石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

当面続く化石エネルギーの時代:五大国際石油企業業績速報シリーズ(11)

2024-02-28 | 海外・国内石油企業の業績

III. 5カ年(2019-2023年) 業績推移の比較

 ここでは2019年から2023年までの過去5年間の5社の業績の推移を比較検討する。因みに業績と密接に関係している原油価格(Brent)の動きを見ると、2019年は年間平均価格が64ドルであったが、2020年はコロナ禍に直撃され42ドルに急落した。そして2021年は71ドルまで戻り、さらに2022年には大幅に上昇し100ドルを超えた。しかし2023年は再び83ドルに下落している[1]。このように原油価格は過去5年間に激しく変動しており、これに引きずられて5社の売上高及び利益は以下に見る通り大きく上下している。

 

(原油価格と連動する売上高!)

1.売上高[2]

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-20.pdf参照)

 2019年の売上高トップはShellの3,449億ドルで5社の中では唯一3千億ドルを超えている。これに次ぐTotalEnergiesとExxonMobilがそれぞれ2,784億ドル及び2,649億ドルであった。第4位はbpの2,003億ドル、最も少ないChevronは1,399億ドルでトップShellの4割にとどまっている。

 

2020年の売上高は各社とも前年比3割乃至6割に急減した。トップのExxonMobil、Shellの売上高は1,800億ドル強にとどまり、Chevronは1千億ドルを下回った。中でもTotalEnergiesの落ち込みは大きく対前年比6割減であった。

 

 しかし2020年を底に原油価格が急伸した2021年、22年には売り上げは急回復、各社とも2年間で2倍以上の売上増を記録、例えばExxonMobilの2022年売上高は4,137億ドルに達し、Shellも3,813億ドルであった。

 

 2023年には原油価格が83ドルに下がり各社売上高も落ち込んだ。このように石油企業の売上高は原油価格の変動に大きく左右されている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

     前田 高行

 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

     Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

     E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp   

 

[1] 米EIA資料による。https://www.eia.gov/opendata/qb.php?sdid=PET.RBRTE.A

[2] 「売上高」は各社決算資料から下記項目を抽出している。

ExxonMobil:        Total revenues and other income

Shell:     Total revenue and other income

bp:         Total revenue and other income

TotalEnergies:     Sales

Chevron:             Sales and other operating revenues

 

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(122)

2024-02-28 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第5章:二つのこよみ(西暦とヒジュラ暦)(8

 

122 ヒジュラ暦1400年(西暦1980年)前後(4/5)

サダム・フセインはスンニ派ではあるがイラク南部には多数のシーア派住民が住んでおり、イラク全体でみてもシーア派の方が多い。サウジアラビア、クウェイト、バハレーンのスンニ派君主制国家も国内に多数のシーア派を抱えており、バハレーンは人口の大半がシーア派である。イランのホメイニ師がこれらシーア派住民に蜂起を呼びかけたことで各国は危機感を募らせた。湾岸6か国が1981年(ヒジュラ暦1402年)にGCC(湾岸協力機構)を結成したのはとりもなおさずシーア派住民が蜂起して君主体制を打倒するのではないかという恐怖心に駆られたからに他ならない。フセインはイラン・イラク戦争に宗派対立の構図を持ち込んで湾岸産油国を戦争に巻き込んだ。GCC諸国はフセインの術策に陥ったとも言えるのである。

 

イラン・イラク戦争勃発と同じ1979年12月にはソ連がアフガニスタンに侵攻しアフガン戦争が勃発している。西暦1980年前後、すなわちヒジュラ暦の14世紀と15世紀をまたぐ数年間はこれら二つの戦争が続いた時代であった。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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石油と中東のニュース(2月27日)

2024-02-28 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・Brent $81.48, WTI $76.27

・カタール:LNG生産1,600万トン増強。2030年には年産1.42億トンへ

・イラン-パキスタンのガスパイプライン、10年遅れでプロジェクト再開

(中東関連ニュース)

・3/10日前後のラマダン前のガザ停戦目指しカタール他の仲介交渉大詰め

・米大統領:4日までにガザ停戦と人質交換を期待する

・イスラエル軍、Rafah攻撃に対するガザ市民の退避計画提示。詳細示さず

・パレスチナ政府首相辞任

・米現役兵、ワシントンのイスラエル大使館前で抗議の焼身自殺

・ガザ停戦でイエメンフーシ派の船舶攻撃は止むか

・IAEA、イランの核兵器開発を深刻に懸念

・トルコ:エルドガン大統領、70歳の誕生日迎える

・テヘランで第17回ロシア-イラン合同経済委員会開催

・UAEムバラダとGoldman Sachsがアジア大洋州向け10億ドル共同借款契約

 

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