石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

IMF世界経済見通し(2024年4月):低成長続く先進国、高成長続くインド(4)

2024-04-25 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0600ImfWeoApr2024.pdf

 

(低迷続く日本を追い抜くドイツ、インド!)

4.五大国(米中独印日)のGDP推移(2010~2029年)

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-06.pdf参照) 

2024年のドル建て名目GDPが世界上位5カ国(米、中、独、印、日)について2010年以降2029年までの推移を見ると、2010年の米国のGDPは15兆ドルであり、2位は中国6.0兆ドル、日本は3位の5.8兆ドルであった。因みに中国が日本を追い抜き世界2位になったのはこの年のことである。ドイツ及びインドのGDPはそれぞれ3.4兆ドル、1.7兆ドルであり、ドイツは日本の6割、インドは日本の3分の1にとどまっていた。

 

その後2029年までの20年間の推移を見ると、特徴的なことは日本を除く4カ国はGDP総額が増加している一方、日本のみは年々名目GDPが低下しており、2029年に至るも2010年を下回っている(4.9兆ドル)ことである。因みに2010年を100とした場合2024年の各国GDPは、米国191、中国307、ドイツ135、インド235に対して日本は71にとどまっている。中国が2010年当時より3倍以上拡大し、インドと米国も2倍前後、ドイツは1.4倍に拡大したにもかかわらず日本のみは2010年の7割に縮小している。これは対ドル為替レートの変動に一因があると考えられるが、それにしても日本の経済力の低下は著しい。この結果、2023年に日本はドイツに追い抜かれて世界4位になり、さらにIMFの予測では来年(2025年)にはインドにも追い越され、日本は世界5位に転落する見込みである。

 

 各国間の格差について米国を100とした場合のその他4カ国をその指数で見ると、2010年には中国が40、日本は38であり、両国は米国の4割程度の規模で並んでいる。これに対してドイツは米国の2割強、インドは1割強にとどまっている。その後中国のGDPの伸びが米国を上回り2021年には米国の4分の3の規模に拡大している。その後は若干足踏み状態であるが、2029年には米国の7割強と見込まれている。

 

 インドは2010年時点では米国の経済規模の一割にとどまっていたが、その後はGDPが大きく拡大し、2029年には米国の二割弱の規模になる見込みである。ドイツと日本の経済規模も共に拡大する見込みであるが、米国との比較ではドイツが23(2010年)→15(2029年見込)に8ポイント下がるのに比べ、日本は同一期間中に38から14へと大幅に下がると試算されている。

 

(続く)

 

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     前田 高行     〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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IMF世界経済見通し(2024年4月):低成長続く先進国、高成長続くインド(3)

2024-04-23 | その他

(トップは米国、日本は中国ドイツに次いで世界4位!)

3.世界の名目GDP(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-12.pdf参照) 

 2024年の全世界のGDP総額は109兆5,292億ドルと見通されている。トップは米国の28兆7,811億ドルであり、2位は中国の18兆5,326億ドルである。全世界のGDPに占める割合はそれぞれ26%及び17%、両国だけで世界のGDPの4割強を占め、3位のドイツ以下を大きく引き離している。

 

 GDP世界第3位はドイツ(4兆5,911億ドル)、4位日本(4兆1,105億ドル)、5位インド(3兆9,370億ドル)であり、上位5カ国の合計GDPは世界全体の55%を占めている。日本とインドのGDPの差はわずか1,735億ドルに過ぎず、前章で触れた通り両者の成長率に大きな開きがあるため、インドが日本を追い抜くのは時間の問題である(次項参照)。

 

 6位から10位までは英国、フランス、ブラジル、イタリア及びカナダである。因みに上位10カ国の合計GDPは全世界の67%を占め、世界の富の3分の2は世界200カ国強のわずか5%の国が生み出しているのが現状である。

 

 11位のロシア以下20位スイスまでにはオーストラリア(13位)、韓国(14位)の他、中東のトルコ(18位)及びサウジアラビア(19位)が入っており、世界20位までの国々の合計GDPは世界全体の8割強を占めている。

 

 上記トルコ、サウジアラビア以外の中東各国を見ると、イスラエルとUAEが5兆3千億ドルで世界29位及び30位であり、イランは世界35位、エジプトは同43位である。

 

 経済圏で見るとG7構成国の合計GDPは49兆ドルで全世界の44%を占め、EUは同19兆ドルでほぼ中国一国と肩を並べる水準である。また東南アジアのASEAN5か国のGDP総額は3兆5千億ドルであり、中東・中央アジア圏のGDP総額は5兆ドル弱である。

 

(続く)

 

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IMF世界経済見通し(2024年4月):低成長続く先進国、高成長続くインド(2)

2024-04-22 | その他

(高度成長を続けるインド、成長率5%前後に収斂しつつある中国!)

