琉球新報紙面記事より
慰安婦「どこの国にもあった」
秘密法「通ったので仕方ない」
NHK新会長が持論
NHKの籾井勝人会長は25日、東京・渋谷の放送センターで開かれた、会長就任の記者会見で、
「尖閣や竹島という領土問題は、明確に日本の立場を主張するのは当然のことだ」と述べ、
外国人向け国際放送で、領土問題を取り上げることを、最重要課題とする考えを示した。
籾井会長は、従軍慰安婦問題について、
「どこの国にもあった」などと言及し、特定秘密保護法についても持論を展開。
公共放送の在り方について、今後議論を呼びそうだ。
続いて「政府が『右』と言っているものを、われわれが『左』と言うわけにはいかない。
国際放送にはそういうニュアンスがある」と説明。
国際放送の内容について、「あくまでも日本政府とかけ離れたものであってはならない」と述べた。
慰安婦問題についての質問には、
「どこの国にもあった。今のモラルでは悪い」とした上で、個人的な見解として、
「韓国が、日本だけが強制連行したみたいなことを言っているから、話がややこしい。
(補償については)日韓基本条約で、全部解決している」と述べた。
特定秘密保護法に関する報道を問われ、
「通ったので、言ってもしょうがないんじゃないか。
必要があれば(番組を)やる。世間が心配しているようなことが政府の目的であれば大変だが、そういうこともないのでは」との認識を示した。
また、安倍晋三首相の靖国神社参拝に関しては、
「総理の信念で行かれた。いいの、悪いのという立場にはない」と述べ、
NHKの報道姿勢は、
「淡々と、総理は靖国に参拝されましたというだけだ」とした。
籾井氏は福岡県出身で、1965年に三井物産入社。2004年副社長。
日本ユニシス社長や、同社特別顧問を務めた。
NHKの会長任期は、25日から3年間。
↑以上、書き起こしおわり
さて、この会見の翌日に、若者が声を上げました。
10代だっていやなんだ 秘密法反対 渋谷650人デモ
【東京新聞】2014年1月27日
U-20デモで、特定秘密保護法に反対の声を上げる若者ら=26日、東京都渋谷区で(岩本旭人撮影)
(まうみ注 *ちなみに、この写真の最前列一番右、制服を着た女の子はふうちゃん。明日香ちゃんの一人娘ちゃんです!)
十代だって、言いたいことがある-。
特定秘密保護法に反対する十代の若者らが企画した、
「秘密はいやだ!U-20デモ」が二十六日、東京・渋谷駅と原宿駅の周辺であり、
買い物客や若者に、「
秘密保護法で、被ばく情報が秘密にされる」などと訴えた。
都内の大学生や高校生を中心とする有志が企画し、十代、二十代だけでなく、年配者や家族連れなど計650人(主催者発表)が参加。
友人と参加した高校三年の小林太朗さん(18)は、震災後、国会周辺の抗議活動などに足を運んできたが、
今回は、「
同じ年代の人と同じ気持ちになれた」とうれしそう。
一人で参加した杉並区の女子大学生(08)は、「
権力者に都合よく解釈されるような法は良くない」と話した。
企画に感心する声も。
町田市の勝田洋子さん(79)は、
「われ関せずという若者が多い中、本当にえらい」。
千葉県松戸市の浅田洋治さん(72)は、
「
オーバー70(七十歳以上)デモをやりたい」と、刺激を受けていた。
デモを呼び掛けた大学一年の長島可純(かずみ)さん(19)は、
「多くの人に、少しでも興味を示してもらえたと思う」と話した。
↑以上、転載おわり
ここで、とても不思議なことが起きました。
この記事を書いている最中に、友人の文人さんが、籾井新会長の会見の詳細を、メールで送ってくださったんです。
文人さんは以前にも何度か、記事の内容を補足するような情報を、それを書いている真っ最中に送ってくださったことがあります。
この偶然はとてもありがたく、そしてワクワクします。
ありがとう、文人さん!
