石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(8完)

2024-05-10 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0601WorldRank7.pdf

 

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

5.2014年~2023年の軍事費の推移(続き)

(急上昇するウクライナとロシア、上昇の気配示すイスラエルとイラン!)

(1)四つの紛争当事国(ロシア、ウクライナ、イスラエル、イラン)の軍事費の推移

(図http://rank.maeda1.jp/7-G05b.pdf参照)

2022年2月のロシアのウクライナ侵攻に端を発したウクライナ戦争と昨年10月のパレスチナ軍事組織ハマスによる入植地テロ事件に対してイスラエルが陸と空からガザ地区を攻撃したガザ戦争は共に未だ終息の気配を示していない。

 

ここではウクライナ戦争の当事国であるロシアとウクライナ、そしてガザ戦争におけるイスラエルとハマスを支援するイラン、4カ国の国防費の推移を検証する。

 

まずロシアの軍事費は2015年から2021年まで600億ドル台で推移したが、その後2022年、23年は1千億ドル台に急増している。ウクライナの場合はさらに大きな変化を示しており、2014年から2021年までの8年間、同国の軍事費は30~60億ドルに過ぎなかったが、2022年には一挙に412億ドルに急増、2023年にはさらに648億ドルに増加、2021年以前の10倍以上の水準に達している。

 

この結果、2023年の世界ランクを見ると、ウクライナは軍事費総額で世界8位、一人当たり軍事費は6位、GDP比率及び歳出に占める比率は世界1位となっている。因みに武器の輸出入ではウクライナは2021年までは世界有数の輸出国であったが、2022年以降は輸出が激減した一方、輸入は急増している。

 

イスラエルとイランについてはガザ戦争が昨年10月に始まったばかりであり統計上に顕著な増加は認められないが、過去10年間の推移を見ると、イスラエルは2014年の177億ドル以降漸増しており、2019年に200億ドルに達し、2023年の軍事費は275億ドルである。またイランの場合は2014年から2018年まで年間100億ドル台であった軍事費は2020年に33億ドルまで減少している。しかしそれ以降は再び増加する傾向にあり2023年の軍事費は103億ドルに達している。今回のガザ戦争でイランは初めてイスラエル本国に対しミサイル或いはドローン攻撃を行ったが、それ以前からレバノンのヒズボッラー、イエメンのフーシ派、イラクの非政府軍事組織などに軍事支援を行っており、最近のイランの軍事費増加の要因の一つであることは間違いないであろう。

 

ガザ戦争の今後の動向は未知数であるが、事態の展開によってはイスラエルとイランの軍事費が増加すると考えられる。

 

以上

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(7)

2024-05-09 | その他

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http://mylibrary.maeda1.jp/0601WorldRank7.pdf

 

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

(10年前に比べ中国、インドは1.6倍、日本は10%増!)

5.2014年~2023年の軍事費の推移

 ここではまず米国、中国、インド及び日本の4カ国の過去10年間の軍事費の推移を比較し、次いで現在進行中の二つの熱い戦争、すなわちウクライナ戦争及びパレスチナ戦争について、それぞれの紛争の当事国と言えるロシア、ウクライナ、イスラエル及びイラン4カ国の軍事費の増減を比較検討することとする。

 

(年平均6%の高い伸びを示す中国とインド!)

(1)米中印日各国の軍事費の推移

(図http://rank.maeda1.jp/7-G05a.pdf参照)

 日本と米国、中国及びインド4カ国主要国の過去10年間(2014年~2023年)の軍事費の推移を比較すると、2014年の軍事費は米国が6,478億ドルで最も多く、これに次ぐのは中国の1,821億ドル、インド509億ドル、日本469億ドルであった。4カ国の順位はその後10年間変わっていないが、日本とその他3カ国の格差は拡大している。

 

米国の軍事費は2014年以降2017年までは横ばいの微減状態であったが、その後は年々増加し2021年には8千億ドルを超え2023年には9千億ドルを超えている。この間の年間平均増加率は4.1%であった。これに対して中国の軍事費は年平均6.3%増加、2017年には2千億ドルを突破、2022年は2,964億ドルと10年間で1.6倍に増加、米国との格差も3分の1に縮小している。

