(注)本シリーズは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0570IocAramco2022-3rdQtr.doc.pdf
III. 過去2年間の四半期業績推移(続き)
(常にIOCの1.5~2倍のアラムコ、投資に慎重なIOC各社!)
(5).設備投資の推移
(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-64.pdf 参照)
2020年10-12月のアラムコ及びIOC5社の設備投資額は、アラムコが69億ドルと最も多く、IOC5社の中でトップはShellの52億ドルであった。その他のIOC4社はExxonMobil 48億ドル, TotalEnergies 45億ドル、bp 35億ドル、chevron 32億ドルであった。
2021年に入りコロナ禍による景気減退により各社とも設備投資額を減額或いは横ばいとしていたが2021年10-12月期は景気回復への期待及び石油価格の上昇により設備投資額は増加した。同期の設備投資額はアラムコの86億ドルを筆頭に、Shell 62億ドル、ExxonMobil 58億ドル、Totalenergies 43億ドル、chevron 37億ドル、bp 36億ドルであった。
2022年はロシアのウクライナ侵攻によるロシア合弁プロジェクトに対する先行き不安(1-3月期)、コロナ禍終息の期待と原油価格高騰(4-6月期)、不透明な景気見通しに対する強気と弱気の交錯(7-9月期)により各社の設備投資額は上下に揺れ動いた。
7-9月期の設備投資額はアラムコが90億ドルと最も多く、ExxonMobilはアラムコの6割強の57億ドルであった。これに次ぐのはShell 53億ドル、TotalEnergies 47億ドルであり、bp及びchevronはアラムコの3分の1の30億ドル強にとどまっている。
設備投資は直近の自社の業績及び今後のエネルギー価格の動向、さらには長期的に見た炭化水素資源の需給見通し等により各社の判断が分かれるところである。長引くコロナ禍により世界経済が停滞し、また脱炭素・脱化石燃料の問題で石油企業に厳しい目が注がれているため各社とも設備投資に慎重な様子がうかがわれる。但し、石油・天然ガスの開発には長期間の投資が必要であり、短期的な投資抑制は近い将来のエネルギーの需給バランスに深刻な影響も懸念されるところである。今後の動向を注視したい。
(完)
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