それでは、上記の新聞記事に掲載されている、NHK新会長籾井氏の会見の詳報です。
【朝日新聞】2014年1月26日
領土問題、主張は当然―NHK籾井新会長の会見詳報
【以下、籾井勝人・NHK新会長と報道陣との質疑応答】
籾井勝人(もみいかつと)・NHK新会長が25日に行なった就任記者会見の内容は以下の通り。
【冒頭発言】
改めまして今日、NHKの会長に就任しました籾井勝人です、よろしくお願いします。
就任にあたりましての会見ですが、12月20日に、私が考えていることはほぼすべて、おしゃべりしたのではないかと思います。
それを繰り返すことは避けたいと思います。
今日は朝、NHKに到着して、まったく新しい職場、自分が今まで久しくおつきあいをした方がいない組織に来るということで、そこそこ緊張しましたが、
それは良いもので、快い緊張感とともに、やるぞ、という気持ちで着任しました。
最初は、まだお客さんのように扱われてぎこちないのですが、1週間もすれば慣れるだろうと。
職員のみなさんに、私を「さん」づけで呼んでください、とお願いしました。
まず、秘書室では、完璧に実行されているので、おいおいNHK全体にも広がっていくものと思います。
なかなか会社のなかで、上司を「さん」づけで呼ぶのは難しい雰囲気もあるし、気楽とはいいませんが、良いコミュニケーションのスタートだろうと思っています。
会長に就任して、じゃあどうだと言われると、前回話したことと変わりません。
先輩が培われた、NHKという非常にいい組織の土壌もありますし、たぶん悪い部分もいろいろ目につくようになると思いますが、
いわゆるエスタブリッシュされた組織と思いますので、たぶん私のやることは、そのへんのボルト、ナットをもう一回締め直すことが、主たる任務になるのではないかと思います。
社内でも第一にあげているのは、放送法の順守です。
我々NHKは、放送法によって実施されていますから、これから逃げるわけにも、無視するわけにもいかない。
これに沿った経営をやっていくことが、我々に課された重大な任務だし、
これに反することは法律に反することになりますから、職員一同、放送法をもう一度身近に考えて、徹底してやっていきたいと思います。
これさえできれば、おそらくNHKに対するイメージも、だいぶ変わってくるのではないかと考えています。
今日申し上げたことは、「言うばっかりではダメで、実行しよう」ということを、全職員にお願いしました。
若干不真面目な響きもあるかもしれませんが、言うばかりで何もしないことを、世の中には「うどん屋の釜」という人もいますが、
私は、言うばかりでアクションを伴わないことを
「No Actions Talking Only」、「NATO」と呼んできました。
放送法の順守であるとか、国際放送を充実するとかいろいろな課題を、しっかりと実行に移していきたいと思っています。
まあ申しますと、まず私の着任するときの気分、今後やるぞという新しい、私にしては久しぶりにフレッシュな気持ち。
また、放送法の順守。
それから国際報道等々、この前あげましたようなことを実行していきたい。
また、我々に課された重い問題は、みなさん、今日たくさん来ていただいていますが、
いつ直下型地震が来るやもしれず、もしかして建物が崩れるかもしれない。
公共放送として、放送を中断するわけにはいきません。
新しいセンターを作っていく必要があろうか、と思っています。
2020年に五輪が来ますから、できればこれに間に合わせられればいいと思いますが、
考えてみればもうあと7年。本当にできるか今のところ自信はありませんが、
やはり、目標を私個人は持っていますが、これを内部ではかり、何とか出来上がる時期を、前倒しできればと思っています。
たぶん、今までの職員や役員のみなさまが、また籾井が大ぼらを吹いているということになりかねないですが、
一応、目標として掲げたいと思っています。
この前の分と合わせまして、私のごあいさつと心持ちの披露は、これぐらいにさせていただきたいと思います。
――現在のNHKの番組を見て、放送法の順守がされていないという危惧があるか?
あるなら、具体的にどういう番組か?