2.主要国の2021-2025年GDP成長率推移(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-05.pdf参照) 

 日本、米国、中国、インド及びサウジアラビア5カ国に全世界を加えた2021年から2025年まで5年間のGDP成長率の推移を見ると以下のとおりである。

 

 まず2021年の実績成長率はインドが9.7%と最も高く、これに次ぐのが中国の8.5%、米国5.8%、サウジアラビア5.1%であり、日本は5カ国の中で最も低い2.6%であった。因みに全世界の2021年GDP成長率は6.5%であり、インド、中国より低く、米国より高かった。

 

 この順位はサウジアラビアを除き5か年を通じてほぼ変わらない。インドの5年間の成長率は、9.7%(2021年)→7.0%(2022年)→7.8%(2023年)→6.8%(2024年)→6.5%(2025年)であり、年々低下する傾向にあるが、2022年を除けば5カ国の中で最も高い成長率を持続している(注、2022年はサウジアラビアが7.5%でインドより高い)。

 

 インドに次いで成長率が高いのは中国である。同国の5か年間の成長率は8.5%→3.0%→5.2%→4.6%→4.1%であり、2022年以外は世界平均を上回る成長率を示している。但しかつてのような高度成長は望めず、長期的には5%前後に落ち着きそうな気配である。

 

 サウジアラビアの成長率は5.1%(2021年)→7.5%(2022年)→▲0.8%(2023年)→2.6%(2024年)→6.0%(2025年)と変動が激しい。同国のGDPは石油が太宗を占めており、世界の石油需要と価格に左右されることが原因と考えられる。

 

 米国と日本はインド、中国よりもかなり低い成長を余儀なくされており、2022年以降は米国は2%前後、日本は1%前後の成長率にとどまっている。両国の5か年の推移を見ると、米国は5.8%(2021年)→1.9%(2022年)→2.5%(2023年)→2.7%(2024年)→1.9%(2025年)であり、日本は2.6%(2021年)→1.0%(2022年)→1.9%(2023年)→0.9%(2024年)→1.0%(2025年)である。

 

(続く)

 

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IMF世界経済見通し(2024年4月):低成長続く先進国、高成長続くインド(1)

2024-04-20 | その他

IMF(国際通貨基金)が「世界経済見通し(World Economic Outlook、April 2024)」(以下、WEO)を発表した。 また付属資料として世界各国及び地域の主要な経済指標を示した「データベース(World Economic Outlook Database)」も同時に公表した。

 

本稿では世界、主要経済圏、主要国の今年(2024年)及び来年(2025年)の成長率を比較し、また前回1月の経済見通し(World Economic Outlook Update)に対してGDP成長率がどのように見直されたかを検討する。さらに主要5カ国及び世界平均の2021年以降の5か年の成長率の推移を比較する。また今年の名目GDP(at current price)及び一人当たりGDPについても併せて検証する。

 

*WEOレポート:

https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2024/04/16/world-economic-outlook-april-2024

*同データベース

https://www.imf.org/en/Publications/WEO/weo-database/2024/April

 

(今年と来年の世界の成長率は3.2%、中国4.6%、前回1月とほぼ変わらず!)

1.2024/25年のGDP成長率(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf参照) 

 今回4月見通しでは今年の世界の成長率は3.2%とされており、前回1月(3.1%)とほぼ変わらない。米国の今年の成長率は2.7%であり、1月見通し(2.1%)より成長が加速すると予測している。因みに来年の成長率は1.9%とされ、今年よりも低下する見込みである。日本の今年と来年の成長率はそれぞれ0.9%及び1.0%の低成長が続くと予測される。ヨーロッパの独は、昨年のマイナス成長(▲0.3%)から今年は0.2%のプラス成長に戻り、来年は日本を上回る1.3%成長の見込みである。しかし1月見通しよりも回復の足取りは重く、依然低成長のままである。

 

