『人生を遊ぶ』

毎日、「今・ここ」を味わいながら、「あぁ、面白かった~ッ!!」と言いながら、いつか死んでいきたい。

  

墓参り

2020-08-13 05:23:00 | 趣味
彼岸と盆の墓参りを
欠かさないカミさんに
朝早くから連れられて
信夫山の墓苑に赴いた。

自分は毎日、朝晩、
ご神前とご霊前に
ご祈念させて頂いてるので、
ことさら墓参りも
必要に感じてはいないのだが、
カミさんは本家を継いだ嫁の
自覚があるのか、
子どもたちを愛して可愛がってくれた
亡父への思慕があるのか…。




今年、88歳になる老母は
足腰が弱りだした
80代になってからは、
墓所の急こう配の坂が下れず、
カミさんに代参を
頼むようになっていた。

階段と手すりが
整備されるようになったのは、
ここ最近で、
以前はただの下り坂だったので、
うっかり転びでもしたら
山の下まで転落しそうな
ゲレンデ並みの斜度である。




墓参りから戻って
まだ涼しいうちに
手習いを済ませた。

端渓硯で墨を擦ろうと思い、
その前に大鉢に水を張って
久しぶりに
「梅硯」と「雲月硯」の
金線や眼を鑑賞した。

水に浸すことによって
石の模様がクッキリと浮き立ち
地球由来の神秘性に浸るのも
「文房四宝」の楽しみの一つである。

それから、
新たに名水を水盥(すいう)から
水匙で滴下して
ゆっくりと墨を擦る。

端渓硯の表面は
赤ちゃんのホッペのように
なめらかなので、
墨はまるで、
熱したフライパンの上で
バターを持ってこすっているように
抵抗なくスッスッと擦れる。

すると、しだいに
膠(にかわ)の雅(みやび)な香りが
鼻腔をくすぐる。

“墨を擦る”というのは、
ただ墨汁を作る為ではない
ということが、
「銘墨+銘硯+名水」
というエクセレント・トリオが
揃うことで了解できる。

学校の習字や書写で
用いられる
プラ硯に墨汁では、
「書」の深みも楽しみも
教えられるはずもない。

「松煙墨」「青墨」ともに、
京都在住中に
鳩居堂で購入したものなので、
もう30年近く経つ
“古墨”になりつつある。

松煙墨も「青墨系」なので、
この二種を単独で用いたり、
混ぜ合わせたりして
墨色を調整する。

濃墨では青味が感じられないが、
極薄墨にすると、
うっすらと青さが見られる。




手本の『茶掛の禅語』から
【秋水共長天一色】
を選んでみた。

秋の水の色と
秋晴れの空の色は
共に同じものである…
という意味だが、
禅語なので、真意は、
「不二一如」ということである。

いろいろと下書きして、
デザインを考え、
楷書と行書を細字にして、
水色と空色の「蒼と碧」を
顔彩で添えて、
ナッちゃんの観葉植物の
枯葉を一枚貼り付けて、
落葉が落水する様に見立ててみた。

今日は、
これを色紙に表具する。

そうすると、
裏打ちされて
文字がもう一段クッキリと
浮かび上がって見える。

長月(9月)の
茶室か玄関の室礼の改めで
これを飾ろうと思う。


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