 

インドも中国とほぼ同じ割合で増加し2014年の509億ドルから2023年には1.6倍の836億ドルに増加しており、世界順位も米国、中国、ロシアに次いで4位に上がっている。

 

これら3カ国に対して日本の軍事費は横ばい傾向にあり、10年間を通じて年間軍事費は500億ドル前後の水準にとどまっている。即ち2014年の軍事費は469億ドルであり、その後2020年に514億ドルのピークに達した後、再び500億ドル前後にとどまっている。この結果10年前は世界7位であったが、2023年の世界ランクは10位である。

 

(続く)

 

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日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(6)

2024-05-08 | その他

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http://mylibrary.maeda1.jp/0601WorldRank7.pdf

 

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

(武器輸入額ではサウジアラビアが世界一、日本は世界11位!)

(2) 主要国の武器輸入額(2014年~2023年合計額)

(表http://rank.maeda1.jp/7-T07.pdf及び図http://rank.maeda1.jp/7-G07.pdf参照)

 2014年から2023年までの10か年間の武器輸入累計額は世界全体で約2,850億ドルであった。国別ではサウジアラビアが最も多く同国の過去10年間の輸入累計額は279億ドル、世界全体の9.8%を占めている。輸入国第2位はインドの269億ドル、世界シェアは9.4%である。

 

 第3位はエジプト、第4位カタール、第5位オーストラリア、第6位中国である。中国の過去10年間の武器輸入累計額は111億ドルであるが、前項でも述べた通り同国は輸出額でも世界第5位であり、武器貿易が活発なことを示している。第7位はパキスタンの103億ドルであり、これら7カ国が輸入累計額100億ドル(年平均10億ドル)を超えている。

 

8位から10位はアルジェリア、韓国及びUAEでその額は80億ドル(年平均8億ドル)台である。因みに日本の過去10年間の武器輸入累計額は79億ドル、年間平均8億ドルであり、UAEに次いで世界11位に相当する。日本の場合、軍事費(2023年、502億ドル、第1項参照)に比べ輸入額の割合が小さいのは武器の国産化が進んでいるためと考えられる。

 

(続く)

 

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日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(5)

2024-05-07 | その他

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

6.世界の武器輸出国と輸入国

 ここでは世界の武器の輸出入額を取り上げる。各国の輸出入額は年度によって大きく変動するため、2014年から2023年までの10年間の累計額について比較検討を行う。

 

(世界の4割を占める巨大な武器輸出国―米国!)

(1)主要国の武器輸出額(2014年~2023年累計額)

(表http://rank.maeda1.jp/7-T06.pdf及び図http://rank.maeda1.jp/7-G06.pdf参照)

 2014年から2023年までの10か年間の武器輸出累計額は世界全体で2,850億ドルであり、年間平均では285億ドルになる。国別では米国が際立って多く、同国の10年間の輸出総額は1,080億ドルである。これに次ぐのはロシアの460億ドルであった。世界全体に占める割合はそれぞれ38%及び16%であり、2か国を合わせると世界の武器輸出額の5割強を占めている。

 

 米国、ロシアに次いで輸出額が多いのはフランスの257億ドルであるが、米国あるいはロシアの2乃至4分の1にとどまっている。これら3カ国に続いて10年間の累計輸出額が100億ドルを超えているのはドイツ(169億ドル)、中国(167億ドル)、英国(111億ドル)である。なお次項(輸入額)に触れるとおり中国は輸入額でも世界第7位であり輸出入双方で世界上位10カ国に入っているのは同国だけである。

 

 武器輸出額7位から10位はイタリア、イスラエル、スペイン及び韓国である。上位10か国のうちヨーロッパ諸国が半数を占めており、ヨーロッパは世界的な武器生産地域であることがわかる。なお上位10カ国は戦闘機、艦船、戦車、ミサイルなど高額な兵器を得意としているため輸出額が膨らんでいる。しかし世界の多くの紛争地域では小銃、機関銃、地雷、ロケットなど小型火器が使われている。その意味ではトルコ(輸出総額32億ドル、世界12位)は米国あるいはロシアに比べ金額的には少ないが影響力は小さくないと言えよう。なおトルコは攻撃型UAV(ドローン)の輸出に力を入れているが、このような比較的安価なIT兵器は今後トルコを含めた開発途上国の有力な輸出商品になるものと思われる[i]

