石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

(SF小説) ナクバの東(49)

2024-12-24 | 荒葉一也SF小説

Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(46)

第18章 撃ち落された給油機(2)引き裂かれる編隊(1/3)

 

羊を放牧していたベドウィンの少年は西から東に向かう3本の飛行機雲に見とれていた。まもなく西の空に別の飛行機雲が現れた。先頭が2機、その後に3機、さらに最後尾4機の見事な編隊飛行である。少年にはそれがサッカーの攻撃の布陣そのもののように見えた。9機は最初の3機に追いつき、合計12機の大編隊となり、次には4機ずつの3編隊に分かれた。

その後、左右の2編隊はジグザグ飛行を続けながらも次第に遠ざかり、残る中央の1編隊は真っ直ぐに飛び続け砂漠の地平線に消え去った。それはまさに見事なページェントを見る思いであった。

少年はあんぐりと口を開けたまま空を仰ぎ興奮気味につぶやいた。<テントに戻ったら両親や友達に話さなくっちゃ>。

(続く)


荒葉一也
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中東とエネルギーのニュース(12月23日)

2024-12-23 | 今日のニュース
(エネルギー関連ニュース)
原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil

(中東関連ニュース)





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現地記事転載:アサド政権崩壊で明るみに出た二つの暗部

2024-12-23 | 今日のニュース
シリアのアサド政権崩壊により同政権の二つの暗部が明らかになった。それは刑務所における数十万人の市民に対する拷問と虐殺、及び政権の資金源となった合成麻薬の製造販売網である。


その2:アサド一族によるカプタゴン麻薬帝国
(原題) Bashar Assad's fall lays bare Syrian regime's Captagon drug empire
https://www.dailysabah.com/world/mid-east/bashar-assads-fall-lays-bare-syrian-regimes-captagon-drug-empire
2024/12/19 Daily Sabah(AP電)





専門家によると、シリアのアサド政権の崩壊により、中毒性の高い覚醒剤の100億ドル規模の世界的取引を支えていた大規模なカプタゴン製造施設が明らかになった。


この薬物の製造に使われた場所の中には、ダマスカスのマゼ空軍基地、ラタキアの自動車取引会社、ダマスカス郊外ドゥーマのかつてスナックチップを製造していた工場などがある。政府軍は2018年にこれらの工場を接収した。


工場の元所有者であるフィラス・アル・トゥート氏は「アサドの協力者がこの場所を支配していた。政権が崩壊した後、ここに来て火事になっているのを見た」と、AP通信に語った。「彼らは夜に来て薬物に火をつけたが、すべてを燃やすことはできなかった」。 現在シリアを支配している主要グループ、ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS)の活動家アブ・ジハブ氏は、同グループが記者らにサイトへのアクセスを許可した際に「国民を殺すためのカプタゴン錠剤がここから生まれた」と語った。


14年近く続いたく内戦で国が分裂、経済も崩壊した結果が、この薬物の生産にとって肥沃な土壌を作った。アサド政権は、犯罪グループが運営する小規模なカプタゴン生産を、10億ドル規模の収入源へと変貌させた。アサドの追放は、これらのネットワークを混乱させ、彼の権力を支えた戦争経済の仕組みを明らかにした。専門家は、シリアの変化がカプタゴン産業を解体する機会を生み出すかもしれないと述べている。


カプタゴンは、ナルコレプシーなどの症状に対する処方箋刺激剤として、1960年代にドイツで最初に開発された。その後、心臓の問題と依存性のため禁止された。アンフェタミンのような効果で集中力を高め、疲労を軽減するため、中東の戦争地帯では人気があった。シリアの経済混乱と厳しい制裁が課せられる中、アサド政権は安価に製造できるこの薬に商機を見出したのである。カプタゴンは、アンフェタミン誘導体と賦形剤を混ぜるという単純な化学プロセスで簡単に作ることができる。


カプタゴン取引は、アサド政権とシリア国内の他の武装グループが製造施設、倉庫、密輸ネットワークに投資したため、2018年から2019年頃に産業化が始まった。これによりシリアは世界最大のカプタゴン生産国となり、一部の生産はレバノンでも行われている。


圧倒的な証拠
シンクタンクのニューラインズ研究所のカプタゴン貿易プロジェクトのデータによると、押収されたカプタゴンの積荷のほとんどはシリア産だった。5月に発表された報告書によると、アサド政権がカプタゴン産業を支援している証拠は疑う余地が無い。報告書によると、アサドの弟マヘルが率いるシリア政権軍第4機甲師団の治安部隊が作戦を監督し、生産システムを構築した。