籾井
今までそういう目であまり見ていないので、具体的に申すことはできませんが、
要するに、どんなことを言われようが、放送法にきちっと順守するようなことを作っていれば、これは何の問題もないと考えています。
NHKが、右だ左だ真ん中だということを言う必要もなく、放送法に書かれていることを順守していけば、大丈夫だと考えています。
この前も申しましたが、経営がぶれないという意味は、常にそういうことを見ながら、放送法に従ってやっていくことだと考えています。
――現在の番組で、具体的に感じているわけではないのか?
籾井
ええ、そういう目で見ていればいろいろあると思いますが、私は今まで、第三者的に番組を見ていて、放送法との絡みということでは具体的には思いつきませんが、
常に、人間のやることですから、こっちに行ったりあっちに行ったりありますね。
ですから、経営としてやはり、きちっとみて、おかしいところはただす、ということで見ていきたいと考えています。
――ボルトやナットを締めることがミッション。
これからすると、今のNHKに何らかの弛緩(しかん)、コンプライアンス上の問題が起きている認識なのだと思うが、具体的にどういうことか?
現在のNHKに どんなイメージを持っているか?
籾井
今日申し上げたのは、放送法ひとつとっても、みんなよく知っているんです。
したがってもう一度、身近に具体的に考えてみましょう。
それによって、我々がやっていることが、本当に今まで、放送法に準拠していたのかどうかが分かるのではないか。
みんな大丈夫と思っています。
だが、長い時間が経つ間に、思ってもみないことが起こっている、ということがあり得るんです。
NHKはやはり、非常に伝統ある組織体なので、その間に、いろいろなことが慣れてしまっている、ということがあると思います。
それをひとつひとつ、丁寧にみていこうではないか。
そうしたら、気づいたら、NHKってずいぶん変わったね、と言われることになっているのではと思います。
私の過去の経験からしても、やっているつもりになっていることって、非常に多いんですね。
ですから、それを明確に、みんなでやっていこうじゃないかと考えています。
――放送法の順守と言うが、放送法の背景には憲法がある。
憲法についてはどのように考えているか?
籾井
我々は、憲法のもとに生活しています。
良いも悪いもなく存在しているから、それに従わねばならない。
改正は具体的な話でもなく、さあ、いつ実際に、俎上(そじょう)にのってくるのかというと、わからないと思います。
そういうことについては、個人的に、その時にいいとか悪いとかを考えるつもりです。
放送法に、我々は、民主主義を発達させるんだということも書いてあるんで、これは非常に重い責任があると思っています。
それと憲法改正と結びつけることは、毛頭考えていない。
できれば、世界に冠たる民主主義を、日本で確立することにお役に立てればいいと思っています。
――やっているつもりになっていることが多くなってしまうと言うが、経営委員からは、靖国神社や尖閣などの領土問題にも、番組で掘り下げて、
きちんと日本の立場を伝えたほうがいいのでは、という意見が出ているが。
籾井
今、竹島のことをおっしゃいませんでしたが、これは日本の明確な領土ですから、あんまり弁解がましくいう必要もなく、はっきりしている。
国民に、きちっと理解してもらう必要がある、と僕は思っています。
経営委員会がどうだということはないと思います。
――NHKの報道で、もう少し掘り下げて伝えたほうがいいということか?
籾井
そうかもしれませんね。
これはちょっとよく考えます。
きちっと放送しなければならないことは事実ですね。
今までで十分かどうかは、検証したいと思います。
十分でなければ、はっきりわかりやすく、領土問題はこういうものだと、説明することが必要と思います。
――秘密保護法について、NHKスペシャルやクローズアップ現代で、取り上げられていない。
法律の是非について幅広い意見があり、問題点の追及が必要との指摘もあるが、NHKの伝え方についてどう考えるか?
籾井
まあ通っちゃったんで、言ってもしょうがないのではと思いますが、
僕なりに個人的な意見はないことはないのですが、これは差し控えさせていただければ。
――法律が通ったから、これ以上議論を蒸し返すことは必要ない、ということか?
