ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ブログ開設二周年

2006年07月31日 | ITS
8月1日でブログ開設以来、2年が経過する。

この2年間、ETCの装着率が向上したこと以外、ITSに関してはほとんど進展がみられなかった。ほぼ、予想してきた通りの展開となっている、といえる。
この先も、ITSがビジネスとして急浮上する可能性はないだろう。

最近はITSという言葉自体、メディアでの露出度が下がってきており、記事を書くネタも減ってきてしまった。
そういう意味では、このブログを続ける意味もあまりなくなってしまったような気がする。

そんな中、さる7月22日に国交省ITSホームページでスマートウェイ推進会議の最新議事録が発表された。
ITSは主として交通安全、事故死者減にフォーカスする、という意味ではやっと地に足がついたことを言い始めているが、相変わらず「路車間通信」で「情報をITS車載器に表示する」ことにこだわっている。

クルマが通信手段を装備する、ということが前提になってしまっているのだ。
これはどう考えても、おかしい。

ひとつ例をあげよう。

現在、オフィスではひとり1台PCを持っていることが常識だ。
これは、そのほうが圧倒的に便利で、業務能率が向上するからである。
その結果、社内に情報を伝達する手段としても活用されている。

だからといって、火事の通報をメールでやるだろうか?そんなことはありえない。
なかにはいつまでたってもPCを使えない人もいる。PCがなくても業務が出来る部門もある。
常識的に考えればローテクな館内放送を使うだろう。

ところが、スマートウェイ推進会議はまったく逆のことを言っているのだ。
カーブ先の事故や渋滞を、路側の電光掲示板ではなく路車間通信で車内の表示器に表示させる、といっているのだ。
そして、そのためにすべてのクルマに対応する受信機と表示器(つまりは、ITS車載器)と搭載させたい、といっているのだ。

そうはいっても、カーブ先の渋滞情報を監視カメラなどで察知するシステムを設置したら、路側電光掲示板の表示も不可欠だろう。
一部の車両にしか装着されていない車載表示機だけに情報提供する、なんて、倫理的にあり得ない。

しかし、電光掲示板に情報が表示されるなら、それで十分と考える人も多いはずだ。
余分な出費をしてまで車載器に表示させたいと思うユーザーは、むしろ少数派だろう。

クルマに通信機器が搭載されるほうが便利ならば、放っておいても普及する。
それが100%普及したなら、それを使って安全情報を流せば良い。
でも、多分その逆はあり得ないのだ。