カプタゴンはトラックや貨物で国境を越えて密輸された。時には、薬物は検出を逃れるために食品、電子機器、建設資材に隠された。主な密輸ルートはシリアとレバノン、ヨルダン、イラクの国境の抜け穴で、そこから麻薬は地域全体に流通した。主要市場はサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などの裕福な湾岸諸国である。


レバノンでは、特にシリア国境付近とベカー高原でカプタゴンの取引が盛んに行われている。レバノン当局はシリアからのカプタゴンの流入を阻止するのに苦労しているが、アナリストらは、この流れをイラン支援のヒズボラが後押ししていると指摘している。ザクロやオレンジの間に隠された麻薬が果物の木箱から発見されたため、サウジアラビアとUAEはレバノンの農産物の禁止を実施した。


カプタゴンは東南アジアやヨーロッパの一部にも流れ込んでいる。ニューラインズ研究所カプタゴン貿易プロジェクトのディレクター、キャロライン・ローズ氏によると、カプタゴンの年間世界貿易は推定100億ドルで、追放されたアサド家の年間利益は約24億ドルに達する。


「政権と関係のある産業規模の施設がこれほど多く発見されたのは衝撃的だが、意外ではない。政権に味方する主要な取り巻きやアサド家のメンバーが貿易に関わっていることを示す証拠は豊富にあった」とローズ氏は述べた。ニューラインズ研究所は、カプタゴンの押収物などの記録をすべて公的に追跡しており、カプタゴンと旧政権の具体的な関係を裏付ける証拠だとローズ氏は述べている。


数百の工場
シリアにある工場の正確な数は不明だが、専門家やHTSのメンバーは、全国に数百の工場がある可能性が高いと推定している。近隣諸国は長い間麻薬密売の抑制に努めてきたが、アサドに対する影響力は限られていた。サウジアラビアはカプタゴンの密輸に厳しい罰則を課し、国境警備を強化し、他の湾岸諸国と協力して密輸ルートを監視した。


しかし、これらの取り組みは、シリア、レバノン、ヨルダンで活動する複雑なネットワークと言う問題に直面している。近年、いくつかのアラブ諸国がアサドとの関係を再構築する中、カプタゴンの取引停止は関係正常化を目指す交渉における重要な要求であった。


2023年5月、シリアはアラブ連盟に再加盟した。シリアは密輸を取り締まることを約束し、地域安全保障調整委員会の設立につながったのである。首脳会談の直後、舞台裏でのトレードオフの兆候として、ヨルダンはシリア国境沿いの監視を強化した。活動家や専門家は、ダラア近郊の麻薬王の自宅とカプタゴン工場とみられる場所への空爆は、おそらくアサド大統領の同意を得てヨルダンが行ったものだとしている。


アサド大統領はシリアを「世界最大のカプタゴン工場」に変えたと、HTSの指導者アフマド・アル・シャラー氏は12月8日、ダマスカスのウマイヤド・モスクで勝利演説を行った際に述べた。「今日、シリアは全能のアッラーの恩恵により浄化されつつある」。


アサド大統領とその取り巻きが主な受益者だったかもしれないが、組織犯罪ネットワークも資金を調達するために麻薬を製造し密輸していたとアナリストらは指摘している。




以上


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現地記事転載:アサド政権崩壊で明るみに出た二つの暗部

2024-12-22 | 今日のニュース
シリアのアサド政権崩壊により同政権の二つの暗部が明らかになった。それは刑務所における数十万人の市民に対する拷問と虐殺、及び政権の資金源となった合成麻薬の製造販売網である。



その1:大量墓地が暴露したアサドの「死の機械」 

(原題) Syrian mass graves expose Assad’s ‘machinery of death’
https://www.arabnews.com/node/2583455/middle-east
2024/12/17 Arab News(ロイター電)


シリア、クタイファ:国際戦争犯罪検察官は火曜日、シリアの2か所の大規模埋葬地から出てきた証拠は、アサド大統領の下で2013年以来10万人以上が拷問され殺害されたことを明らかにしたと述べた。


ダマスカス近郊のクタイファとナジャの町にある2つの大量墓地を訪問した元米国戦争犯罪特使のスティーブン・ラップ氏はロイター通信に対し、「拷問されて死亡した人は10万人以上いるのは確かだ。これらの大量墓地で目にしたものを考えると、そのような数字に疑問はない」、 「ナチス以来、このようなことは本当に見たことがない」と語っている。ラップ氏はルワンダとシエラレオネの戦争犯罪法廷で訴追を指揮しており、戦争犯罪の証拠を記録し、将来行われる裁判の準備に協力している。


さらにラップ氏は、「人々を街や家から消した秘密警察から、人々を餓死させ拷問して死に至らしめた看守や尋問官、死体を隠したトラック運転手やブルドーザーの運転手まで、何千人もの人々がこの殺害システムで働いていた。それは死の機械となった国家テロシステムです」。と語っている。