籾井
そういう意味ではないですが、一応決まったわけでしょう。
それについて、ああだこうだ言ってもしょうがない、と言うわけではない。
必要とあれば、取り上げますよ。
もし本当に、世間がいろいろ心配しているようなことが政府の目的であれば、大変なことですけど、そういうこともないでしょうし。
国際問題等々も考えて、これが必要だとの政府の説明ですから、とりあえず受けて、様子を見るしかないんじゃないでしょうか。
あまり、かっかかっかすることはないと僕は思いますし、昔のような変なことが起こるとも考えにくいですね。
――放送センターの建て替えは、2020年開催の東京五輪までに、すべて完成させたいか?
また、建て替えによって、どういう効果があるのか?
籾井
それが目標ではありますが、本当に全部完成するかどうかは、時期的に考えて、なかなか難しいということは言えると思います。
さっきも申しましたように、建て替えなくやっているうちに、直下型地震が来て設備がつぶれてしまう、
放送ができなくなってしまうとなると、我々の義務を遂行できるとはとても思いません。
やはり、耐震性にすぐれた建物にする必要があろうかと思います。
つぶれてしまったら申し訳ない、ということです。
やはり、耐震性と放送の継続性、これが一番大事ではないでしょうか。
民間企業でも重要視されているのが、BCP(事業継続計画)ですね。
事業継続ということが非常に言われていまして、そのために、システムのバックアップとか、システムをふたつ、メガバンクなんかは東京大阪に持っておられる。
場合によっては、北陸や日本海側に持っているところもありますから、そういう意味でもやはり、建て替えるべきだと思います。
――NHKの国際放送(NHKワールドTV)で、歴代会長で初めて、英語であいさつをした。
英語以外の言語も話すのか?
籾井
ないですね。英語だけですね。あと、日本語と。
――出演した狙いは?
籾井
テロップで出るより、初めてらしいんですよね。
結果よしとなるか、あんまりたいしたことがないかはわかりませんが、そんな大変なことでもないし、よろしいんじゃないでしょうか、2分ぐらいのことですから。
――2月9日で副会長の任期が切れる。よき相談相手でもある。どういう人が望ましいか?
籾井
それなりにあらゆることを考えています。それまでには決めます。
――具体的には?
籾井
NHKのことを中心に考える人であれば、よろしいんじゃないかと。
――国際放送を強化すると言うが、日本の立場を政府見解をそのまま伝えるのか?
籾井
民主主義について、はっきりしていることは多数決。
みんなのイメージやプロセスもあります。
民主主義に対するイメージで放送していけば、政府と逆になるということはありえないのではないかと。
議会民主主義からいっても、そういうことはありえないと思います。
国際放送は、多少国内とは違います。
尖閣諸島、竹島という領土問題については、明確に、日本の立場を主張するのは当然のこと。
時には政府の言うこと、そういうこともあります。
政府が右と言うことを、左と言うわけにはいかない。
国際放送については、そういうニュアンスもあると思います。
外交も絡む問題ですし、我々がこう思うからと、勝手にあさってのことをいうわけにはいきません。
領土問題については、食い違いはない。
コメントを出すとき、日本が他国のことを中傷したり、非難したりしたことはあんまりありませんよね。
政府が、そういう中傷のメッセージをだすはずもないですから。
ただ、非難することはあるかもしれない。
国連においても非難したりしているので。
それをやってはいけないということはない。
――外国を非難するということ?
籾井
日本政府とかけ離れたようなものではあってはならない。
日本国を代表する政府ですから。
――領土問題で、近隣諸国の考えも伝えることで、国のプロパガンダではない、公共放送への理解が得られるのではないか。
籾井
それはそうです。
外国の放送を見ていますか。
それは、聞くに堪えない、見るに堪えない。
そういうことをやろうといっているわけではないんです。
尖閣が日本の領土であると、なぜ主張しているのかは、もう少し国際的に説明してもいいのではないか。
明治28年に、どこの領土でもないと確認した上で、やった。
某国は、日清戦争で横取りしたというが、国際条約は、その時に作った条約が生きている。
そういうことで、世界が律さなければならないと思っています。
――靖国神社の参拝、合祀(ごうし)についてはどうか?