 中国のGDP成長率は今年4.6%、来年4.1%であり、来年は成長率が下がる。両年とも1月見通しから変わっていない。インドの成長率は今年6.8%、来年6.5%であり、共に世界平均を2倍以上上回る高度成長が見込まれている。ASEAN5カ国は今年4.5%、来年4.6%であり、中国とほぼ同じである。

 

 ロシアはウクライナ紛争の先行きが見えないものの石油・天然ガスの生産輸出は堅調である。このため同国の今年の成長率は3.2%である。但し来年は1.8%と大幅に下落すると見込まれ、ウクライナ紛争が影を落としている。

 

中東の主要国を見ると、今年の成長率はサウジアラビア2.6%、エジプト3.0%、トルコ3.1%、イラン3.3%でありほぼ世界平均の水準である。来年については4カ国はそれぞれ6.0%、4.4%、3.2%及び3.1%であり、今年と全く逆の序列である。

 

(続く)

 

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伸張著しいUAEと中国-世界と中東主要国の「人間開発指数」(下)

2024-03-21 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0599WorldRank4.pdf

 

(世界ランクシリーズ その4 2023-24年版)

 

(改善著しい中国とUAE!)

2.1990~2022年のHDI指数の推移(図http://rank.maeda1.jp/4-G01.pdf )

 世界トップのスイスと日本、中国及びUAE、サウジアラビア、イランの中東3カ国に全世界平均、アラブ諸国平均それぞれの開発指数について1990年から2022年までの推移を追ってみる。

 

 スイスのHDI(人間開発指数)は1990年ですでに高々度開発国(VHHD)であり、2000年代前半にHDIが0.900を超え、2022年のHDIは0.967に達している。日本の1990年の指数は 0.846で、2010年に0.900を超え、2022年は0.920となっている。

 

 UAEとサウジアラビアを比べると、1990年のHDIはそれぞれ0.717及び0.699であり、UAEはすでに高度人間開発(HHD)段階に達していた。サウジアラビアは中位度開発(MHD)に留まっていたが、1990年代にHHDに仲間入りし、2010年には両国ともVHHDグループになっている。両国は2010年まではほぼ平行線をたどって向上してきたが、2010年以降、UAEのHDIは急速に改善し、2020年にはついに日本を上回った。これに対してサウジラビアは改善の足取りが鈍り、2022年のIndexは0.875にとどまり、UAE(同0.937)との格差が拡大している。

 

 イランと中国の1990年のHDIはそれぞれ0.613及び0.482であり、イランは中緯度開発国(MHD)であったのに対し中国は低度人間開発(LHD)にとどまっていた。しかし両国のHDIはその後大幅に改善されている。特に中国のHDIは0.586(2000年)→0.698(2010年)→0.781(2020年)と、20年間でLHD(低度開発)からHHD(高度開発)に伸長、全世界平均を上回り、イランを凌ぐまでに改善されている。

 

以上

 

 

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伸張著しいUAEと中国-世界と中東主要国の「人間開発指数」(上)

2024-03-19 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0599WorldRank4.pdf

 

(世界ランクシリーズ その4 2023-24年版)

 

国連などの国際機関あるいは世界の著名な研究機関により各国の経済・社会に関するランク付け調査が行われている。これらの調査について日米中など世界の主要国及びトルコ、エジプト、イランなど中東の主要国のランクを取り上げて解説するのが「世界ランクシリーズ」である。

 

第4回のランキングは国連開発計画(UNDP)が発表した「Human Development Report 2023-24」により世界及び中東主要国について人間開発指数の世界ランクを比較した。

 

「Human Development Report 2023-24」について

UNDPの「Human Development Report 2023-24」(以下「HDR2023-24」)では、(1)193の国及び地域の人間開発指数(Human Development Index, HDI)の値と順位が公表されている。

 

UNDP駐日代表事務所のホームページによれば、人間開発指数(HDI)は、保健、教育、所得という人間開発の3つの側面に関して、ある国における平均達成度を測るための簡便な指標である[1]

 

レポート全文(英文):

https://www.undp.org/turkiye/publications/human-development-report-2023

UNDP駐日代表事務所プレスリリース:

https://www.undp.org/ja/japan

 

(日本は世界24位、韓国、米国より下位!)

