石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

石油と中東のニュース(6月11日)

2022-06-11 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・サウジ:中国向け原油をカット、日本、インドは要求どおり供給

(中東関連ニュース)

・トルコ大統領、来年選挙に出馬の意向表明

・イスラエル首相、UAE訪問。大統領と会談

・イラク:サドル師、国政混乱にしびれ切らし自派国会議員に辞職提出促す

・シリア:ダマスカス空港を閉鎖、イスラエル爆撃で滑走路使用不能に

・アルジェリア、西サハラ問題めぐりスペインとの通商中断

・サウジアラムコの女性元幹部が初の中央銀行理事に選任

・UAE、6/15-9/15まで12時半から15時の屋外作業労働禁止。罰金$1,361

・景気上昇でサウジ首都リヤドの事務所入居率96%、賃料も6.5%上昇

・住友電工、エジプトに北アフリカ最大のワイヤーハーネス工場建設

・日本のロックバンドFlow、ジェッダでコンサート。アニメフアン集まる

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今週の各社プレスリリースから(6/5-6/11)

2022-06-11 | 今週のエネルギー関連新聞発表

6/6 ENEOS

実質再生可能エネルギー100%電力による電気自動車向け高出力充電器の実証について ~ 太陽光発電および蓄電池を活用 ~  

https://www.eneos.co.jp/newsrelease/upload_pdf/20220606_01_02_2006437.pdf

 

6/6 出光興産/INPEX/三井石油開発

秋田県湯沢市における地熱発電所の建設について

https://www.idemitsu.com/jp/news/2022/220606.html

 

6/6 コスモエネルギーホールディングス

アブダビ国営石油会社とブルーアンモニアの売買契約を締結

https://ceh.cosmo-oil.co.jp/press/p_220606/index.html

 

6/7 経済産業省

「令和3年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書)」 が閣議決定されました

https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220607002/20220607002.html

 

6/7 経済産業省

萩生田経済産業大臣は、ジャーベル・アブダビ国営石油会社(ADNOC)CEO兼産業・先端技術大臣との間で会談を行いました

https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220607004/20220607004.html

 

6/7 ENEOS/三井物産

アラブ首長国連邦と日本間のクリーン水素サプライチェーン構築に向けた共同事業化検討契約を締結

https://www.eneos.co.jp/newsrelease/upload_pdf/20220607_01_01_2008355.pdf

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ロシア経済制裁追随でChevron除く4社は深傷:2022年1-3月期五大国際石油企業決算速報(10)

2022-06-10 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートはマイライブラリーで一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0560OilMajor20221stQtr.pdf

 

III. 過去2年間の四半期業績推移(続き)

(各社とも3倍前後の売り上げ増加!)

2.売上高の推移

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-61.pdf 参照)

 2020年4-6月期から今期(2022年1-3月期)までの売上高の推移を見ると、2020年4-6月期はExxonMobil、Shellが326億ドル及び325億ドルで並び、これに次ぐのがTotalEnergies257億ドル、bp208億ドルであり、最も少ないChevronの売上高は159億ドルであった。因みにこの期間のBrent原油価格は29.55ドル/バレルであった。

 

 原油価格は続く7-9月期に1.5倍の43ドル/バレルに急騰し、その後も一本調子で上昇、今年1-3月期にはついに100ドルを突破している。各社もこれに比例して売上を伸ばしており、トップのExxonMobilの売上高は、326億ドル(2020.4-6月期)→462億ドル(2020.7-9月期)→465億ドル(2020.10-12月期)→591億ドル(2021.1-3月期)→677億ドル(2021.4-6月期)→738億ドル(20217-9月期)→850億ドル(2021.10-12月期)→905億ドル(2022.1-3月期)と毎期増収を記録し、2年間の間に売上高は2.8倍に伸びている。他社も同様であり、増収率はShell2.6倍、bp2.5倍、TotalEnergies2.7倍、Chevron3.3倍になっている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                              E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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SF小説:「新・ナクバの東」(21)

2022-06-09 | 荒葉一也SF小説

(英語版)