籾井
もう少し複雑かも知れない。
戦争に行くとき、昔の人がどうやって慰めたかというと、死んで靖国に帰るのだと言って送り出しました。
今の人に言ってもわからないと思うが、家族を亡くした人はみんなそう言う。
なんで千鳥ケ淵ではだめなのか。違うんだと。
兄は、靖国に戻ると行って戦争に行ったんだと。
だからあそこに兄がいる。
こういう人たちが大勢いるんです。
問題になっているのは、戦犯の問題でしょうが。
――総理の参拝の問題もある。
籾井
総理が行かれた、信念で行かれたということで、それはそれでよろしいじゃないですか。
いいの悪いのという立場にない。
行かれたという事実だけ。
――NHKの報道姿勢としては?
籾井
どうだこうだというつもりもない。
ただ淡々と、総理は靖国に参拝されました、でピリオドでしょう。
領土問題とは全然違うでしょう。
――現場の制作報道で、会長の意見と食い違う意見が出た場合、どう対応するのか?
籾井
最終的には会長が決めるわけですから。
その了解なしに、現場で勝手に編集して、それが問題であるということになった場合については、責任をとります。
そういう問題については、私の了解をとってもらわないと困る。
NHKのガバナンスの問題ですから。
――個別の番組についても、会長が個別に指揮するのか?
籾井
私個人が指揮するかは別として、組織の中で、きちんとしなければいけない。
ボルトナットの問題じゃないでしょうか。
――NHKのお正月番組でよかったものは?
籾井
それほど熱心に見ていない。
――それほど熱心に見ていないのに、会長になるのはおかしいのでは?
籾井
だって、(就任が決まった)20日からどんな番組がありましたか?
お正月番組ばっかり。
熱心に見ていないからおかしいという方がおかしいですよ。
――印象に残った番組はないのか?
籾井
そりゃあ、大河ドラマの黒田官兵衛は、私の故郷とも近いし、いいなと思います。
だけど、特別いいな、というわけでもない。
正月は、ぎゃあぎゃあ言っているものばかりで。
NHKのいいのは、日本の自然を静かに流している。
NHKの番組もゆっくりみて、ああいいなと。でも、どの局も一緒。
紅白歌合戦はよかったですよ。
なにがよかったって、視聴率が高かった。
――放送と通信の融合について、来年度に策定する次期経営計画の中に入れ込むのか?
籾井
まったくふれないで、次期計画を作ることは非常に難しい。
技術的にも、現実的にどういう風なことになるかを考えた上で、受信料を上げるのが目的ではなくて、結果として出てくるという話。
融合の話は、何らかの形で、ぐっと具体的になるのか、柔らかになるのか、検討して決めなければいけませんけど、
結論から行くと、触れずにはおれないとなると思います。
――「政府とNHKの考えが逆になるのはあり得ない」と言いましたが、直近でも、秘密法は政府が提案し、強い反発があった。
イラク参戦も、日本国内外で反対があった。
そういう意味で、常に賛否両論がある問題をどうするのか?
籾井
政府と逆になることはないといったのは、国際放送の話。
秘密法については、いろいろな意見もあります。
政府に逆のことは言わないんだ、といっているわけではありません。
それなりの意見があってよろしいじゃないかと。
政府の人なんかに言わせれば、賛成があってもいいじゃないか、
メディアは反対ばっかりということもありますから。
基本的には、政府ときちんと距離をおいてやる。
放送法にそってやれば、政府のいいなりにはならない、というのが私の思いです。
――次期経営計画について、公共放送の将来像を示すという考えは?
籾井
みんなと議論しないと。
一存で言えるだけの知識はないので、今からその辺を議論しながら、NHKの収入を増やす方法があるのかを議論していきます。
今の受信料の支払率も、少しあげていかなければいけない。
視聴者に対し、もう一度、なぜ我々の受信料がいるのかを、説明していく必要があります。
それで多少は増えるでしょう。
しかし、そこには限界もある。
融合の話など色々出てきたときに、トータルの受信料が増えればいいと思っています。
――政府との距離の問題について、2001年の番組改変問題があった。
慰安婦を巡る問題についての考えは?
