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ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

親知らず親知らず、ああ親知らず

2022年05月07日 | ひとりごと
火曜日の朝、残りの親知らず3本をいっきに抜いた。
現場に行くまでは全くそんなつもりは無かったのだけど、新たに撮ったレントゲン写真を見た歯科医が、もうこれは時間の問題だから、3本とも抜いてしまいませんか?と言ってきて、
それを聞いたわたしの頭の中はもうクルクルのパーで、たった一本の親知らずでも、下のは上のと違ってちょっと大変だと聞いていたから緊張してたのに、一度に全部ってなんだ?ってなって、しばらくは返事もできなかった。
その日は自分一人で行くつもりだったのだけど、送り迎えを夫にしてもらうのはもちろんのこと、仕事も全部キャンセルしなさい、もっと自分のことを大切にしなさいと、夫と義母に強く言われて、さすがに言うことを聞かないわけにはいかず、送り迎えを夫に任せ、仕事も休んでいた。
なので、眠ってしまう静脈内鎮静法の麻酔をしてもらっても家に帰ることができるし、家に戻ったら安静にしていることもできる。
それに、一本ずつ抜くとなると、局所麻酔や笑気麻酔にその都度お金がかかるし、抜歯後にしばらく続けなければならない流動食や抗生物質の服用などの期間が3倍になる。
それを一度に効率よく済ませた方がいいのかもしれない。
といっても、問題はそんな単純ではない。
わたしは保険が無いので、3本の抜歯の費用が恐ろしい。
するとしばらくして、スタッフの人が見積書を手にやって来た。
もともと、下側の親知らず一本で830ドルを支払う予定だった。
そこに静脈内鎮静法の麻酔代、そしてあと2本の親知らずの抜歯代。
前に、別のところの専門医に、インプラント治療のために奥歯(親知らずのすぐ隣)を抜いてもらった時は、たった1本に1600ドルも払った。
その後に続く治療費のバカ高さに驚愕してとっとと逃げ出し、それ以降にお世話になっている超良心的な歯科医院から紹介された専門医だから、まさかぼったくりはしないだろうけど…。
見積書の最後に書かれていた数字を見ると、3本の抜歯で約2000ドル。
けれども実費払いなので20%オフになって1800ドル。
前の所と比べたら、ほぼ3分の1だけど、それでもやっぱりキツい。
う〜ん…診療用椅子に座ったまま唸り続けること5分。
結局、もうじゃあいっきにやっちゃってくださいと返事をした。

するとスタッフがわらわらと部屋に入ってきて、点滴袋を設置したり、血圧計とオキシメーターを腕に装着したり、心拍を測るパッチをペタペタと貼り付けたりし始めた。
それらと繋がっているモニターからは、わたしのやたらと忙しい心拍音が聞こえてくる。
いやあ、これ、緊張しますがな。
いよいよ静脈確保という時になって、それを歯科医本人がやろうとするもんだから焦ってしまった。
よほどのベテランの看護師さんで、しかも確保が大の得意、みたいな人でないと絶対に無理なのに…。
あのぉ、わたしの静脈ルート、めっちゃ見つけにくいと思いますよと、はかない願いを込めて言ってみた。
え?そうなの?まあ大丈夫だと思うよ、などと鼻歌まじりに言って、全く交代する気配は無い。
観念して目を閉じた。
痛っ!痛っ!痛っ!
何回か針を挿しては抜き、また挿しては抜き、徐々に腕の下側に移動して、ついには手の甲の血管穿刺となった時になって、やっとごめんねと謝った。
いやあ、何が痛いって、これが痛いんですよね〜と、涙目になって言うわたし。
一体いつになったら点滴の針がスッと入る日が来るんだろうか。

麻酔薬が加えられて、「さあ、ハワイに行こう〜!」などという寒いジョークを聞いてるうちに全く何もわからなくなった。
気がついた時にはもう、後片付けをするスタッフ以外は誰もいなくて、椅子からよっこらしょと降りたわたしを夫が迎えに来ていた。
あれ?電話したっけか?
まだフワフワとしたまま車に乗って、薬局で抗生物質やうがい薬などを受け取って、家に戻った頃にはずいぶんとはっきりしてきたのだけど、出血がなかなか止まらなかったのでガーゼをずっと噛んでいた。
痛いのか気持ちが悪いのか、そのどっちもが行ったり来たりして、もう20時間以上もずっと飲み食い無しのままなのに食欲なんか全く無くて、ああ、やっぱ3本は無謀だったかもと、ちょっとだけ後悔した。
しばらくはぐったりとして、寝てるのか起きてるのかはっきりしないような状態だったのに、ベッドに入った途端に目が冴えて、どんなに退屈な本を読んでも全く眠れず、とうとう朝の6時になってしまった。
抜歯後の痛みはじわじわとやって来たけど、普段漢方薬以外は全く何も飲まないからか、普通の痛み止めの小さな錠剤を一錠飲んだだけで効果抜群。
というか、わたしはこれまでの経験上、歯の痛みに対しては耐える力がものすごく強い。
お金が無かったからなかなか治療に行けなかったというのが鍛えられた理由なので全く自慢にもならないし、だからこそ歯の状態がどんどん悪化して現在のカオスに至っているのだからどうしようもない。
だから、夫に痛み出す前に飲んだ方がいいと言われても、いやあ、別にこれぐらいだったら飲まなくても、などと思ってしまう。
昨日は鍼を打ってもらって、顎の動きがかなりスムースになった。

今日で4日目。
お粥、スクランブルエッグ、ヨーグルトバナナなどを食べているのだけど、これで痩せられるねと思う人はまだまだ甘い。
二日分作ったつもりのお粥を、気がついたらすっかり平らげてしまってたり、いつもお腹が減ってるので、ついつい作っては食べてしまうのだから、こんなので痩せられるはずがない。
あと何日我慢したら、大好きな韓国の餅菓子やおかきやナッツが食べられるのだろう。
豆腐チゲも食べたいし、雑穀米も食べたい。
食い意地が張ってるので、やっぱり3本一緒にやって、この食事制限の期間を短くしたのは良かったのだろう。
でも、奥にずっといた大きな歯が4本も無くなってしまったからか、端っこがスウスウする。
ぐっと噛み締められるようになったらなんか物足りない感じがするんだろうか。

などと独りごちながらただ一人、お粥をすする花金の夜なのであった。
コメント
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