
近所の駐車場の梅が
ほころびはじめたので
一枝失敬してきた。
「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」
というが、以前に、
この樹の所有者が
ばっさり大木の枝を切っていたのを
いただいてきて
茶室に活けたことがある。
部屋中、高貴な香りが
充満して陶然となった。
ほんの一輪でも
玄関を通るたびに
ふと高貴な梅の香りが漂い
春爛漫の気分になる。

昨日は家にいるのが
もったいないくらいの陽気だった。
パソコンで執筆仕事をしていたが、
お尻がムズムズしてきたので
近所の青年会館の庭園まで
この春初めての屋外練習にでかけた。
毎年、決まったベンチの
所定の処に腰をおろす。
ちょうどその箇所が
樹の根っこが地表に突出していて
足台代わりになる。
目の前の落葉樹は
まだ葉のない冬木立だが、
「今年もまたお世話になります」
と一言挨拶してから、
小一時間ほど
『カプリッチョ・ディアボリカ』の
集中練習をした。

カミさんの中学校は
昨日が終業式だった。
ネットでこんな画像を見つけ、
「やらせ」なのかもしれないが、
みんなリアル中学生のようなので
大胆だな~と、思いながらも
どこか微笑ましくもある。
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人生随談
奈保子 メロディーとリズムの次に、ハーモニーという点では、感動と関連することはあるでしょうか?
先生 歌でハモると美しいでしょ(笑)。
奈保子 そうなんですよね。メロデイーだけにはない、重厚感というか骨太感が出てくるんですよね。
先生 アカペラで単旋律だけ歌って聴かせることができる歌手って、ものすごく上手な人じゃなきゃできないですよ。
奈保子 そうですよね。第一、そんなことは商業音楽ではありえませんものね。
先生 いや。私は一枚だけ『ワン・ヴォイス』というCDを持ってますよ。むかし、CDを蒐集していたときに、外盤で見つけて珍しいんで買ったんです。
奈保子 どういうものですか。
先生 女性ソプラノで古楽物です。もちろん、薄い感じだけど、それはそれで清澄な感じなんですよ。だから、時々、深夜に聴くことがありましたね。
奈保子 グレゴリオ聖歌は、ハモらせないで、みなユニゾンで朗々と同じメロディーを歌いますよね。
先生 そう。それでいて、教会の残響があるから、神々しく聞こえるんだよね。
奈保子 ルネッサンス期は単旋律ではなく、複旋律でしたでしょ。
先生 そう。ポリフォニーでした。複数のメロディーが複雑に絡み合っていた。
奈保子 ハイドン以降の交響曲はモノフォニーなんですね。
先生 そう。一つの旋律にいろんな楽器がハモらせて厚みをつけているんです。交響というのはシンフォニーでしょ。
奈保子 文字通り言えば、響きを交じらせる、ということですものね。
先生 そうでしょ。モーツァルトなんかには、ごく一部にポリフォニックな部分が使われていたような気がするなぁ。
奈保子 それは、作曲技法としてルネッサンス期の特徴を踏まえて用いたんでしょうかね。
先生 あるいは、そうかもしれませんね。それか、曲の中での必然性でね。
奈保子 バッハの対位法もポリフォニーの一種と言えるんでしょうか。
先生 うーん。音楽学者じゃないから、正確にはどう見るのか解らないけど、ポリフォニックではありますね。
奈保子 フーガは「静かな湖畔の森の影から」で有名な輪唱ですけど、あれはメロディーは一つですものね。
先生 うん。その意味ではモノフォニーだけど、ポリフォニックな効果というか面白さがあるでしょ。不思議なシンフォニック効果があるよね。
奈保子 はい。
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