上の写真ジブラルタル、ターリウ山頂のサル。娘のホカロンを器用に剥いていく。このあと、わらっちゃうほど、まずそうな顔をした。
【近くて遠いジブラルタル】
モロッコ行のチケットは取ったので、次にもう一つの目的、ジブラルタルを目指します。 アルヘシラスに日中、空いている食べ物屋がなかったので(ホテルの従業員までウーバーで食事を届けてもらっていた・・。)ホテルに戻ってカディスで買ったパエリアと焼きイベリコ豚とポテトで昼食を済ませ、2時50分発のジブラルタル行のバスに飛び乗りました。毎時2本程度出ているバスは、街の人で混雑気味。
窓の外をみると、ちょっと気取ったナポレオン帽のような白い岩の塊ジブラルタルの山が海に浮かんでいました。それは目の前なのに、じれったいほど近づかないのです。深く湾曲したジブラルタル湾をCの形に移動するため、直線距離は9キロなのに23キロ以上も乗ることになり、結局、1時間を費やしたのでした。
ジブラルタルは大西洋と地中海をつなぐジブラルタル海峡に突き出た岩の塊からなる岬。右も左もスペインなのに、なぜかここだけイギリス領。
スペイン王位継承戦争のどさくさでイギリス軍が占領し、外交の力で1713年にユトレヒト条約によって国際的にお墨付きを得たというスペインにとっては忸怩たる思いの土地。
つまり、ジブラルタルに行くためには国境を通過しなければならないのです。国境はバスから歩いてすぐ。800メートルの緩衝地帯に小さな小屋のような検問所がありました。大勢の人がパスポートを持って並んでいます。どれだけ待つのだろうと思っていると、さっとパスポートを見るだけであっさり通過できました。
【ターリウ山のサル】
まずは遠くからでもみえたターリウ山のロープウェーへ。たくさんの観光客とともに山頂で降りると、野生の猿がお出迎えしてくれました。聞くところによると、ヨーロッパ唯一の野生猿の生息地なのだとか。
クリクリ髪の金髪の女性が目を細めて愛らしく「キュート!」と叫ぶやいなや、サルが近づいて、あっという間にお菓子の袋を取り上げてしまいました。帽子を取られた恰幅のいい男性は唖然。別の男性は背負っていたリュックサックのファスナーを開けられ、ペットボトルの水とTシャツを取られ、それらをポイっと投げ捨てられていました。弱り目に祟り目で、サルになにもなかったかもように肩にまでよじ登られ「オーノー」と無抵抗のポーズ。その上を行ったのは彼の連れの女性で、びっくりしている男性を写真に収めて、「グッド」とウインクするたくましさ。
うちの娘も、のリュックサックからはみ出ていたホカロンをスルリと取られました。サルはお菓子とでもおもったのか、慣れた手つきで器用に赤いビニール袋を破って、ホッカイロを取り出すとガブリ。ようやく食べ物ではないと気づいて、放り投げたのでした。
この手荒い一連の歓迎レセプションは5分ほどで終わり、あとはなにごともなかったかのように寝そべったり、サルどうしでふざけたり、ノミ取りしたりと、動物園のサル山とかわらない行動に落ち着きました。その変わり身の早さといったら。
9世紀までにアラブの人によって持ち込まれたそうなので、彼らのほうが、よっぽど古顔ではあるのですが、山に上がったら、ご注意を。
(つづく)
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