II. 五社の業績比較
ここでは五社の当期利益、売上高、売上高利益率、キャッシュ・フロー及び設備投資を比較する。
(対前期増益、対前年同期減益!)
1. 純利益[1](図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-52.pdf 参照)
7-9月期は全社が利益を計上しているが、各社に開きがあり、利益が最も多かったExxonMobilの91億ドルに対しShell 70億ドル、TotalEnergies 67億ドル、Chevron 65億ドル、bp 49億ドルである。ExxonMobilに比べるとShell、TotalEnergies、Chevron 3社は4分の3、bpは2分の1である。
前期(4-6月)に比較すると全社増益であるが、前年同期(2022年7-9月)比では、ExxonMobil及びChevronは利益が半減している。これに対しShellとTotalEnergiesはほぼ横ばいである。bpは前年同期5社中ただ1社マイナスであったが今期は他社に見劣りするもののプラスに転じている。
(原油価格に左右される売上高!)
2.当期売上高[2] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-51.pdf 参照)
2023年7-9月期のBrent原油平均価格は86.75ドル/バレルであり、前期(78.05ドル)に比べ11%上昇しているが、前年同期(2022年7-9月)の100.84ドルからは大きく下落している。各社の売上高も油価の変動を敏感に反映している。
2023年7-9月期の売上高はExxonMobil の908億ドルが最も高く、これに次ぐのはShell (764億ドル)である。TotalEnergies、bp及びChevronはいずれも500億ドル台で並んでいる。ExxonMobilの売上高を100とした場合、Shell 84、TotalEnergies 65、bp 60、Chevron 57である。前項で触れた通り利益面ではExxonMobil、Chevron、Shell、TotalEnergies、Chevron、bpの順であり、ExxonMobilは売上及び利益の両面でトップ企業の貫録を示している。
(最高はChevronの12.6%、最低のbpも9.1%の利益率!)
3.当期売上高利益率 (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-53.pdf 参照)
IOC5社の今期売上高利益率はChevronが12.6%と最も高く、これに続いてTotalEnergies(11.3%)、ExxonMobil(10.0%)が二桁台の利益率を達成している。Shell及びbpもそれぞれ9.2%、9.1%の好調な利益率を記録している。
前期(4-6月期)或いは前年同期(2022年7-9月期)と比較すると、Chevronは前期12.7%、前年同期17.7%と高い利益率を維持している。これに対しExxonMobilは前期9.5%、前年同期17.5%であった。TotalEnergies は今期(11.3%)、前期(7.3%)、前年同期(9.6%)であり今期の利益率が最も高い。ShellもTotalEnergiesと同様今期の利益率が最も高い。
(続く)
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[1] 「純利益」は各社資料から下記項目を抽出した。
ExxonMobil:Net income attributable to ExxonMobil (U.S. GAAP)
Shell:Incom/loss attributabel to shareholders
bp:Profit (loss) for the period; Attributable to BP shareholders
TotalEnergies:Netincome (TotalEnergies share)
Chevron:Net income
[2] 「売上高」は各社資料から下記項目を抽出した。
ExxonMobil:Total revenues and other income
Shell:Revenue
bp:Total revenue and other income
TotalEnergies:Sales
Chevron:Sales and other operating revenues
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