(アラビア語版)

 

2022年6月

Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」

 

21. さまよう3羽の小鳥(2)

 

「マフィア」は饒舌であった。先の見えない不安感を忘れるために彼はひたすら喋りまくった。生まれ故郷ウクライナの農村での貧しかった時代。ソビエト連邦の崩壊をきっかけに新天地を求めてイスラエルに移住した一家。移住先で与えられた荒野の開拓地での父母の奮闘。一族の期待を背に空軍に入隊し優秀なパイロットとして頭角を現したこと。今回任務を完遂したことで無事帰還すれば名誉の勲章と昇格が待ち受けているに違いないこと等々-----

マフィアは「無事帰還すれば----」と言うと急に黙りこくってしまった。

 

「アブダラー」は二人とは対照的に終始寡黙であった。イラン領空を脱した直後から体に不調を感じ始めていたのである。2週間ばかり前、高熱を出し入院していた姪を見舞いに姉の嫁ぎ先近くの病院を訪れた。その後彼自身も微熱を出したが、幸い寝込むほどのことはなかった。ただそのことは仲間に伏せていた。もし体の不調を訴えればメンバーからはずされたに違いない。彼は3人のパイロットの一人に選ばれた栄誉を失いたくなかった。

 

アラブのミズラフィム出身である「アブダラー」は「エリート」のようなアシュケナジム出身者たちとは陰に陽に差別されてきた。そのため彼の友人の中には過激組織ハマスに身を投じる者も少なくなかったが、彼自身はイスラエル国民として生きる道を選んだ。「人は国家を選べない以上、国家とともに生きる。」それが彼の信念であった。そして軍隊に志願し忠実に義務を果たした結果、今回国家的使命を帯びたパイロットに選ばれた。そのため何としても今回の任務をやり遂げたかったのである。

 

彼はまだ独身である。両親は既に亡くなっている。彼の身内は姉とその娘のルルの3人だけである。それだけに彼と姉との結びつきは強い。そして姪のルルは彼によくなついていた。

 

そんなルルが数週間前に高熱を出し、「叔父ちゃん!叔父ちゃん!」とうわ言を言っていると姉が伝えてきた。彼はその週末に急いで病院に駆け付けた。幸いにも熱は引いており、ベッドに起き上がった姪に彼は絵本を読み聞かせてやった。姪は彼の腕を抱え込みうれしそうに聞き入っていた。付き添いの姉が「ルル!そんなにくっ付いちゃ叔父さんに風邪が移っちゃうよ。」と注意したが彼女は抱え込んだ腕を離そうとしなかった。

 

(続く)

 

荒葉一也

 

前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html

 

 

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石油と中東のニュース(6月9日)

2022-06-09 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

 

(中東関連ニュース)

・ウクライナ穀物輸出問題で露・トルコ両国外相が協議

・イラン、IAEAの核施設監視カメラを撤去。核協議に暗雲

・イエメン:UN特別代表、Taez市解放問題で現地入り

・トルコのシリア領内クルド人攻撃計画に米が懸念表明

・シリアのクルド人部隊SDF、米国支援を背にトルコ対抗を表明

・イランで列車脱線事故。21人死亡、47人負傷

・米国務長官とカタール外相、イラン問題等で意見交換

・ベネズエラ大統領、トルコ訪問

・ヨルダンとUAE、ハイテクベンチャー対象の1億ドルファンド設立

・自宅でライオン3匹飼育のサウジ男性に罰金8百万ドル、懲役10年の罪状

・サウジ自然保護区で90年ぶりにオリックスの子供誕生

 

 

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ロシア経済制裁追随でChevron除く4社は深傷:2022年1-3月期五大国際石油企業決算速報 (9)

2022-06-09 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートはマイライブラリーで一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0560OilMajor20221stQtr.pdf

 

III. 過去2年間の四半期業績推移

 ここでは2020年4ー6月期以降2022年1-3月期までの8四半期の業績推移を比較する。

 

(過去8期累積でbpは300億ドルの赤字!)

