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昆明の醤油

2009-05-10 21:51:19 | Weblog
拓東路の醤油直売所にて。(午前10時撮影)

【拓東の醤油】
 昆明百貨大楼などがひしめく中心繁華街より東に伸びる拓東路。いまや近代的なビルがひしめく6車線道路をちょいと曲がった一角に、周囲の雰囲気とは明らかに違うレトロなムード満点の行列があります。

 人々の手に握られているのは、2リットルは入りそうな、もとはサラダ油などが入っていた空のペットボトル。じつは、ここは昔からある醤油工場の直売所。彼らは地元産の拓東醤油を買うために並んでいるのです。朝8時から夕方6時まで連日、その行列が途絶えることはありません。

 今やスーパーにいけば瓶詰でも量り売りでも、同じ内容のものが同じ値段で買えるというのに、間口一間ほどのトタン屋根の小さな直売所に並び続けるというのはどういうことなのか。昆明の七不思議の一つともいわれている怪現象です。地元の新聞でも、そのアナログ的な風景を懐かしむかのようにたびたび、ニュースに取り上げているほどです。

 並ぶ人は、何も近所の人ばかりではありません。バスを乗り継いで来るお年寄りもいれば、オフィス帰りに立ち寄るOLの姿も。お年寄りは「昔からの習慣だから」といい、OLは「安心だから」といいます。

 この小さな店舗だけで毎日1トン前後の売り上げがあるとか。これは拓東醤油の工場生産量の2分の1に相当する量です。街の料理店の看板には誇らしげに
「用拓東醤油」(拓東醤油を使ってます、の意)と書かれていることがありますが、それは街の人の目には「本物を使った旨い店」と映るのです。
 店先でたまり醤油のような黒々とした醤油を、お店の小ビンに移しかえる料理屋の店員さんを何度見たことか。

 値段も、安い。スーパーマーケットで比べてもその差は歴然です。拓東醤油ビン詰め500ミリリットルで2.5元ほど(約40円)。一方、香港産の名ブランド『李錦記』が6元ほど(約90円)、キッコーマン醤油が日本の定価(約300円)そのまま。昆明っ子が誇る名ブランドにして、庶民の味、なのでしょう。

 香りや透明感はないので、冷奴や刺し身などには向きませんが(中国では本来、生食の習慣がないので、その必要ない。)炒めものや煮物には抜群の色あいと風味を発揮します。

 たとえば地元産の山菜とニンニクの炒め物、といったシンプルな料理でも、拓東醤油を使うとアメ色に輝く照りに、ほどよい甘味、ほのかなしょっぱさが醸されて、これぞ中華、といった風情になるのです。  (つづく)

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