石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2011年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇(3)

2012-02-29 | その他

(注)本レポートは「前田高行論稿集 マイライブラリー」で一括ごらんいただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0219BpOilGas2011.pdf

 

BPの「BP Statistical Report of World Energy 2010」をもとに本シリーズではこれまで石油及び天然ガスの埋蔵量、生産量、消費量等のデータを抜粋して解説したが、最後に石油と天然ガスを合わせた形でその埋蔵量、生産量及び消費量についての解説を試みる。なお天然ガスから石油への換算率は10億立方メートル=629万バレル(1兆立方メートル=62.9億バレル)である。

3.世界の石油と天然ガスの消費量
 (1)2010年の石油と天然ガスの地域別合計消費量
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-1-92OilGasConsumptionByRegion2011.pdf
参照)
2010年の世界の石油消費量は日量8,738万バレル(以下B/D)であり、これに対して天然ガスの消費量は年間3兆1,690億立方メートル(以下㎥)であった。天然ガスの消費量を石油に換算すると5,461万B/Dとなり、従って石油と天然ガスを合わせた1日当りの消費量は1億4,199万B/Dとなる。両者の比率は石油62%、天然ガス38%でほぼ3:2の割合である。

消費量を地域別に見ると、欧州・ユーラシアが最も多く石油換算で3,911万B/Dであり、これに次ぐのが北米の3,800万B/Dである。但し両地域を比較すると、欧州・ユーラシアは石油の消費量が1,951万B/Dに対して天然ガスの消費量は1,960万B/D(石油換算)であり、石油と天然ガスがほぼ同じであるが、北米は石油2,342万B/D、天然ガス1,458万B/D(石油換算)と石油の消費量が天然ガスの1.6倍に達している。

欧州・ユーラシア、北米に続いて消費量が多いのはアジア・大洋州である。同地域の消費量は石油が2,724万B/D、天然ガスが978万B/D(石油換算)の合計3,702万B/Dであり、天然ガスは石油の3分の1にすぎない。これら3地域の世界全体に占める割合は、欧州・ユーラシア28%、北米27%、アジア・大洋州26%であり、3地域を合わせると世界全体の81%に達する。残る3地域(中南米、中東、アフリカ)は全て併せても19%に過ぎず、石油及び天然ガスの消費が先進国及びアジアの新興工業地帯に集中していることがわかる。

(2)国別消費量
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-1-92OilGasConsumption2011.pdf 参照)
消費量を国別に見ると、世界で石油と天然ガスの合計消費量が最も多いのは米国である。同国の消費量は石油換算で3,093万B/D、実に世界の5分の1強の石油と天然ガスを消費しているのである。2位の中国ですらその消費量は米国の3分の1であることに比べると、米国が如何にエネルギーを浪費しているかが解る。

米国に次いで消費量が多いのは中国の1,094万B/D(石油換算)である。同国は石油の消費量は世界2位(906万B/D)、天然ガスは世界4位(石油換算188万B/D)であり、天然ガスの消費量は石油の5分の1である。第3位、第4位はそれぞれロシア(石油換算1,034万B/D)、日本(同608万B/D)である。日中両国を比較すると、石油の消費量は中国が日本の2倍であり、天然ガスは日本とほぼ同量である。

5位のインド(同439万B/D)以下はサウジアラビア(426万B/D)、イラン(416B/D)、カナダ(389万B/D)、ドイツ(384万B/D)、英国(321万B/D)と続いている。

(3)1980年~2010年の消費量の推移
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-1-96OilGasConsumptionHistory.pdf参照)
 1980年から2010年までの石油と天然ガスの合計消費量の推移を追ってみると、1980年の石油と天然ガスの合計消費量は86百万B/D(石油換算、以下同じ)であった。その後消費量は3年連続して減少したが、1984年以降は一貫して増加傾向を示し、1990年には1億B/Dを突破(内訳:石油6,650万B/D、天然ガス3,378万B/D)、2008年には1億3,815万B/Dに達した。2009年は26年ぶりに前年比で1.2%減少したが、2010年は過去最高の1億4,199万B/Dを記録している。

2010年の消費量は1980年に比べて1.7倍に増加しているが、石油と天然ガスそれぞれについては石油の伸び率が1.4倍に対し、天然ガスは2.2倍である。過去30年の間に天然ガスの消費が石油を大きく上回っていることがわかる。

(石油+天然ガス篇完)
 
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