アサド大統領による抗議活動の取り締まりが本格的な戦争に発展した2011年以来、数十万人のシリア人が殺害されたと推定されている。アサド大統領と前任大統領で2000年に死去した父のハフェズ氏は、同国の刑務所内での大量処刑やシリア国民に対する化学兵器の使用など、法外な殺害を広範囲に行っているとして、人権団体や政府から長い間非難されてきた。これに対しモスクワに逃亡したアサド氏は、政権が人権侵害を犯したことを何度も否定し、批判者を過激派とみなしたのであった。


米国に拠点を置くシリア支援団体「シリア緊急タスクフォース」のムアズ・ムスタファ代表は、ダマスカスの北25マイル(40キロ)にあるクタイファも訪問し、そこだけで少なくとも10万体の遺体が埋葬されていると推定している。


ハーグにある国際行方不明者委員会は、シリアには未確認の大量墓地が66カ所ある可能性を示唆するデータを受け取ったと発表した。同委員会には15万7千人以上の行方不明者が報告されている。
同委員会のキャサリン・ボンバーガー委員長はロイター通信に対し、行方不明者報告用のポータルサイトには家族からの新たな連絡が殺到していると語った。


家族にとって、シリアでの真実の探求は長く困難なものになる可能性がある。DNAの一致には、少なくとも3人の親族がDNAのサンプルを提供し、墓地で見つかったこれらの白骨遺体からDNAサンプルを採取する必要があるとボンバーガー氏は述べた。同委員会は、裁判に備えて証拠を保存できるよう墓地を保護することを求めている。米国務省は火曜日、シリア国民が確実に回答と説明責任を得られるよう、米国は国連の複数の機関と連携していると述べている。


クタイファとナジャの墓地の近くに住むシリア住民は、冷蔵トラックが次々と遺体を運び、ブルドーザーで掘った長い溝に遺体を投棄するのを見たと証言している。「墓は組織的に準備されていた。トラックが来て、積んでいた荷物を降ろして去っていく。警備車両も同行していたが、誰も近づくことは許されず、近づいた者は皆、一緒に埋葬された」とナジャ墓地の隣で農業を営むアブ・ハリドさんは語った。


クタイファでは、住民は報復を恐れてカメラの前で話すことや名前を明かすことを拒否し、アサド政権崩壊後もこの地域が安全かどうかまだ確信が持てないと述べた。「ここは恐怖の場所だ」と、ある住民は語った。セメントの壁で囲まれた敷地内では、3人の子供がロシア製の軍用車両の近くで遊んでいた。土は平らにならされており、遺体が埋葬されたと思われる場所にはまっすぐな長い跡があった。


ロイターが分析した衛星画像によると、この場所では2012年から2014年の間に大規模な掘削が始まり、2022年まで続いた。その時期に撮影した複数の衛星画像には、掘削機と大きな溝、そして3台か4台の大型トラックが写っていた。


ナジャ墓地の近くに住む元反アサド抗議運動指導者のオマール・フジェイラティ氏は、行方不明の家族の何人かが墓の中にいるのではないかと語った。彼は、2人の息子と4人の兄弟を含む、少なくとも何人かの連行された人々は、アサド政権に抗議したために拘束されたと考えている。「それが私が問われた罪であり、彼らが家族を連行した理由です」と彼は言った。彼の背後には、遺体が埋葬されたと思われる長い露出した溝があった。


シリアの大量墓地の詳細は、2021年と2023年のドイツの法廷審問と米国議会の証言で初めて明らかになった。「墓掘り人」とだけ特定された男性は、シリア政府関係者に対するドイツの裁判で、ナジャとクタイファの墓地での自分の仕事について証人として繰り返し証言した。2011年末、ダマスカス周辺の墓地で働いていたとき、2人の諜報員が彼のオフィスに現れ、彼と彼の同僚に死体を運び埋葬するよう命じた。彼は、2011年から2018年の間、アサドの写真が飾られたバンに乗って週に数回現場に行き、その後を遺体を満載した大型冷蔵トラックが続いたと証言した。


彼は裁判で、トラックは軍病院からナジャとクタイファまで数百体の遺体を運んだと述べた。現場ではすでに深い溝が掘られており、墓掘り人とその同僚は溝に遺体を降ろし、溝の一部がいっぱいになるとすぐに掘削機で土で覆ったと彼は語った。


「毎週2回、ダマスカス周辺の軍病院や諜報機関から、拷問、飢餓、処刑の犠牲者の遺体300~600体を積んだトレーラートラック3台が到着した」と同氏は議会に文書で述べた。この墓掘り人は2018年にシリアからヨーロッパに逃亡し、集団墓地について繰り返し証言しているが、常に身元は一般市民やメディアから隠されている。