1.純利益の推移

(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-62.pdf 参照)

 2020年4-6月期はコロナ禍の影響でShell▲181億ドル、bp▲168億ドルを筆頭に五社全てが巨額の損失を計上した。続く7-9月期もExxonMobil、bp、Chevronは赤字となり、10-12月期はExxonMobil、Shell及びChevronが赤字になるなど各社いずれも最悪の四半期決算が続いた。2021年に入ってようやく利益を計上できるまでに回復、同年の1-3月期、4-6月期及び10-12月期は5社全てが黒字を計上している。例えば10-12月期はShellが115億ドルの利益を確保、ExxonMobil89億ドル、TotalEnergies及びChevron両社50億ドル台、bpも23億ドルの利益を計上している。2022年1-3月期もbp以外の各社の業績は堅調であった。このような中でbpのみは業績が低迷しており、過去8期のうち4期は欠損である。その累損額は▲288億ドルに達し、5社の中で唯一累積損益がマイナスになっている。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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ロシア経済制裁追随でChevron除く4社は深傷:2022年1-3月期五大国際石油企業決算速報 (8)

2022-06-08 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートはマイライブラリーで一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0560OilMajor20221stQtr.pdf

 

II. 五社の業績比較(続き)

(投資に意欲的なExxonMobilとShell!)

5.設備投資[1]

(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-54.pdf 参照)

 国際石油企業5社の1-3月期設備投資は、ExxonMobilが49億ドルで最も多く、これに次ぐのがShellの42億ドルである。その他の3社はbp及びTotalEnergiesが29億ドル、Chevronが28億ドルであった。前期に比べるといずれも減少しているが、ShellとTotalEnergiesは▲32%と5社の中で減少幅が最も大きい。

 

(原油・天然ガス共にExxonMobilがトップ!)

6.石油及び天然ガス生産量

(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-55.pdf 参照)

(1)原油生産量[2]

 2022年1-3月期の原油生産量が最も多かったのはExxonMobilの2,266千B/Dであり、5社の中でただ一社2百万B/Dを超えている。ExxonMobilに次いで生産量が多いのはChevron(1,736千B/D)でExxonMobilの8割である。第3、4位はTotalEnergies(1,527千B/D)、Shell(1,403千B/D)。bpは最も少ない948千B/Dで5社の中で唯一100万B/Dを下回っている。

 

(2)天然ガス生産量[3]

 天然ガスの生産量が最も多いのはExxonMobilの日産85億立方フィートで石油に換算すると1,409千B/Dであった。2位以下はChevronの79億立方フィート(石油換算1,324千B/D )、TotalEnergies 72億立方フィート(石油換算1,316千B/D )と続き、第4位はShellの36億立方フィート(石油換算622千B/D )であり、最も少ないのはbpの20億立方フィート(石油換算338千B/D )であった。

 

(3)石油・天然ガス合計生産量[4]

 石油と天然ガスの合計生産量が最も多いのはExxonMobilであり石油換算で3,675千B/Dである。2位はChevronの3,060千B/Dでこの2社が合計生産量3百万B/Dを超えている。3位TotalEnergies(2,843千B/D)及びShell(2,025千B/D)が200万B/D台で、5社の中で最も少ないのはBPの1,286千B/Dであった。ExxonMobilの生産量を100とした場合、他の4社はChevron 83、TotalEnergies 77、Shell 55、bpは35である。Shellの生産量はExxonMobilの2分の1、bpは3分の1となる。

 

 各社の石油と天然ガスの比率を見ると、ExxonMobilは石油62%、天然ガス38%であり、その他の4社はShell(石油69%:天然ガス31%)、bp(石油74%:天然ガス26%)、Chevron(石油57%:天然ガス43%)、TotalEnergies(石油54%:天然ガス46%)である。5社いずれも石油の比率が天然ガスを上回っているが、石油の比率が最も高いのはbp(74%)で、逆に最も低いのはTotalEnergies(54%)である。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

[1]  「設備投資」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Capital and Exploration Expenditures

