写真はモンルンの中国科学院シーサンパンナ熱帯植物園にて。見事な蘭の花は園芸用のものだが(写真上)、野生の蘭が生えるところの下には水脈があるなど、じめっとしている(写真下)。コケのように樹木に寄生して、栄養を吸い取って生えるので、木が弱るのだと、研究員は話していた。
【雲南の東端にこんにゃく研究所】
さて、中国では、各省や大学単位でそれぞれに有用作物の研究所が設けられているが
(天津の南開大学ではきゅうり研究所、黒竜江省ではお米、といったように)
雲南では昆明植物研究所や雲南農業大学など数カ所に魔芋研究所が2000年に設けられ、こんにゃくに関する論文を発表し続けている。
なかでも注目株なのが雲南省農業科学院系列の富源県魔芋研究所だ。
曲靖市の東方に位置する富源県は、元、明の時代以来、貴州省から雲南へ入る際に必ず通る道の雲南側の第1の関所があった交通の要所だ。雲南と中原を結ぶ西部ルートの主要道上にあり、日本の人類学者・鳥居龍蔵も1902年に貴州省、雲南省の調査に入った際に通っている。
雲南ハムの産地として知られる宣威市よりつらなる山脈により雲南省と貴州省の境をなす雲貴高原の東端にある。
この小さな県には国家以下が保護する森林区が18カ所あり、雲南の名花といわれるサザンカ、ツツジ、蘭の花が自生する。深い渓谷があるので、標高の低いところでは亜熱帯気候になるなど、複雑な気象条件となっているだめだ。このような環境なので、当然、こんにゃくも自生し、昔から地元の少数民族が作物として利用していたようだ。
だが、中国の大多数を占める漢族にこんにゃくを食べる習慣はほとんどなかった。
風向きが変わったのが2000年。中国や日本のダイエットブームに乗ろうと産業化を開始し、
2004年には3.6万畝(2400ヘクタール=24平方キロメートル)、
2007年には8万5000畝(約5700ヘクタール)
と急カーブに作付面積を増やし、
2008年には10万畝(約6700ヘクタール)、20万トンの収量と2.8億元の収入をもたらすほどの主要経済作物へと成長を遂げた。
その多くはこんにゃく玉消費・世界一を誇る日本への輸出向けとなっている。(世界の消費量の95%を日本が占めている。そもそもこんにゃくを食べる国は日本、中国、ミャンマー、韓国などアジアの数カ国のみなのだそうだ。1988年度には輸入の大半は韓国からだったが、その後22年間のうちに、輸入こんにゃくの90%以上が中国産となっている。〈財務省「貿易統計」、日本こんにゃく協会〉) (つづく)
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