(注)本稿は「前田高行論稿集 マイライブラリー」で一括ご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0217Bp2011.pdf
III.BPの業績(上)
(注)詳細は下記同社HP参照。
http://www.bp.com/extendedgenericarticle.do?categoryId=2012968&contentId=7073072
1.2011年の売上・利益・投資及び生産量
(1)売上高
BPの2011年1-12月の売上高は375,517百万ドルであり、前年度の売上297,107百万ドルに対し26%の増収であった。この売上高は過去5年間で最も大きい。後述するように同社の石油・ガスの生産量は前年(2010年)を10%近く下回っており、また過去5年間で最も低かった。にもかかわらず売上高が最高を達成した理由は石油価格が上昇したためである。
(2)利益・損失
BPの2011年1-12月の損益は前年の大幅な損失(-3,719百万ドル)から一転して過去5年間で最高の257億ドルを記録した。前年度の損失はメキシコ湾の原油漏出事故によるものであるが、BPはわずか1年で事故の痛手を乗り切り驚異的に回復したのである。部門別で見ると上流部門305億ドル、下流部門55億ドルであり、ExxonMobil、Shellと同様大半の利益を上流部門で稼いでいる(その他の部門は損失103億ドル)。また二部門の利益は前年と殆ど変わらない。このことからBPの収益構造は安定していると言えよう。
(4)設備・探鉱投資
2011年度の投資総額は31,518百万ドルであり、前年に比べ37%の大幅な増加を示している。投資を上流部門、下流部門およびその他部門に分けると、上流部門には全体の81%を占める25,535百万ドルが配分されている。下流部門は4,130百万ドル(全体の13%)であり、その他部門は1,853百万ドル(同6%)であった。
(5)石油・天然ガスの生産量
2011年の生産量は石油が一日当たり平均216万バレル(以下B/D)であり、天然ガスは日産75億立法フィート(以下億cfd)である。天然ガスを石油に換算し石油と合計した場合は345万B/Dに達する。
石油生産量を地域別にみると、最も多いのはロシアの87万B/Dであり、続いて米国が45万B/D、欧州15万B/Dである。BPは石油生産の4割をロシアに依存しておりExxonMobil, Shellに見られない特色である。一方天然ガスについては米国が全体の4分の1(18億cfd)を占めている。
(続く)
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