 

(続く)

 

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[i] レポート「中東に広まるドローン(UCAV)の開発と軍事利用」参照。

 

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日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(4)

2024-05-06 | その他

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

(歳出の半分を超えるウクライナとベラルーシ!)

4.歳出に占める軍事費の比率

(図http://rank.maeda1.jp/7-G04.pdf参照)

 次に歳出に占める軍事費の比率を見ると、世界1位はロシアと戦争中のウクライナであり、同国は歳出の6割近くを軍事費に充当している。第2位はウクライナの隣国でロシアの友邦国ベラルーシである。同国も軍事費が歳出の5割を占めている。第3位以下はサウジアラビア(24.04%)、ミャンマー(20.68%)及びオマーン(20.66%)であり、上位5カ国の軍事費は歳出の20%を超えている。サウジアラビアの軍事費は金額及び一人当たりで世界5位、GDP比率では世界4位である(1~3節参照)。世界最大の産油国の一つである同国は軍備に金を惜しまない国であることを示している。

 

 その他主要国の比率を比べると、ロシアは世界10位の16.14%、イスラエル14.59%(世界14位)、韓国11.10%(世界24位)であり、世界29位のブルネイ(10.23%)までが10%を超えている。米国の比率は9.06%であり、インドは8.15%、中国4.97%である。上記以外の主要な中東諸国ではイランが13.53%(世界20位)、エジプトは4.15%(世界88位)である(トルコはデータなし)。

 

このような中で日本の比率は2.82%にとどまっており、世界121位と際立って低いのが特徴である。

 

(続く)

 

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日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(3)

2024-05-05 | その他

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

(ウクライナが突出、GDPの37%に達する軍事費!)

3.軍事費のGDP比率

(図http://rank.maeda1.jp/7-G02.pdf 参照)

 各国のGDPに占める軍事費の比率を見ると、世界1位はウクライナであり、その比率は37%である。2位レバノンの8.9%に比べウクライナは突出している。3位以下の国とその比率は次のとおりであり、9位のイスラエルまでがGDP比率5%を超えている。

 

 アルジェリア(8.17%)、サウジアラビア(7.09%)、南スーダン(6.26%)、ロシア(5.86%)、アルメニア(5.45%)、オマーン(5.40%)、イスラエル(5.32%)、ヨルダン(4.91%)

 

 上位の顔触れを見ると中東・北アフリカ(MENA)諸国が多い。これに次いで多いのがウクライナ、ロシア、アルメニアなど中東と隣接したユーラシア地域の国々である。紛争が多い両地域が過大な軍事費を負っている姿が浮かび上がる。中東地域の大国であるトルコ、イラン及びエジプは軍事費総額ではそれぞれ世界22位、26位、52位であるが、GDP比率はイラン2.06%、トルコ1.50%、エジプト0.87%で、世界順位はそれぞれイラン50位、トルコ83位、エジプト118位であり、エジプトは軍事費のGDP比率が世界の中でも低い。

 

その他の主要国を見ると米国は3.36%、韓国2.81%、インド2.44%、中国1.67%などである。日本のGDP比率は1.20%、世界102位であり欧米先進国の中でも最も低い水準にとどまっている。

 

(続く)

 

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日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(2)

2024-05-02 | その他

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

(一人当たり軍事費世界一はイスラエルの2,997ドル、中国は208ドル!)

