(英語版)
(アラビア語版)
Part II:「エスニック・クレンザー(民族浄化剤)」
48. ユダヤ国家の内なる敵(4)
何故アラブ人の増加率がそんなに高いのか?アラブ人が子供を多く生む多産民族であることは統計が示している。避妊の知識が乏しいアラブ人の男によって女性たちは次々と妊娠を強いられ「貧乏人の子沢山」となった。貧乏で満足な栄養もとれず衛生状態もひどかった一昔前であれば子供たちの多くは大人になる前に死んだ。しかし近代国家のイスラエルは同時に人道国家でなければならない。貧乏なアラブ人家族に対して十分とは言えないまでも食糧と医療の手が差し伸べられ、子供たちは無事成人に達する。貧乏でも乳幼児たちは死ななくなった、のである。それがアラブ人の人口を増加させ、ユダヤ国家としての将来に問題を投げかけた。
このことだけはユダヤ純血主義者の『シャイ・ロック』としても如何ともしがたいことであった。武器を持って刃向かってくる敵であれば性能の更に高い武器で相手を葬ることができる。それは戦争行為或いはテロ対策行為として許される。特に米国が後ろ盾になってくれるため国連でも自国イスラエルの過剰防衛的な行為が公然と非難されることは無い。しかしイスラエル政府と言えども自国に住むアラブ人の生殖行為を制限することはできない。しかも生まれた子供たちには食料と医療を与え無事成人する手助けをしなければならない。
イスラエル人口問題研究所は、現状のまま推移すれば2050年に国内のアラブ人の数がユダヤ人を超える、とする推計値を発表した。「現状のまま推移すれば」という前置きの言葉には、「政府が何ら対策を講じなければ」と言う意味が込められていた。政府が和平後のパレスチナ難民の帰還に強硬に反対しているのもそのためであった。パレスチナ和平の条件の一つとして難民が元の居住地に戻ることに国際世論は同情的であったが、そのようなことを認めれば、いずれ民主国家として選挙を行った場合ユダヤ人に不利に働くことが明らかだ。
政府にとってその他にどのような対策が考えられるのか?明確に答えられる者はいない。否、「ある対策」を思いついたとしても、それは口に出して言えるようなことでないことは確かである。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)
前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html