以上


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(SF小説) ナクバの東(48)

2024-12-21 | 荒葉一也SF小説
(英語版)
(アラビア語版)


Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(45)


第17章 撃ち落された給油機(1)引き裂かれる編隊(3/3)

9機はイスラエル機の背後に接近すると、そのうち2機が左右の護衛機の頭上に張り付き護衛機と給油機の間に強引に割り込み始めた。小鳥たちは必死になって割り込みを防ごうとしたが、ついにイスラエルの3機とサウジアラビアの2機はほぼ横一直線に並んだ。そしてサウジアラビア機は機体を小刻みに振り護衛機を給油機から遠ざけようとした。それはまるで親鳥とそれにぴったり寄り添う2匹の小鳥の仲良し親子を引き裂こうとするようであった。


給油機と護衛機の間隔が次第に広がるのを見て後方の7機も前方に移動し、結局イスラエルの3機それぞれをサウジアラビアの戦闘機3機ずつが左右と後方から取り囲む形となった。


(続く)




荒葉一也
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今週の各社プレスリリースから(12/15-12/21)

2024-12-21 | 今日のニュース
12/18    出光興産    
豪州でバナジウム事業を推進する Vecco 社へ過半出資、クリティカルミネラル事業へ本格進出    
https://ssl4.eir-parts.net/doc/5019/tdnet/2541257/00.pdf

12/18 INPEX 
新潟県でのブルー水素製造に向けた基本設計準備作業の開始について 
https://www.inpex.co.jp/news/2024/20241218.html

12/19 JX石油開発 
JX石油開発株式会社とJX金属株式会社とのJX金属探開株式会社における協業について 
https://www.nex.jx-group.co.jp/newsrelease/upload_files/NOEX241219JP.pdf

12/20 ENEOSホールディングス 
役員等の人事異動について 
https://www.hd.eneos.co.jp/news/release_information/upload/20241220_03_01_0960492.pdf

12/20 ENEOSホールディングス 
組織の改正について 
https://www.hd.eneos.co.jp/news/release_information/upload/20241220_01_01_0960492.pdf


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中東とエネルギーのニュース(12月20日)

2024-12-20 | 今日のニュース


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(SF小説) ナクバの東(47)

2024-12-19 | 荒葉一也SF小説
(英語版)
(アラビア語版)


Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(44)


第17章 撃ち落された給油機(1)引き裂かれる編隊(2/3)

しかし上下ですれ違うと同時に9機は急上昇に転じ、イスラエル機の高度に達するや猛烈な追撃を開始した。トップスピードにあげると9機はたちまち給油機と護衛の2機に追いついた。イスラエル側もサウジアラビア側も戦闘機は全く同じF16である。しかし一方は足の遅い給油機と一緒のため追い付くのにさほど時間はかからなかった。


レーダーは9機が刻々と猛追してくる状況を示しているが、イスラエル側にはなすすべがない。後方からの接近のため自らの目で確認することは困難だ。戦闘機のコックピットは前方の視界に対しては上下左右ともかなり広い。しかし後方となると自らの機体に遮られほとんど視界が利かない。ましてヘルメットと酸素マスクが邪魔をしてわずかに首を真横に振ることができるだけである。イスラエル機のパイロット達はただ相手の出方を見る他なかった。


(続く)




荒葉一也
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中東とエネルギーのニュース(12月18日)

2024-12-18 | 今日のニュース
(エネルギー関連ニュース)
原油/天然ガス価格チャート:https://tradingeconomics.com/commodity/brent-crude-oil
・原油価格微落:Brent $73.85, WTI $70.60

(中東関連ニュース)




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(SF小説) ナクバの東(46)

2024-12-17 | 荒葉一也SF小説
(英語版)
(アラビア語版)


Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(43)


第17章 撃ち落された給油機(1)背後から忍び寄るサウジ空軍機(1/3)


 サウジアラビア空軍のF16戦闘機9機はアラビア半島付け根のほぼ中間地点でイスラエルの給油機と護衛の2機に遭遇した。と言っても正面から対峙した訳ではなく、かなり手前から高度を下げて上空のイスラエルの3機をやり過ごすや直ちに反転し後方に回り込んだのである。


勿論イスラエル機のレーダーはサウジアラビア方面からこちらに向かってくる機影を捉えている。それがレーダーの端に現れた時はまだ機種も機数も確認できなかったが、双方の距離が次第に狭まり漸く9機の編隊であることがわかった。


レーダーは9機の編隊が彼らよりはるかに低い高度を飛行していると教えている。真正面から直接攻撃してくる気配はなさそうだ。イスラエルのパイロット達は編隊が自分たちの眼下を通り過ぎるのを目にした。サウジアラビア空軍の飛行訓練だと思った。


(続く)


荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)


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