籾井
コメントを控えたい。
いわゆる、戦時慰安婦ですよね。
戦時だからいいとか悪いとかいうつもりは毛頭無いが、このへんの問題はどこの国にもあったこと。違いますか。
――放送センターの建て替えについて、3400億円かかる見積もりだが、その手当ては?
民放より高いという報道もある。
籾井
どこに建てるかも決まっていない。何も決まっていません。
その数字がどうやって出てきたか承知していませんが、これをもって高い安いも変な話。
そのへんについては、どこに移転するかが決まり、土地の取得でどういうことができるのか、その場所が建物に適しているのか、それが決まって初めて出てくるものだと思います。
今の数字で高いとか安いとかは、意味がないと思っています。
――抗議が相次いでいる、日本テレビで放送中の連続ドラマ「明日、ママがいない」。
人権侵害に当たるという議論も起こっており、フィクションの描き方が問われている。
籾井
知りませんでした。日テレで何がおこっているかわからないのが現状です。
先生のあいさつ回りとかで、テレビ見る時間がなくて、少し疎いんです。
――スポーツ報道の展望は?
籾井
ロンドン五輪から、スポーツに対する国民的な人気が高まってきていて、注目されなかったスポーツがどんどんでてきています。
メディアのスポーツ放送に関する責任、役割は、非常に大きいと思っています。
国威発揚というと古めかしいが、奮い立たせる作用がある。
スポーツ放送は、極力積極的にやろうと思っています。
――仕事でニューヨークに住んでいた籾井会長から、ニューヨーク・ヤンキースへの入団が決まった、田中将大投手にメッセージを。
籾井
2番街の53丁目に、おいしいおすし屋さんがあるよ、と言うぐらいですかね。
何を食べてもおいしいし、いいところ。
マーくんがどこに住むか知りませんが、松井秀喜選手が住んでいるところは、90階だてのマンションで、
55じゃなく56階に住んでいて、私も見に行ったんですが、88階の部屋を見せられて、かみさんに一蹴されましたね。
家というか社宅ですよ。
その後、(同じヤンキース所属の)ジーター選手が、アパートに入ってきたらしいです。
マンハッタンに住むことをお勧めしますね。
――東京五輪までに、インターネットで同時再送信するサービスはやりたいのか?
籾井
ITアタマでいうと、急がないと遅れる、という気持ちはあります。
とにかくやらなければいけないという気持ちは変わらない。
ただ、現実をちらちら聞くと、NHKとしてダダダと行けない環境もあるわけで、もう一度慎重にレビューしたい。
会長が思ったらその通りにいくとは限らないので、もう一度検討したいと思っています。
やるべきはやるべきです。
――番組編成物足りないと思うところは?
籾井
会長としてというより、視聴者としてテレビを見たときに、民放の音とNHKの音は違うなと。
ところが最近、NHKの放送に、民放の音が混じっているんですよ。
けなしているわけではなくて、かみさんがそう言うんです。
つまり、民放化しているんじゃないかと。
この辺を、NHKがどう考えるのかというのはあると思います。
みんな、NHKでバラエティーを見たいと思っているのか。
民放はいっぱいバラエティーがありますから。がちゃがちゃしてますよね。
――NHKの番組に、バラエティーが多すぎるということか?
籾井
そういうことだと思いますね。
――先ほどの発言から、慰安婦は戦争していた国すべてにいた、というふうに取れるが。
籾井
こっちから質問ですけど、韓国だけにあったことだとお思いですか。
――どこの国でも、というと、すべての国と取れる。
籾井
戦争地域ってことですよ。どこでもあったと思いますね、僕は。
――何か証拠があってのことなのか?
