(大幅な赤字のメジャー5社、490億ドルの利益を確保したアラムコ!)
1.純利益(Net income[1]) (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-6-32.pdf 参照)
昨年のアラムコの純利益は490億ドルであった。これに対してIOC5社は全社が大幅な欠損を計上しており、最も損失額の大きいExxonMobilは▲224億ドルであり、Shell及びBPもほぼ同じ▲200億ドル強のマイナスであった。Totalの赤字額は72億ドルであり、最も損失が少ないChevronも▲55億ドルの赤字であり、アラムコとの損益格差は500億ドル以上となっている。
このように圧倒的な収益力を誇るアラムコであるが、同社の過去3年の損益を見ると、2018年の利益は1,111億ドルであったが、翌2019年には21%減の882億ドルにとどまり、今回はさらに前年度比44%減の490億ドルにとどまっており、3年間で利益が6割減少している。今回大幅な欠損を余儀なくされたIOC5社に比べ傷が浅かったとは言え、アラムコもコロナ禍による世界的な景気後退の影響から免れることはできなかった。
国営企業として長い歴史を有し既に確固たる収益基盤を確立しているアラムコと日々競争に晒され利益の確保に苦闘する純粋の民間企業であるIOC5社の利益を単純に比較することは無理があるが、国際会計基準に沿った決算書類の費目を横並びに比較することで両者の格差の実態が浮かび上がるであろう。
(続く)
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[1] 「純利益(Net income)」の用語は各社決算資料で下記のごとく表現が異なるが、「株主に帰属する純利益」と称する場合が多いようである。
Saudi Aramco: Net income
Shell: Income/loss attributable to shareholders
ExxonMobil: Net income attributable to ExxonMobil (U.S. GAAP)
Total: Consolidated net income (Group share)
BP: Profit (loss) for the period; Attributable to BP shareholders
Chevron: Net income