1.  世界と中東主要国の2023-24年人間開発指数

(表http://rank.maeda1.jp/4-T01.pdf 参照)

 2023-24年の人間開発指数の世界ランクトップはスイスでIndexは0.967である。2位以下5位まではノルウェー、アイスランド、香港及びデンマークである。上位5カ国のうち香港を除く4カ国はヨーロッパの国々であり、また上位3カ国の顔触れと順位は前回(2021-22年)と変わらない。非西欧圏では唯一香港が2回連続して4位に入っている。

 

 日本は世界24位(Index 0.920)であり、前回の19位から5ランク落ちている。日本の順位は韓国(世界19位)及び米国(同21位)より低く、また後述するように中東のUAE(17位)より下位である。このほかロシアは世界56位(Index 0.821)、中国は75位(同0.788)、インドは134位(同0.644)である。これら3か国の前回順位はそれぞれ52位、79位及び132位であり、ロシアとインドは前回より順位を下げたのに対し、中国は逆に順位を上げている。

 

 中東の主要国ではUAEが世界17位(Index0.937)で米国或いは日本を上回っている。同国の前回世界順位は26位、Index0.911であったが今回はIndexが大きく上昇しており、世界の上位20傑に入っている。UAEに次ぐのがイスラエルで同国の世界ランクは25位、続いてサウジアラビアが世界40位とされ、トルコは世界45位である。中東アラブの大国であるイラン及びエジプトの世界順位はそれぞれ78位及び105位である。

 

また世界193カ国中の最下位はソマリアで同国のIndexは0.380である。ソマリアに次いで指数が低いのは南スーダン、中央アフリカ、ニジェール、チャドといずれもアフリカの国々である。

 

なお、レポートではHDI Indexが0.800以上をVery High Human Development(VHHD、高々度人間開発)、Index 0.700以上をHigh Human Development(HHD、高度人間開発)、0.700未満0.550以上をMedium Human Development(MHD、中位度人間開発)、0.550未満をLow Human Development (LHD、低度人間開発)に分類している。日本、米国、韓国、ロシアはVHHD国家群に属し、中国はHDD、インドはMHDに属する。

 

 HDIの世界平均は0.739であり、ここで取り上げた国の中ではインド、及びエジプトが平均を下回っている。またアラブ諸国の平均値は0.704である

 

(続く)

 

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[1] ホームページ:https://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/library/human_development/human_development1/hdr_2011/QA_HDR1.html 

 

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世界と中東主要国の「腐敗認識指数」(下)

2024-02-12 | その他

(世界ランクシリーズ その6 2023年版)

 

2.2023年の世界ランク及び2022年との比較(続き)

(表http://rank.maeda1.jp/6-T01.pdf 参照)

 中東の主要国では、UAEが世界26位と最も高く、米国(24位)と肩を並べる高い評価を受けている。イスラエルは世界33位で韓国並みである。またサウジアラビアは世界53位であり前回とほぼ変わらない。

 

 エジプト、トルコ、イランの中東三大国はいずれもランクが低く、エジプトは世界108位、トルコ115位であり、イランは世界180カ国中の149位にとどまっている。前年度の順位と比較すると、エジプトは130位から108位に大きくランクを上げた一方、トルコは14ランク下げてエジプトに追い抜かれ、またイランも2ランク下がっている。

 

 内戦が続くイエメンの腐敗指数は16で世界順位は176位であり、ほぼ世界最下位に近い。因みに世界で腐敗度が最も高いとされたのはアフリカのソマリア(腐敗指数11)である。

 

(安定している日本、近年悪化しているトルコ!)

3.日本と中東主要国の腐敗指数の推移(2019~2023年)

(図http://rank.maeda1.jp/6-G01.pdf 参照)

日本と中東5カ国(UAE、サウジアラビア、トルコ、エジプト及びイラン)の2019年から2023年までの5年間の腐敗認識指数の推移を見ると、2019年の指数は日本が73、UAE71、サウジアラビア53、エジプト35、トルコ39、イラン26であった。

 

その後5年間を通して見ると、日本の指数は70台前半で安定している。UAE及びサウジアラビアの湾岸君主国並びにエジプトは2019年から2022年にかけて指数が低下(すなわち腐敗度が上昇)したが、今回は上向いて(清潔度が上昇して)いる。これに対してトルコとイランは長期低落傾向に歯止めがかからず、2019年と2023年の指数を比較すると、トルコは39から34に、またイランは26から24に悪化している。この結果トルコはエジプトに逆転され、2023年の世界順位も上述のとおりトルコ115位に対してエジプトは108位である。トルコ及びイランは腐敗度が進行した一方、エジプトは改善されつつある。

