II. 2013年の業績比較 (続き)
2. 利益
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-02.pdf 参照)
ExxonMobilが売上同様、利益額も5社の中で最も大きく326億ドルである。ExxonMobilに次いでBP(238億ドル)及びChevron(214億ドル)が並んでおり、両社の利益はExxonMobilの7割前後である。これに対してShellの利益は164億ドルでExxonMobilの1/2、BPの7割弱にとどまっている。5社の中で利益が最も少ないのはTotalで同社の利益額は112億ドル、ExxonMobilの3分の1である。
Shellは売上では5社中の2番目であるが、利益は4番目である。これに対してChevronは売上高が5社の中で最も少なく、Shellの2分の1にすぎないにもかかわらず利益ではExxonMobilに次いで2番目に多い。Shellはこの状況を相当深刻にとらえているようであり、今年1月にCEOが交代して以来ブラジル深海油田、北海油田などの権益を次々と売却している 。
参考までにJXホールディングスの3月期予想経常利益は3,000億円(1ドル=100円換算で30億ドル)である。これはExxonMobilの10分の1、Shellの5分の1であり、国際石油企業と比べて大きく見劣りする。上流部門(開発生産)で利益の大半を稼ぎ出している国際石油企業に対して、JXホールディングスは上流部門が弱いためである。
3.売上高利益率
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-03.pdf 参照)
売上高(上記1)と利益(上記2)の比率である売上高利益率を見ると、Chevronが9.4%と最も高く、次いでExxonMobil(7.4%)、BP(6.3%)が利益率5%を超えている。Totalは4.5%であり、Shellは最も低い3.6%にとどまっている。因みにJXホールディングスの売上高利益率(予想)は2.5%であり、国際石油企業5社の中で最も低いShellよりもさらに低い水準にとどまっている。日本の製造業としては利益率2.5%は決して低すぎる数値ではないが、高い利益率を誇る国際石油企業との格差は非常に大きいようである。
4.設備投資額
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-04.pdf参照)
2013年の設備投資額が最も大きいのはShell(460億ドル)である。Shellに次いでExxonMobil(425億ドル)及びChevron(419億ドル)がほぼ並んでおりShellよりも1割程度少ない。BPの設備投資額は366億ドルであり、5社中で最も少ないTotalの設備投資額(259億ドル)はトップのShellの6割弱にとどまっている。
(続く)
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