石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(117)

2024-02-16 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)(3

 

117 西暦に侵食されるヒジュラ暦(3/4)

 そして日本で季節のずれを調整するために旧暦に閏月を設けたのに対して中東イスラーム諸国があえて季節のずれを容認した理由は、前者が農耕社会であり、後者が牧畜社会だったからだと考えられる。農耕社会では種蒔きから収穫まで季節とともに移ろいゆく。太陽の動きと合わせなければならない。牧畜社会でも山野に牧草が生える季節、そして動物の繁殖期など季節と切り離すことはできないが、人手を加えなくても草は生え、家畜は子供を生む。だから牧畜民族は農耕民族ほど暦に敏感である必要はないのである。

 

 太陰暦にも暦に合わせたいろいろな行事がある。日本でいえば八十八夜、二百十日など数多くあるが、いずれも季節に合わせた行事であり、自然現象と密接に関連している。しかしヒジュラ暦の代表的な行事であるラマダン(断食)やハジ(マッカ大巡礼)はいずれも自然とは無関係な人間の行為であり、季節を問わない。

 

 季節とは無関係な経済活動について考えてみよう。経済活動は給料、支払決済など月単位のものが多い。しかしこの場合、一月の長さは太陽暦のそれと同じである必要はない。イスラーム世界の商人同士の間では一か月は新月から新月まで(或いは満月から満月まで)と決めれば良い話である。彼らはそれで不便は感じなかったはずである。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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当面続く化石エネルギーの時代:五大国際石油企業業績速報シリーズ(4)

2024-02-16 | 海外・国内石油企業の業績

I. 5社の2023年第4四半期(10-12月)及び通年(1-12月)業績概要(続き)

以下の各表参照。

表A:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20A.pdf (利益、売上、設備投資)

表B:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20B.pdf (キャッシュフロー)

表C:http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-20C.pdf (石油・ガス生産量)

 

(安定した利益を稼ぎ出すTotalEnergies!)

4.TotalEnergies[1]

*同社ホームページ:

https://totalenergies.com/media/news/press-releases/fourth-quarter-and-full-year-2023-results

(1)売上高

 TotalEnergiesの2023年10-12月期売上高は592億ドルであり、また通年売上高は2,370億ドルであった。前年同期比では10-12月期は▲14%、通年ベースでは▲16%の減収である。

 

(2)利益

 10-12月期は51億ドルであり、前年同期の1.5倍であった。一方、通年では前年とほぼ同じ214億ドルの利益を上げ安定している。

 

(3)売上高利益率

 通年ベースの売上高利益率は9%であり、前年の7.3%を上回っている。

 

(4)設備・探鉱投資

 2023年の年間の設備・探鉱投資額は前年とほぼ横ばいの168億ドルであった。

 

(5)キャッシュフロー

TotalEnergiesの2023年の年間営業キャッシュフローは407億ドルであった。これに対して投資キャッシュフロー及び財務キャッシュフローはそれぞれ▲165億ドル、▲297億ドルであった。この結果同社の2023年末のキャッシュフロー残高は273億ドルとなり、2022年末より17%減っている。

 

(6)石油・ガス生産量

 昨年のTotalEnergiesの石油生産量は日量平均1,550千B/Dであり、前年(2022年)を2%上回った。天然ガスは前年比▲26%減の日量平均5,028mmcfdである。

 石油と天然ガスの合計生産量は石油換算で2,483千B/Dとなり、2022年比▲10%減である。

 

 (続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行0

 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

        Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

        E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

[1] TotalEnergiesの売上、利益、設備投資及びキャッシュフローは決算資料の下記項目による。

売上:Sales

利益:Netincome (TotalEnergies share)

設備投資:12. Net investments

営業キャッシュフロー:Cash flow from operating activities, TotalEnergies financial statements

投資キャッシュフロー:Cash flow used in investing activities, TotalEnergie financial statement

財務キャッシュフロー:Cash flow from (used in) financing activities, Total financial statement

年末キャッシュフロー残高:Cash and cash equivalent at end of period, TotalEnergies financial statement

 

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