 

以上

 

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世界と中東主要国の「腐敗認識指数」(上)

2024-02-11 | その他

(世界ランクシリーズ その6 2023年版)

 

国連などの国際機関あるいは世界の著名な研究機関により各国の経済・社会に関するランク付け調査が行われている。これらの調査について日米中など世界の主要国及びトルコ、エジプト、イランなど中東の主要国のランクを取り上げて解説するのが「世界ランクシリーズ」である。

 

第6回のランキングは汚職追放を目指す世界のNPO法人Transparency International(略称:TI、本部ベルリン)が毎年発表している「Corruption Perception Index(腐敗認識指数)」について比較しました。

 

 

1.「Corruption Perception Index (腐敗認識指数)」について

 Corruption Perception Index(CPI, 腐敗認識指数)は、公務員と政治家がどの程度腐敗しているか、その度合いを国際比較し、国別にランキングしたものである。ベルリンに本部のあるNPO法人Transparency International(TI)が手がけている。

 

CPIは1995年に第一回の指数を発表、今年で27回目である。調査当初は対象国が41カ国、調査内容も7種類と小規模であったため、各国からは調査結果に対する不満が出たが、回を重ねるに従い内容の信頼性も高まり今回の対象国は180か国である。

 

評価は各国の実業家或いは分析専門家など実務で腐敗の現場に直面している人々の経験や認識に基づくアンケートを統計処理したものであり、CPIは0から100までのスコアで国を採点している。0点は最も腐敗していると考えられる国を、100点は最も透明性が高い国であることを示している。

 

(トップ5の顔触れは変わらず、日本は16位!)

2.2023年の世界ランク及び2022年との比較

(表http://rank.maeda1.jp/6-T01.pdf 参照)

 2023年の腐敗認識指数世界ランクのトップ(即ち清潔度が世界一の国)は昨年と同じくデンマークでありスコアは90であった。これに続くトップ5はフィンランド、ニュージーランド、ノルウェー及びシンガポールであり、これらの国々も前年度の順位と変動はなかった。

 

 上記以外の日本を含む主要な国々の世界ランクを見ると、ドイツは世界9位であり、G7の中では唯一10位以内に入っている。日本は世界16位であり前年の18位よりアップし、また米国は前回同様世界24位である。韓国は世界32位、中国76位、インドは93位である。これら3か国はいずれも前年より順位を下げており、特に中国は前回の65位から11ランク下がっている。ロシアは前回の137位からさらに141位に落ちており、腐敗度が進んでいると評価されている。

 

(続く)

 

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世界の成長率今年3.1%、来年3.2%:IMF世界経済見通し (下)

2024-02-06 | その他

2. 2023年~2025年のGDP成長率(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-11.pdf 参照)

 主要な経済圏と国家の昨年(実績見込み)、今年(予測)及び来年(予測)のGDP成長率の推移を見ると以下の通りである。

 

(3年間低いままのEU圏!)

2-1主要経済圏

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-01.pdf 参照)

 全世界の3年間の成長率は3.1%(2023年)→3.1%(2024年)→3.2%(2025年)と殆ど変化が無い。コロナ禍のような大きなマイナス要因がなく、一方でかつての中国のように世界経済を大きくけん引する国も見当たらないことが成長率を停滞させるとIMFは見ているようである。

 

 主要な経済圏を見ると、EU圏は0.5%(2023年)→0.9%(2024年)→1.7%(2025年)と極めて低い成長率で推移すると見込まれている。長引くウクライナ紛争が影を落としており、EUの中核であるドイツ経済が高止まりするエネルギー価格の響を受け停滞していることが原因と考えられる。

 

 ASEAN5カ国の成長率は4.2%→4.7%→4.4%であり、世界平均を上回る成長率を維持する見通しである。中東・中央アジアは産油・ガス国が多いが、世界経済の回復の遅れ及び長引くウクライナ紛争の影響を受け昨年(2.0%)及び今年(2.9%)は低成長を余儀なくされる見通しである。但し来年(2025年)は世界平均を上回る4.2%の成長率となる見込みである。

 

(6%以上の高い成長率を維持するインド!)

