写真はメソポタミアの間の入口。メソポタミア関連ははぎ取った石像が中心。今回の主題の古代エジプトの間はすべてが私の感覚と相いれなかったので、写真を撮ることが、私にはできなかった(写真を撮っていいことになっていました)
その後、何回かに分けていった大英博物館で印象的だったものをご紹介しましょう。
大英博物館の常設展示でやはり、すごいのがエジプトや中東、そしてギリシャ・ヘレニズム文化です。19世紀はギリシャの遺跡の多い地域のほとんどがトルコ(オスマン帝国)の版図だったので中東の領域ともいえるのです。大英博物館の収蔵物の多くは侵略の歴史と軌を一にしているので、経緯からいってもそうなります。では、エジプトから。
【古代エジプトの間】
4大文明の発祥の一つ、古代エジプトの展覧会は日本で大人気。私も上野の博物館に 古代エジプトのミイラやかの有名な黄金のマスクを見に行ったことがあります。あれはいつのことだったのかとネットで調べて驚きました。
2,3年に一度の割合で全国を巡回する規模の古代エジプト展が開催されていたのです。しかも大英博物館からだったり、エジプトのカイロ博物館だったり、はたまたドイツのベルリン博物館だったりと様々。私のいった展示会はもはや特定困難なほどの多さでした。
日本では、大勢の黒い頭の先にチラリとみるのがせいいっぱい。しかも暗がりに浮かび上がるような照明です。雰囲気もあいまって、ミイラなどは直視できず、呪いやらロマンやらを想像しながら早歩きして通り過ぎておりました。
ところが大英博物館では全然、違いました。すごい数のミイラがおとなりのお兄さんが
「横に立っていますよ」
レベルで並んでいるのです。古びた木枠にガラスがはめ込まれたケースの中で煌々と電気に照らされたなかで、ずらずらと並んでいるのです。立ち上がった寝袋がいっぱいある感じ。それらは眠る姿勢をとることすら許されません。
日本で私が見た展覧会では、一体のみが薄暗がりの中、うやうやしくお棺のなかで横たわり、お眠りになってらっしゃる感じでした。(私は行っていないのですが)2021年には上野の国立科学博物館で「大英博物館のミイラ展」というズバリ、ミイラに絞った展示会ですら6体だったそう。
また大英博物館は、それほど混んではいないので、ゆっくり見ることができて、写真も撮り放題。この部屋にいると、イギリス人の、死や死体に対する感覚の違いを感じざるをえません。ある意味、展示としては正しいのかも。
この部屋には人だけでなく猫のミイラ、また臓物が入っていた壺やきらびやかな副葬品、何重もの入れ子になったお棺などなどが、白い光の中で雑然と並んでいました。あまりのあっけらかんさにちょっと気持ち悪くなってしまったのでした。
一方、家人は全く平気。これも感覚の違いなのでしょう。
(つづく)
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