籾井
この問題に、これ以上深入りすることはやめたいのですが、いいですか。
慰安婦そのものが良いか悪いかと言われれば、今のモラルでは悪いんです。
じゃあ、従軍慰安婦はどうだったかと言われると、これは、そのときの現実としてあった、ということなんです。
私は、慰安婦は良いとは言っていない。
ただ、ふたつに分けないと、話はややこしいですよ。
従軍慰安婦が韓国だけにあって、他になかったという証拠がありますか?
言葉尻をとらえてもだめですよ。
あなた、行って調べてごらんなさいよ。
あったはずですよ。あったんですよ、現実的に。
ないという証拠もないでしょう。
やっぱり、従軍慰安婦の問題を色々うんぬんされると、これはちょっとおかしいんじゃないか、という気がしますよ。
私、良いといっていませんよ。
しかしどう思いますか。
日本だけがやっていたようなことを言われて。
――他の国にもあったということと、どこの国にもあったということは違う。
籾井
戦争をしているどこの国にもあったでしょ、ということです。
じゃあ、ドイツにありませんでしたか、フランスにありませんでしたか?
そんなことないでしょう。ヨーロッパはどこだってあったでしょう。
じゃあ、なぜオランダに、今ごろまだ飾り窓があるんですか?
議論するつもりはありませんが、私が「どこでもあった」と言ったのは、世界中くまなくどこでもあったと言っているのではなくて、
戦争している所では大体、そういうものは付きものだったわけですよ。
証拠があるかと言われたけれども、逆に僕は、なかったという証拠はどこにあったのか聞きたいですよ。
僕が今、韓国がやっていることで一番不満なのは、ここまで言うのは会長としては言い過ぎですから、会長の職はさておき、
さておきですよ、これを忘れないで下さいよ。
韓国が、日本だけが強制連行をしたみたいなことを言っているから、話がややこしいですよ。
お金寄越せと言っているわけですよ、補償しろと言っているわけですよ。
しかしそういうことは全て、日韓条約で、国際的には解決しているわけですよ。
それをなぜ、それを蒸し返されるんですか。おかしいでしょう。
そう思いますよ、僕は。
――今のところ、「会長としての職はさておいて」というが、ここは会長会見の場だ。
籾井
失礼しました。
じゃあ、全部取り消します。
――取り消せないですよ。
籾井
しつこく質問されたから、答えなきゃいかんと思って答えましたが、会長としては答えられませんので、「会長はさておき」と言ったわけですよ。
じゃあ、取り消しますよ。
まともな会話ができなくなる。
「それはノーコメントです」と、それで済んじゃうじゃないですか。それでよろしいんでしょうか。
――あいさつ回りに行ったのは、具体的にはどこか?
籾井
言えません。
――現在のNHKの組織や人員、チャンネルなどが適正と考えているか?
籾井
放送現場にどれだけの人数が必要とされているのかは、正直いって、よく私もわかりません。
1万人というのは、大きい数字であることは間違いない。
けれど、これをもって減らさなきゃいけないということには、すぐにはならないですが、よく今後とも見ていきたい。
チャンネルは、さしあたりは、今のままでいいんじゃないかと思いますが、それもちょっとよくわかりません。
――日本ユニシス特別顧問は、昨日付でやめたということでいいか?
籾井
けっこうです
――靖国神社や従軍慰安婦問題について、肯定的に受け取れる発言があった。
会長は、NHKの編集責任者といえる。
こうした自分の考えを、番組に反映させたいという思いがあるか?
籾井
何度も申しておりますが、我々の放送に対する判断は、全部、放送法にのっとっておりますから。
私がどういう考えであろうがなかろうが、全部、放送法に基づいて判断します。
さきほどの、慰安婦や靖国の問題は、僕はおっちょこちょいなもんですからすぐに乗っちゃうんですが、もう一度よく言います。
慰安婦の問題そのものを取り出した場合、これは悪いにきまっている。
しかし、戦争の時に起こった韓国の問題については、本当に日本だけですかと。
しかもこれは、日韓条約で全部済んでいるんじゃないですか、と申し上げた。
靖国の問題に関しては、総理が行ったのが良いとか悪いとかは申していません。
ただ、靖国は、戦時中は、そういうことでみんな家族を送り出した。
だから、そういう人たちは、あそこに自分の家族がいる、と言っています。
うちには、ちなみに、戦死者はいません。
――個人的見解を番組に対して反映するつもりがないのか。明確にどうか?