2-2主要国

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-02.pdf 参照)

米国の昨年の成長率は2.5%であったが、今年(2.1%)、来年(1.7%)と連続して成長が鈍化する見通しである。日本も同様に1.9%→0.9%→0.8%と連続して成長率は低下し、今年及び来年は1%を下回るとみられている。

 

中国は5.2%→4.6%→4.1%であり、米国或いは日本と同様の傾向であるが、それでも世界平均を上回る5%前後の高い成長率を達成すると予測されている。ロシアの見通しは3.0%→2.6%→1.1%であり、長引くウクライナ紛争により成長率が急速に落ち込むものと見込まれている。ロシアと並ぶ産油国であるサウジアラビアの3年間の成長率は▲1.1%(2023年)→2.7%(2024年)→5.5%(2025年)である。昨年は自主的な大幅減産及び油価の低迷による歳入不足に輸入物価の上昇が重なりマイナス成長になったが、来年は安定的な財政収支により成長率が高まると見込まれている。

 

各国が低迷する中でインドの成長率は6.7%→6.5%→6.5%と6%台後半を維持し、世界平均を大きく上回る見込みである。中国に代わり同国が世界経済の牽引車と目されている。

 

以上

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                              E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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世界の成長率今年3.1%、来年3.2%:IMF世界経済見通し (上)

2024-02-05 | その他

IMF(国際通貨基金)が「世界経済見通し(World Economic Outlook Update、January 2024)」を発表した。 このレポートでは全世界、EU、ASEANなどの主要経済圏及び日米中印など主な国々の2022年(実績)から2025年(予測)まで4年間のGDP成長率が示されている。

 

本稿ではまず世界、主要経済圏、主要国の今年の成長率を概説し、次いで前回2023年10月の経済見通に比べどのように見直されたかを点検する。さらに3年間(2023、2024及び2025年)の成長率の変化を合わせて検証することとする。

 

*WEOレポート:

https://www.imf.org/en/Publications/WEO/Issues/2024/01/30/world-economic-outlook-update-january-2024

 

(同日本語版)

https://www.imf.org/ja/Publications/WEO/Issues/2024/01/30/world-economic-outlook-update-january-2024

 

(今年の世界の成長率3.1%、米国は前回見通しを大幅に上方修正!)

1.2024年のGDP成長率(表http://menadabase.maeda1.jp/1-B-2-08.pdf 参照)

 今回1月見通しでは今年の世界の成長率は3.1%とされており、前回10月の2.9%から0.2%上方修正されている。これについてIMFは、米国といくつかの新興市場国・発展途上国における予想以上の底堅さに加え中国の財政支援を理由に挙げている。

 

1-1.主要経済圏の成長率(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-01.pdf 参照)

 経済圏で見るとEU圏の2024年の成長率は0.9%であり、10月の1.2%より低下しており、中東・中央アジア諸国も3.4%から2.9%に引き下げられている。これに対してASEAN5カ国は4.5%から4.7%に上方修正されている。EU圏は後に触れる通り経済回復が遅れているドイツが、また産油(ガス)国が多い中東・中央アジア諸国はエネルギー価格の停滞が成長の足を引っ張っているようである。

 

1-2.主要国の成長率(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-02.pdf 参照)

 国別では今年の成長率は米国2.1%、日本0.9%、ドイツ0.5%、英国0.6%、中国4.6%、インド6.5%、ロシア2.6%である。中国はコロナ禍前には二桁の高い成長率を誇っていたが、コロナ禍で急減速し、現在も成長の足取りが遅い。ヨーロッパ諸国は上記の通りEU圏の成長率が1%を下回り、ドイツは0.5%の成長にとどまり、また英国も世界平均を大きく下回っている。ロシアの2024年成長率2.6%は昨年10月の見通し(1.1%)から大きく上方修正されている。その背景にはウクライナ紛争をめぐる高水準の軍事支出並びに労働市場のひっ迫に支えられた民間消費の上振れがある。しかし来年(2025年)はその反動で成長率は1.1%に減速すると見込まれている。

 

 一方アジアではインドが世界平均を2倍以上上回る6.5%と世界最高水準の成長を達成すると見込まれている。中東主要国の今年のGDP成長率は、エジプト3.0%、トルコ3.1%、イラン3.7%であり、ほぼ世界平均(3.1%)を上回る成長率が見込まれ、サウジアラビアは2.7%である。昨年10月の見通しと比較するとサウジアラビアは1.3%の大幅下方修正であり、エジプトも▲0.6%のマイナス見直しである。これに対しトルコ及びイランはいずれも昨年10月の数値を0.6~0.7%上方修正している。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

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