TakaPの数学日記

数学を教えていて感じたことや日常の感想などを記録しました。

物語7

2008年06月11日 17時45分06秒 | 物語
前号までのあらすじ

 空飛ぶジュータンは思うように動いてはくれなかった、迎えにきた男は何やら呪文をとなえ始めた。
「・・・、不生不滅、不垢不浄、不増不減。是故空中、無色、無受・想・行・識、無・・・」
 「雑念があるとうまく動いてくれないようなのです、大先生。」
 
 「わかりました。とにかく早くお城へ・・・」

・・・・・・・・・

 こうして何とか二人はお城へたどりついた。
 
お城では・・・・。

 何やら宴会が始まっている様子。花火が上がったり、ファンファーレの音楽が聞こえてきたり、着飾った人々がお城を出入りしていた。

「大王様にお目にかかりましょう」と男が言った。
「そうですね」大先生が応えた。

今度はジュータンは思うように動くらしい。ふわふわとお城の付近を舞っていた。
「あそこです、行きましょう。」

ジュータンは大王様のそばまで近づいた。

「あ~、だれぢゃ」
「私でございます」
「大先生か、良く参ったな」
「大王様にはごきげんうるわしく・・・」
「あ~、よいよい。そのような他人行儀な。苦しゅうないぞ」
「ははっ」
「誰か、酒を、酒をもて。大先生、久しぶりぢゃ、ゆるりとするがよい」
「おそれながら、私はお酒をいただきに参ったのではございません」
「野暮なことは申すな。遠慮は要らぬぞ、今宵は余の区切りになる日なのぢゃから・・・」
「と申しますと」
「そちも分かっておろう。余ももう歳でなぁ。そろそろ、大王という稼業を辞め、残りの人生を余のためにのんびりと暮らそうと思うてなぁ・・・」

「ところで、余のことは存じておろうのう」

 大先生は、この大王が治める国の王は満60歳で退位しなければならない事を知っていた。

(つづく)





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