石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

3社が200億ドル強の巨額損失を計上:五大国際石油企業2020年度業績速報シリーズ(14完)

2021-03-09 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0526OilMajors2020.doc.pdf

 

III. 8カ年(2013-2020年)業績推移の比較(続き)

5.石油及び天然ガス生産量

(200万B/Dを超え他社を圧倒するExxonMobil!)

(1)石油生産量

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-24.pdf 参照)

 5社の2013年から2020年までの石油生産量の推移を見ると、8年間を通じてExxonMobilは他の4社を大きく引き離している。同社の生産量は2,202千B/D(13年) →2,111千B/D(14年)→2,345千B/D(15年)→2,365千B/D(16年) →2,283千B/D(17年) →2,266千B/D(18年) →2,386千B/D(19年)→2,349千B/D(20年)と5社の中で唯一2百万B/D以上を維持している。

 

 ExxonMobil以外の2013年の生産量はChevron (1,731千B/D)、Shell (1,541千B/D)、BP (1,176千B/D)、Total (1,167千B/D)の順であった。2013年以降2020年までの原油生産動向を見ると、ExxonMobilが230万B/Dにアップしたほか、各社とも生産レベルが上がっている。特にShellは2016年に180万B/Dを突破した後、その水準を維持し続けており、Totalも1,167千B/D(13年) →1,034千B/D(14年)→1,237千B/D(15年)→1,271千B/D(16年) →1,346千B/D(17年) →1,566千B/D(18年) →1,672千B/D(19年)と2014年から2019年までは6年間連続して増加している。

 

 しかし2020年はコロナ禍の影響で石油需要が急減したため各社とも生産量が落ち込んだ。2013年の生産量を100とした場合、2020年の各社生産量はTotalが1.3倍に増加したほか、Shell 117、Chevron 108、ExxonMobil107及びBP105であり、いずれも100を超えている。

 

(8年前に比べ4割増のChevron、3割減のExxonMobil!)

(2)天然ガス生産量

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-25.pdf 参照)

 2013年から2020年までの天然ガスの生産量はExxonMobilが2013年以降連続して減少傾向にあることが目立つ。同社の場合2013年の118億立法フィート/日(以下cfd)で5社の中で唯一100億cfdを超えていたが、同年以降は111億cfd(14年)→105億cfd(15年)→101億cfd(16年)→102億cfd(17年)→94億cfd(18年)→94億cfd(19年)→85億cfd(20年)であり、2016年にはトップの座をShellに奪われ、またChevronとの格差も2013年の50億cfdからであった2020年には10億cfd強まで縮まっている。Shellは2016年に生産量100億cfdを突破してトップとなり、その後一昨年(2019年)までは100億cfdを超えている。

 

2013年を100とした場合2020年の生産量はExxonMobilが72、Shellは95であり2013年を下回っている。その他の3社はChevron140、Total117、BP106と8年前を上回っており、特にChevronの伸びが著しい。

 

(ExxonMobilが8年連続トップだが2位との格差は縮小!)

(3)石油・天然ガス合計生産量(石油換算)

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-26.pdf 参照)

 石油と天然ガスの合計生産量(石油換算)を見ると、2013年にはExxonMobilがトップの4,175千B/Dであり、2位のShell(3,199千B/D)を100万B/D近く上回っている。これら2社に続くのがChevron(2,597千B/D)であり、4位と5位はそれぞれTotal(2,299千B/D)及びBP(2,256千B/D)であった。

 

 2014年以降はExxonMobilの生産量に減少の歯止めがかからず、2020年は3,761千B/Dとなり、5社の中で唯一2013年の生産量を下回る水準にとどまっている。一方Shellは2015年まで横ばいを続けた後、2016年に生産量が3,668千B/Dと大幅に上昇し2020年は3,386千B/DでありトップのExxonMobilに近づいている。

 

2013年を100とした場合の2020年の各社の生産量はTotal 125、Chevron 119、Shell 106、BP105、ExxonMobil90である。

 

(完)

 

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        前田 高行

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