大英博物館近くのお店。大英博物館の「マンガ展」のポスターや萩尾望都が描く表紙の「月刊flowers」、「となりのトトロ」のトトロと「千と千尋の神隠し」のカオナシが一つの絵になった原画風のものなどが浮世絵とともに売られていた。
【日本ギャラリー】
中国や日本のものの展示には目を見張るような展示はありません。日本だとやはり浮世絵などの紙が中心となるのか退色を心配してるのでしょうか。せいぜい漆器や陶器が目を引く程度です。しかもアジアの一部としてざっくりと。
軽い失望を感じつつ日本などの展示の上階に向かって古めかしい石の階段で上がると、「三菱商事日本ギャラリー」というポスターが目に入りました。やはり無料の展示室で、三菱商事が出資している部屋とのこと。ずいぶんと落とした照明のなか、戦国時代の甲冑や喜多川歌麿の遊女をモチーフにした肉筆画などが展示されていました。いかにも欧米人が思い浮かべる「ザ・日本」の部屋。解説もほとんどなく、やはりざっくりとしています。
【(日本の)マンガ展】
ただ、ちょうど日本のマンガを取り上げた「The Citi exhibition Mangaマンガ」展が開催中でこちらが大いににぎわっていました。特別展会場は有料で、この展示会は19.5ポンド、とウインブルドンの入場券15ポンドよりお高めでしたが、入ってみました。入口のポスターはゴールデンカムイのヒロイン・アシリパが毅然と遠くを見つけている絵。
当時はゴールデンカムイのマンガを私自身読んでいなかったので、アシリパの絵を見て「新しいマンガが中心なのかな」くらいしか感慨はありません(帰国後しっかりと見ました。アイヌ文化の部分がおもしろくて、いまや小学生も「熊とは食べるんだぜ。ゴールデンカムイでみた」などと食育にも役立つマンガになっています。)
展示は暗い照明の中、日本の有名マンガが展示され、文化としてわかりやすく流れを追った展示となっていました。コマ割りをどの順番で読むか、といったマンガに慣れ親しんだ人には空気のような作法に英語で解説がされていると、なんだかくすぐったいような気持ちに。
手塚治虫『新宝島』『鉄腕アトム』、鳥山明『ドラゴンボール』、石森(石ノ森)章太郎『サイボーグ009』などおもに少年マンガを中心に構成。さらに浮世絵(春画含む)の展示や圧巻は河鍋暁斎の作品《新富座妖怪引幕》(1880年)。デフォルメされた妖怪が決め顔でこちらを向くカラーの筆画で、妖怪らは当時、活躍していた歌舞伎役者がモデルとなったいかにもマンガ的な芝居小屋の幕の絵です。いろんな関連からルーツを探ってくるなアと面白くみました。
マンガから派生した文化として、コスプレやガンプラなどのプラモデル、ポケモンゲームなどもきちんと展示されていました。
2019年というタイミングでのこの展覧会は日本のマンガの爛熟期をあらわすにはちょうどいい時期の展覧会だったと今は思います。
(つづく)
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