2.一人当たりの軍事費

(図http://rank.maeda1.jp/7-G03.pdf 参照)

国民一人当たりの軍事費が世界で最も多いのはイスラエルでその額は2,997ドルに達する。(注、カタールは2022年が5,719ドルで世界1位であるが、2023年は明示されていない。) 2位は米国の2,694ドルである。3位はシンガポール(2,195ドル)、4位サウジアラビア(2,052ドル)で、一人当たり軍事費が2,000ドルを超えるのはこの4カ国だけである。

 

5位はクウェイト(1,799ドル)であり、以下10位まではウクライナ、ノルウェー、デンマーク、フィンランド、オマーンの各国である。

 

上位10カ国の顔ぶれにはサウジアラビア、クウェイト、オマーンのGCC3カ国が並んでいる。サウジアラビアを除きいずれも人口が少なく、豊富な石油収入により一人当たりの軍事費が大きい。すでに触れた通り同じGCC加盟国のUAE及びカタールは今回の統計には明示されていないが、両国も人口が少なく、一人当たりの軍事費がサウジアラビアと肩を並べる世界トップクラスであることは間違いないと言えよう。

 

 極東アジアの主要な国は韓国が18位(925ドル)に入っている。またロシアは24位(758ドル)、台湾28位(694ドル)、日本43位(407ドル)である。軍事大国中国の一人当たり軍事費は208ドルで世界55位、インドは58ドルで世界89位である。中東イスラム諸国では、イラン115ドル(世界68位)、エジプトは28ドル(同112位)である。

 

 日本の一人当たり軍事費は407ドルであるが、日本を1とした場合、サウジアラビアは5.0倍、韓国2.3倍であり、一方中国は日本の2分の1、インドは7分の1である。

 

(続く)

 

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日本の年間軍事支出は世界10位:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入(1)

2024-05-01 | その他

(世界ランクシリーズ その7 2024年版)

 

国連などの国際機関あるいは世界の著名な研究機関により各国の経済・社会に関するランク付け調査が行われている。これらの調査について日米中など世界の主要国及びトルコ、エジプト、イランなど中東の主要国のランクを取り上げて解説するのが「世界ランクシリーズ」である。

 

 第7回の世界ランクは、スウェーデンの「ストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research Institute, 略称SIPRI)」のホームページに発表されたデータベースの中からSIPRI Military Expenditure Database及びSIPRI Arms Transfers Databaseを取り上げ、2023年の世界と中東主要国の軍事費、一人当たり支出、GDPに占める比率及び政府歳出に占める割合を比較する。また2014年から2023年までの10年間にわたる各国の武器輸出入累計額についても分析する。

*SIPRIホームページ:http://www.sipri.org/databases 

 

(圧倒的な米国の軍事費、2位中国の3倍、日本の20倍弱!)

1. 軍事費支出の比較

(図http://rank.maeda1.jp/7-G01.pdf、表http://rank.maeda1.jp/7-T01.pdf参照)

 世界で軍事費が最も多いのは米国で2023年の支出額は9,160億ドルである。同年の世界全体の軍事費は2兆3,900億ドルであり、同国だけで世界の38%を占めている。これに次ぐのは中国の2,960億ドルであるが、米国の3分の1にとどまっている。それでも中国の軍事費が世界に占める割合は12%であり、米国と中国二カ国を合わせると世界の軍事費の5割を超える。

 

これら2カ国に続くのがロシア(1,090億ドル)であり、世界全体の5%を占めている。4位から10位までは、インド(836億ドル)、サウジアラビア(758億ドル)、英国(749億ドル)、ドイツ(668億ドル)、ウクライナ(648億ドル)、フランス(613億ドル)及び日本(502億ドル)の各国である。因みに日本の軍事費を他国と比べると、米国は日本の18倍、中国も日本の6倍である。因みに日本に次ぐ11位は韓国(479億ドル)である。また台湾の軍事費は166億ドルで世界21位である。

 

中東の主要国を見ると、サウジアラビアが758億ドル(世界5位)、イスラエル275億ドル(同15位)、トルコ158億ドル(世界22位)、イラン103億ドル(同26位)である。エジプトは中東で人口が最も多く、軍が国家権力を握っているが、経済規模が小さいため、軍事費は32億ドル、世界52位にとどまっている。これはサウジアラビアの24分の1、イスラエルの9分の1である。

 

(注)UAEの軍事費について:

