと
解かるという。
帰宅後、
スマホで調べてみたら、
「焼いた鳥が
ヒキガエル(crapaud/クラポー)に
見える事からその名前がついた」
...とあった。
在京中には
京阪神のフレンチ・レストランで
食したことがある
カイユ(うずら)だったが、
たいがいはキュイソー(腿肉)のみが
品よく、ちんまりと
ドレッセされたものばかりだった。
それが、今回は
一羽丸ごと、ドーンッ!! ・・・である(笑)。
小型の鳥とはいえ、
開かれてみると
胸肉、手羽先、腿肉と、
けっこうに食べでがあった。
アブリュシオン
(ablutions/フィンガーボール)
も用意されたので、
途中からは、手づかみで
ワイルドに噛みついた(笑)。
先月のピジョンは
血の滴る赤身だったが、
カイユは白身系で
やはりプーレ(鶏)に似た
味である。
カルトには、単に
「赤ワインソース」とあったが、
なんと! トリュフのアッシェ(刻み)が
艶冶な香気をたちのぼらせ、
「ソース・ペリグー」
(ペリゴール風トリュフ・ソース)
と言ってもよかったくらいである。
ガルニの
プュレ・ド・ポム
(馬鈴薯のプューレ)も、
カイユの相の手として
申し分なく、
まさに「メインディッシュ」に
相応しい逸品であった。
車で出かけたので
アルコールは飲めなかったが、
この料理なら
『ムーラン・ナヴァン』なぞを
マリアージュさせてみたかった。
*
デセールには
初めて見る『ヴァローナ』の
「ショコラ・フレーズ」(苺チョコ)
を用いたガトーが供された。
『インスピレーション・フレーズ』
というのは、
その商品名だという。
1922年に、
フランスのローヌ地方で
創業されたヴァローナは、
世界のトップ・パティシエたちが
愛する「グラン・ショコラ」として
名高い逸品を産している。
素材も1ケ添えられていたので
味見してみたが、
やはり、日本のメーカーの
苺チョコとは一味ちがった
洗練された仕上がりになっていた。
珍しい温製の
『グラタン・ド・フリュイ』
(フルーツ・グラタン)
は、まったり、はんなり・・・
な“お味”でおました(笑)。
*
コースの〆は、
苦みの効いた
エスプレッソ。
ミニャルディーズ
(茶菓子)
も、一品一品が
焼きたて、出来立てのもので、
それはやはり美味しいものである。
*
珈琲をすすりながら、
手元のスマホで
「ボージュ」を検索してみたら、
フランスの北東部にあたり、
いわば「東北地方」だわ・・・と、
なんとなく親近感がもてた(笑)。
しかも、
詳細図にしてみたら、
なんと! 古楽器の
「19世紀ギター」の生産地名である
「ミルクール」はその地にあったとは、
初めて知った。
そのレプリカ楽器である
『グローヴェル』というのを
かつて所有していたので、
その土地産の鶉を頂き、
なんだか不思議な地縁を感じた。
*
「お土産」に、
マダムが畑で栽培している
珍しい「ジューンベリー」の
コンフィチュール(ジャム)を
頂戴した。
家に冷凍パイ生地があったので、
フィリングにして
珍しい「ジューンベリー・パイ」でも
創ろうかしらん・・・と、思った。
*
来月は、久しぶりに、
「リー・ド・ヴォー」
(孔牛の胸腺肉)
のスペシャリティをオーダーし、
予約を入れさせて頂いた。
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