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0556GasFromRussia.pdf (maeda1.jp)
4.今後の石油・天然ガス市場の動向
天然ガスを軸としたロシアと欧州諸国の相互依存関係は非常に大きい。ロシアはパイプラインとLNGを合わせた輸出の8割を欧州に依存し、一方、欧州諸国は必要とする天然ガスの3分の1をロシアからの輸入に依存している。比率を見る限りロシアは欧州への依存率が高い。これに対して欧州は域内の生産量がかなりあり、また米国、カタールなどロシア以外からのLNG輸入を拡大しているため、ロシアへの依存度はさほど高くない。(今回の問題がなければ、Nordstream2や北極圏ヤマル・プロジェクトなどロシアからの輸入が増加し、欧州のロシア輸入依存度はさらに高くなることは間違いないであろうが。)
但し現状で見ても8割と3分の1というそれぞれの依存度は決して小さくはない。因みに同じbp資料によれば、ロシアの石油輸出の53%は欧州向けである。今回のロシアのウクライナ侵攻により仮に石油・天然ガス貿易が中断すれば双方とも大きな犠牲を強いられるであろう。現実に民間企業ベースではShell、bp、エクソンモービルなどが早々とロシアからの撤退を表明している。
一方で欧米政府はロシアの大手銀行を国際決済制度(SWIFT)から排除したが、最大手のズベルバンクやガスプロム系のグループ銀行を残したことはドイツなど西欧諸国のジレンマと言えよう。またOPEC+(プラス)でロシアはサウジアラビアと共にリーダーであるが、このことがエネルギー価格の高値継続に結び付くと考えられる。最近の価格高騰に対して、米国、IEAなどは産油国に増産を促してきたが、ロシアにとって増産は敵に塩を送るだけで得るものは何もない。そしてサウジアラビアはこれまで米国や欧州諸国に配慮してOPEC+内部で増産幅の拡大(または減産幅の縮小)の音頭を取ってきたが、OPEC+の結束を維持するためには現在のところロシアに歩み寄る以外に手は無いはずである。3月2日のOPEC+閣僚会議(リモート方式)で40万B/Dの追加増産という従来方針継続にとどまったことでもそのことは明白である。高騰するエネルギー価格を冷やすために蛮勇を振るうことができる者が誰もいないのが現状である。
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