Shell:Capital expenditure, Consolidated Statement of Cash Flow

bp:Capital expenditure

TotalEnergies:12. Net investments

Chevron:Capital & Exploratory Expenditure, Worldwide

[2] 「原油生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Net production of crude oil, natural gas liquid, bitumen and tsynthetic oil

Shell:Liquid production available for sale

bp:Production (net of royalties), Liquids

TotalEnergies:

Chevron:Net liquid production

[3] 「天然ガス生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Natural gas production available for sale

Shell:Natural gas production available for sale

bp:Production (net of royalities), Natural gas

TotalEnergies:Hydrocarbon production, Gas

Chevron:Net natural gas production, Worldwide

[4] 「石油・天然ガス合計生産量」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:                     

Shell:Total production in barrels of oil equivalent    

bp:Production (net of royalities), Total hydrocarbons             

TotalEnergies:

Chevron:Total net oil-eqivalent production 

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石油と中東のニュース(6月7日)

2022-06-07 | 今日のニュース

(石油関連ニュース)

原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

・サウジアラムコ、OPEC+増産の一方でアジア・欧州向け価格引き上げ

・原油価格6日には120ドル突破。7日現在Brent $119.70, WTI 118.75

(中東関連ニュース)

・オデッサ港からのウクライナ穀物輸出でトルコとロシアが合意:イズベスチャ報道

・インド、与党幹部の預言者侮辱発言でイスラム諸国が炎上

・イラン核協議崩壊の危機に。両陣営がぎりぎりのせめぎ合い

・チュニジア旧憲法第1条から「イスラム」の文字削除。新草案成る

・エジプト-ヨルダン-レバノン送電網完成。石油パイプライン網も80%完成

・レバノン、イスラエルの海上ガス田開発で米に調停依頼

・木原官房副長官、UAEに原油安定供給で謝意表明

・クウェイト:自動車販売Alghanim社のIPOに11倍の応募

・ドバイにインフレの影響なし。1-5月の不動産取引168億ドル

・トルコ大統領:低金利政策は堅持。高金利は貧富格差を拡大

・イラン、カタールに経済アタッシェ常駐。第8回経済合同委員会開催

・国連報告書:中東諸国の食品ロス、イランが最少71kg/人、サウジ105Kg

 

 

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データベース更新のお知らせ

2022-06-06 | データベース追加・更新

下記データベースを更新しましたのでご利用ください。

 

・OPEC 及びNon OPEC (OPEC+) の国別生産枠(Required Production)

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ロシア経済制裁追随でChevron除く4社は深傷:2022年1-3月期五大国際石油企業決算速報 (7)

2022-06-06 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートはマイライブラリーで一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0560OilMajor20221stQtr.pdf

 

II. 五社の業績比較(続き)

4.キャッシュフロー[1]

(ExxonMobil/Shellは他社の2倍!)

(1)営業キャッシュフロー(以下C/F)[2] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56a.pdf参照)

 今期の5社の営業C/FはExxonMobil及びShellが148億ドルで並んでおり、bp、Chevron、TotalEnergiesはその2分の1強の80億ドル前後である。

 

(投資に意欲的なShellとExxonMobil、慎重なChevron!)

(2)投資C/F[3] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56b.pdf参照)

 投資C/Fによるキャッシュの流出はShellが最も多く▲43億ドルであり、これに次ぐのがExxonMobilの▲39億ドルであった。TotalEnergies及びbpはそれぞれ▲24億ドル、▲19億ドルでShellの2分の1程度にとどまっている。Chevronはこれら4社に比べ投資に慎重であり同社の1-3月期の投資C/Fは▲7億ドルであった。

 

(100億ドルを超えるExxonMobilとShell!)

(3)フリーC/F[4](図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56c.pdf参照)

 フリーキャッシュフローとは、会社が事業活動で稼いだお金のうち、自由(フリー)に使える現金(キャッシュ)がどれだけあるかを示すものである。なお5社のうちExxonMobil、Shell及びChevronは決算資料に明記されている。bp、TotalEnergiesについては上記の営業C/Fと投資C/Fの差額をフリーC/Fとして比較した。

 

 フリーC/Fが最も多いのはExxonMobilの108億ドルであり、Shellが105億ドルでこれに続いている。bpとChevronは60億ドル強であり、最も少ないのはTotalEnergiesの52億ドルである。

 

(5社の中で唯一返済が調達を上回ったTotalEnergies!)