SIPRIの統計ではUAEの軍事費は2014年以降明示されていないが、2014年以前の同国の軍事費はイスラエル、トルコ、イランを上回っており、世界10位前後に位置している。また、後述する通り2014年から2023年までの10年間の武器輸入額は世界10位の規模である。これらのことからUAEの軍事費が世界の上位10位内に入るとみて間違いないであろう。

 

(続く)

 

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IMF世界経済見通し(2024年4月):低成長続く先進国、高成長続くインド(6完)

2024-04-29 | その他

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http://mylibrary.maeda1.jp/0600ImfWeoApr2024.pdf

 

(日本だけが低落し続ける一人当たりGDP!)

6.米独日韓中5カ国の一人当たりGDPの推移(2010年~2024年)

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-04.pdf参照) 

 米国、ドイツ、日本、韓国及び中国の5カ国の2010年から2024年までの一人当たりGDPの推移を見ると以下のとおりである。

 

 2010年の一人当たりGDPは、米国が49,000ドル、日本45,000ドル、ドイツ42,000ドルと4万ドル台で並んでいた。そして韓国は23,000ドルでこれら3カ国の2分の1前後であり、中国は10分の1の4,500ドルにとどまっていた。

 

 その後、米国、韓国及び中国の一人当たりGDPは年々伸び、ドイツは横ばい状態であった。その一方日本のみは長期低落傾向に陥った。この結果、2013年には日本はドイツに追い抜かれ、2015年の各国の一人当たりGDPは米国の57,000ドルに対して、ドイツ、日本、韓国及び中国はそれぞれ41,000ドル、35,000ドル、29,000ドル及び8,000ドルであった。日本は米国の6割にとどまり、一方、韓国の1.2倍、中国の4.4倍であった。そして韓国は2017年に日本と同じ3万ドル台に達し、中国も2019年には1万ドルの大台を超えた。

 

 2020年以降は米国の数値が大きく伸び、ドイツ、韓国、中国も一人当たりGDPが着実に上昇したのに対し、日本のそれは4万ドルを割り2024年には33,000ドルと大幅に下落している。この結果、2024年には日本と韓国の順位が逆転し、また日本と中国の差は2.5倍に縮小している。

 

以上

 

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IMF世界経済見通し(2024年4月):低成長続く先進国、高成長続くインド(5)

2024-04-28 | その他

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http://mylibrary.maeda1.jp/0600ImfWeoApr2024.pdf

 

(韓国よりも低い日本の一人当たりGDPは世界38位!)

5.世界各国の一人当たりGDP

(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-04.pdf参照) 

 一人当たりGDPが世界で最も高いのはルクセンブルグの13万1千ドルであり、これに次ぐのが2位アイルランド、3位スイスである。これら3カ国が一人当たりGDP10万ドルを超えている。

 

 GDP(名目)が世界1位の米国は一人当たり8万5千ドルで世界6位である。そして中東のカタールが世界8位(81,400ドル)に入っている。同国は人口、経済規模ともに世界の小国であるが、天然ガス(LNG)の輸出により一人当たりGDPは米国に次ぐ富裕国である。なお同国は人口の8割以上を占める中東・アフリカ・アジア地域からの出稼ぎ労働者が人口統計に含まれており、一人当たりGDPもこの統計値で算出されている。従ってカタール自国民のみを取り上げれば実際の一人当たりGDPは世界トップと見て間違いないであろう。ドイツとUAEの一人当たりGDPは54,000ドルであり、世界19位、20位に並んでいる。

 

 韓国、日本、中国の極東3カ国の一人当たりGDPはそれぞれ34,000ドル、33,000ドル、13,000ドルであり、世界順位は35位、38位及び72位である。次節に見る通り韓国は今年(2024年)日本を追い抜いた。

 

 カタール、UAE以外の中東の主要国は、イスラエル(53,000ドル、世界22位)、サウジアラビア(33,000ドル、世界39位)、トルコ(13,000ドル、世界75位)、イラン(5,300ドル、世界117位)、エジプト(3,200ドル、世界135位)である。

 

(続く)

 

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