籾井
ありません。
――3年間で、これだけはやらなければいけないと思っていることを、優先順位をつけて具体的に。
籾井
まず最初は、放送法に準拠した考え方で、ボルトとナットをもう一回、みんなで見直す。
これによって、NHKの中のガバナンスを、もう少ししっかりしようということが第一。
これは、すぐに始めなければいけない問題です。
二つ目は、国際放送。
急いでやらないといかん問題だ。
尖閣だ竹島だということを、諸外国の人たちにどう理解してもらうか。国際放送しかないと思っております。
この二つが、早急に手を着けなければいけない点ではないかと思います。
放送と通信の融合の話は、かなり研究も進んでいるんだろうと思っています。
どういうふうに実現していくか。
工程表やタイムテーブルぐらい、できるようにしたいと思っています。
――国際放送について、具体的にはどうしたいか?
まず、領土問題をきちんと伝えるということを重視しているのか?
籾井
尖閣・竹島の問題は、最重要課題のひとつですが、同時に、国内で起こっていることも、なぜこういうことが起こっているのかという説明も必要。
また、ヨーロッパとか中東などとの関係の中で、日本をどうインプットしていくかも、非常に大事だと思います。
日本の存在感は、大いに出していかねばならないし、そういう国にも日本を認知してもらう必要があろう、と思います。
今、なにもないんですよね。
――籾井さんの会長擁立にあたっては、安倍政権の影があったと伝えられており、今回の発言内容も、政権や安倍首相の思いとシンクロしているように思える。
政権の意向を、NHKに、もっと代弁させたい考えがあるのかどうか?
籾井
ありません。
何回も申しているように、僕が自分の考えまで言ってしまうものだから、話が混乱しちゃうんですが。
何回も申しているように、「放送法、放送法」と言っているのは、それがあるがゆえに、我々は(政治と)距離を保てるんだということです。
それをご理解頂きたいと思います。
私の個人的思想が誰かに近いと思われても、それはたまたまで、違うこともいっぱいある。
僕が政府に近いと言われるのは、皆さんのご自由です。
私は、政治家は本当に知りませんから。
今、私が申したことは別に、政府からふきこまれたわけでも何でもないです。
――政権との距離は、会長自身、取っていくつもりがあるということか?
籾井
それはそうですよ。
こと報道に関していえば、それは当然のことでしょう
――放送と通信の融合の問題。
民放にはNHKに比べてインターネットでのサービスがやりにくい事情がある。
会長としては、民放と足並みをそろえることを考えなければいけないと思っているか?
それとも、NHKはできることを考えていけばいいという考えか?
籾井
民放の事情は承知していますが、
やらなきゃいけないことのスピードを鈍らせる、ということにはならないのでは。
民放にも、どうやったらできるんだということを、もっと積極的に考えて頂かないと、日本全体がすごく遅れることになる。
ただ、僕もビジネスマンですから、民放の方が何を考えておられるのか、もう少し聞いてみたい。
「何が何でも自分だけやるんだ」ということを言うつもりはないんだけれど、「何がなんでも一緒にいく」とも思っていない。
状況次第ですね。
↑以上、引用おわり
この人、放送法のことをなんべんもなんべんも口に出してはったけど、
まさにその放送法の中の第4条、公序良俗に害しないこと、対立のある問題については両論併記すること、事実を曲げて報道しないっちゅう原則に違反してるNHKに、
放送法に従え、なんちゅう権限はあるんかしらん……。
そこんとこを突っ込んだマスコミは皆無やったみたいやけども……。
それにしても、マー君がどうのこうの言う時間があったら、事故原発や被曝や汚染の問題を、なんでちゃんと報道せんのやと詰め寄れ、質問者!