写真は雲南から東南アジアや沿海地域、チベット高原を越えて北京などに馬の背に乗せて運搬するときの荷台。荷台の前方から固めた塩、器、漢方などの植物系がくくられている。
馬の左右に等分に荷物を振り分けることと、しっかり固定させることが重要。(大理近くのかつての茶馬古道の要衝の地・雲南駅の茶馬古道博物館にて撮影(2005年2月撮影)
【日本、オーストラリアが輸出の中心】
以前にも書いた通り、中国の販売会社の方では広告に精通しているだけに、突っ込みどころはなく、由来もなにも不確かなところはすっ飛ばして、野坝子(ヤハシ)のハチミツの白く固まったものの商品に「皇蜜」という名をつけただけでした。
製品の希少性だけで十分、商品価値があると見ているわけです。ほかのヤハシ蜜を扱う中国の広告も、やはり「硬蜜」と書かれています。
雲南北部のシャングリラのハチミツ会社のホームページには、日本の市場では、ニュージーランドのマヌカハチミツと同等の効能があるとして、高値で売られていて、「精霊の蜜」「皇蜜」と呼ばれる栄誉を受けている、と書かれていました。
ちなみに2週前にお伝えした蜜語蜂業科技開発有限公司の「皇蜜」の一番の取引相手は日本とオーストラリアとのことです。
(珠江網〈雲南省曲靖市の新聞記事〉、2014年6月8日よりhttp://news.zjw.cn/html/2014/qujingxinwen_0608/121038.html)
【ヤハシ蜜の特性1】
ここしばらく「ヤハシのハチミツ・皇蜜」について書いていたところ、成分についての質問をいただきました。
各販売会社は「ヤハシという蜜源植物自体が、特殊な成分を含んでいる」(薬蜜本舗http://www.yakumitsu.jp/pdt/koumitsu/)というだけで、何が、どうほかと違うのかはまったく触れられていません。そこで独自に調べてみました。
まず、ヤハシ(野坝子 Elsholtziarugulosa Hems L.)は学名で調べると、どうやら中国西南部の四川、貴州、雲南、広西などに分布するのみの植物であるということ。
とくに雲南中北部地域に集中していることがわかりました。この植物は昔からその地方に住む彝族、白族、納西族、苗族、リス族などで幅広く薬として用いられていて、風邪や咽頭炎、消化不良、腹部膨満感、下痢、急性腸炎、潰瘍、中耳炎などに幅広く用いられていたそうです。
明の成化5年(1465年)浙江省の「遊龍商人」や江西省の「安福商人」のグループが共同で楚雄の姚安県に入植して、農地の開拓を始めています。
彼らの得意な分野が漢方(明末清初の人・顧炎武《天下郡国利病書》より)。
おそらく、このあたりの特産品としてヤハシも入っていたことでしょう。その漢方は中国各地だけでなく、日本、フィリピンにも交易路を持っていたということですから、日本にも当時、伝わっていたのかもしれません。 (つづく)
馬の左右に等分に荷物を振り分けることと、しっかり固定させることが重要。(大理近くのかつての茶馬古道の要衝の地・雲南駅の茶馬古道博物館にて撮影(2005年2月撮影)
【日本、オーストラリアが輸出の中心】
以前にも書いた通り、中国の販売会社の方では広告に精通しているだけに、突っ込みどころはなく、由来もなにも不確かなところはすっ飛ばして、野坝子(ヤハシ)のハチミツの白く固まったものの商品に「皇蜜」という名をつけただけでした。
製品の希少性だけで十分、商品価値があると見ているわけです。ほかのヤハシ蜜を扱う中国の広告も、やはり「硬蜜」と書かれています。
雲南北部のシャングリラのハチミツ会社のホームページには、日本の市場では、ニュージーランドのマヌカハチミツと同等の効能があるとして、高値で売られていて、「精霊の蜜」「皇蜜」と呼ばれる栄誉を受けている、と書かれていました。
ちなみに2週前にお伝えした蜜語蜂業科技開発有限公司の「皇蜜」の一番の取引相手は日本とオーストラリアとのことです。
(珠江網〈雲南省曲靖市の新聞記事〉、2014年6月8日よりhttp://news.zjw.cn/html/2014/qujingxinwen_0608/121038.html)
【ヤハシ蜜の特性1】
ここしばらく「ヤハシのハチミツ・皇蜜」について書いていたところ、成分についての質問をいただきました。
各販売会社は「ヤハシという蜜源植物自体が、特殊な成分を含んでいる」(薬蜜本舗http://www.yakumitsu.jp/pdt/koumitsu/)というだけで、何が、どうほかと違うのかはまったく触れられていません。そこで独自に調べてみました。
まず、ヤハシ(野坝子 Elsholtziarugulosa Hems L.)は学名で調べると、どうやら中国西南部の四川、貴州、雲南、広西などに分布するのみの植物であるということ。
とくに雲南中北部地域に集中していることがわかりました。この植物は昔からその地方に住む彝族、白族、納西族、苗族、リス族などで幅広く薬として用いられていて、風邪や咽頭炎、消化不良、腹部膨満感、下痢、急性腸炎、潰瘍、中耳炎などに幅広く用いられていたそうです。
明の成化5年(1465年)浙江省の「遊龍商人」や江西省の「安福商人」のグループが共同で楚雄の姚安県に入植して、農地の開拓を始めています。
彼らの得意な分野が漢方(明末清初の人・顧炎武《天下郡国利病書》より)。
おそらく、このあたりの特産品としてヤハシも入っていたことでしょう。その漢方は中国各地だけでなく、日本、フィリピンにも交易路を持っていたということですから、日本にも当時、伝わっていたのかもしれません。 (つづく)
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