(注)本レポートは「前田高行論稿集 マイライブラリー」で一括ご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0215Shell2011.pdf
II.Shellの業績(上)
(注)詳細は下記同社HP参照。
http://www.shell.com/home/content/media/news_and_media_releases/2012/q4_2011_results_newsitem_02022012.html
1.2011年の売上・利益・投資及び生産量
(1)売上高
Shellの2011年1-12月の売上高は470,171百万ドルであり、前年度の売上368,056百万ドルに比べ28%の増収であった。後述するように過去5年間の同社の石油・天然ガスの生産量はほぼ一定しており、売上増はひとえに石油価格の高騰にある。この結果、2011年の生産量は過去5年間で2番目に低いにもかかわらず、売上高は最も大きかった。
(2)利益(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-93dShell.pdf参照)
利益は30,918百万ドルであった。これは前年(20,127百万ドル)比1.5倍、日本円で約2.3兆円である。利益の内訳を上流部門(原油生産)と下流部門(石油精製販売)に分け、さらに上流部門を米国内と米国外に分けて比較すると、最も利益が多かったのは米国外の上流部門であり、全体の利益の69%を稼ぎ出している。これに対し米国内の上流部門の利益額は全体の14%であった。これらを合計すると同社の利益の8割強は上流部門によるものであり、ExxonMobilと同様の傾向を示している。
(3)設備及び探鉱投資
2011年度の投資総額は26,301百万ドルである。投資を上流部門、下流部門およびその他部門に分けると、上流部門には全体の79%を占める20,681百万ドルが配分されている。下流部門は5,479百万ドル(全体の21%)であり、その他部門は殆ど投資していない。
(4)石油・天然ガスの生産量
2011年の生産量は石油が一日当たり平均167万バレル(以下B/D)であり、天然ガスは日産90億立法フィート(以下億cfd)である。天然ガスを石油に換算し石油と合計した場合は322万B/Dに達する。ShellではこのほかLNGを年間1,883万トン販売している。
石油生産量を地域別にみると、最も多いのは中東・北アフリカの412千B/D(全体の25%)であり、次いで欧州239千B/D(14%)、米国211千B/D(13%)である。ExxonMobilの場合はアフリカとアジア大洋州で全生産量の60%を占めているのに対し、Shellの原油生産は全世界に万遍なく拡がっている。
一方天然ガスについては欧州が33億cfdと全体の4割弱に達する。これに次ぐのがアジア・大洋州(23億cfd)であり、この両地域で全生産量の6割強を占めている。
(続く)
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