(4)財務C/F[5] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56d.pdf参照)

財務C/Fの収支はShellが▲90億ドルと最も大きく、これに次ぐのはExxonMobil(▲67億ドルであった。bp及びChevronはそれぞれ▲25億ドル、▲14億ドルであり、これら4社は資金の調達額が返済額を上回っている。これに対してTotalEnergiesは5社の中で唯一返済額が調達額を上回っており、差引プラス50億ドルとなっている。同社は財務体質の強化を目指しているようである。

 

(残高が他社の3分の1以下のExxonMobil!)

(5)C/F期末残高[6] (図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-56e.pdf参照)

 3月末キャッシュフロー残高を比較する。なおChevronは資料に残高が明記されていないためここでは4社を比較する。

 

 残高が最も多いのはShellの384億ドルである。bp及びTotalEnergiesの残高もそれぞれ344億ドル、313億ドルであり、3社はほぼ肩を並べている。しかしExxonMobilの残高は111億ドルにとどまり、3社のほぼ3分の1で極めて少ない。

 

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

 

[1] キャッシュ・フロー(cash flow、現金流量)とは、現金の流れを意味し、主に、企業活動や財務活動によって実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことをいう。欧米では古くからキャッシュ・フロー会計にもとづくキャッシュ・フロー計算書(Cash flow statement, C/F)の作成が企業に義務付けられており、日本でも1999年度から上場企業は財務諸表の一つとしてキャッシュ・フロー計算書を作成することが法律上義務付けられている。

 キャッシュ・フローは(1)営業キャッシュ・フロー(日常的な、生産・営業活動によって稼得する現金と、それに要する現金コストの収支)、(2)投資キャッシュ・フロー(工場新設やビル建設・トラック購入などの設備投資・有価証券投資に要する現金支払いと資産売却による収入)及び(3)財務キャッシュ・フロー(財務活動による現金の収支)の3種類があり、これらの総合収支が会計期間内の現金収支であり、期首(前期末)の現金(及び現金相当物)の残高に期間内の収支を加えたものが当期末の現金(及び現金相当物)となる。(Wikipediaより)

[2] 「営業キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。

ExxonMobil:Cash Flow form Operating Activities (U.S. GAAP) / Net cash provided by operating activities (U.S. GAAP)

Shell:Cash flow from operating activities

bp:Net cash provided by operating activities, Condensed group cash flow statement

TotalEnergies:Cash flow from operating activities, TotalEnergies financial statements

Chevron:Net cash provided by Operating Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)

[3]「投資キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。

Shell:Cash flow from investing activities

bp:Net cash used in investing activities

TotalEnergies:Cash flow used in investing activities, TotalEnergie financial statement

Chevron:Net cash Used for Investing Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)

[4] 「フリーキャッシュフロー」はExxonMobil、Shell及びChevron3社は各社資料から抽出、bp及びTotalEnergies2社は営業C/Fと投資C/Fの差額とした。

ExxonMobil:Free cash flow

Shell:Free cash flow

Chevron:Free cash flow, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)

[5]「財務キャッシュ・フロー」は各社資料から下記項目を抽出した。

Shell:Cash flow from financing activities

bp:Net cash provided by (used in) financing activities

TotalEnergies:Cash flow from (used in) financing activities, Total financial statement

Chevron:Net cash provided by (Used for) Financing Activities, Summerrized Statement of Cash Flow (Preliminary)

[6] 「キャッシュフロー期末残高」は各社資料から下記項目を抽出した。なおChevronは資料に明記されていない。

ExxonMobil:Cash and cash equivalent at end of period

Shell:Cash and cash equivalent at end of period

bp:Cash and cash equivalent at the end of the period

TotalEnergies:Cash and cash equivalent at end of period, TotalEnergies financial statement

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