ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

児玉龍彦教授がぶつけた渾身の怒りを無かったことにしたい卑怯もんは誰や?

2011年07月31日 | 日本とわたし
児玉龍彦教授の、渾身の怒りが込められた発言ビデオが、ユーチューブから消されてしもた。

なんでやのん?なんでそんなことするのん?

あんなにわかりやすう説明してくれてはったのに。

内部被曝のこととか、今とにかくなにを置いてでもせなあかんこととか。

汚染から守ってるはずの移動が、実は汚染のひどいとこに行かせてたとか。

ほんで怒ってくれた。

わたしらの気持ちをそのまんま、全身を震わせてぶつけてくれた。

誰か取り戻して。

いったいほんまに誰やのん?しょうもないこと考えるんは?

薄汚うて勇気が無うて、セコいことしか思い浮かばんのやね。

これで余計に、児玉教授のあの発言が心に残ったわ。

アホや、ほんまに。


と、ひとりでカッカカッカと怒っていたら、ツィッター仲間の貴也さんという方が、ここだと大丈夫、というアドレスを教えてくれはった。
ちゃんと観れた!
持つべきものはツィッターの同士!
ありがとう~貴也さぁ~ん!

などと感激していたら、
コメントに初めて来てくれはった、joさんという方が、ここで見れますよって入れてくれてはった。
もうほんまに、ありがたいやら嬉しいやら。
みなさん、ほんあにありがとう!
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『事故の責任者を刑事告発した理由』広瀬隆

2011年07月30日 | 日本とわたし
週刊朝日2011年7月29日号配信・原発破局を阻止せよ!(17)に掲載された、広瀬隆氏による『事故の責任者を刑事告発した理由』より抜粋します。

福島第一原発メルトダウン事故が起こってからの私たちは、日本全土に放射能被曝をもたらした許されざる事故責任者たちが、毎日毎日テレビに登場して、平然と事故の解説をする姿を見せつけられてきた。また福島県に雇われた学者たちは、福島県内のすさまじい被曝状態の中に児童を放置しながら、それを安全だと触れ回ってきた。
彼らには、まったくと言っていいほど、この大事故を起こしたことに対して、また被曝の深刻さに対して、反省の色が見られない。


……中略……

福島県の学習会に向かう途次に見た光景は、水田の稲が青々と育つ姿であった。
いったい、秋になってこれが収穫されたときに、どこへ流通するのだろうか。
福島県内で聞いたのは、「収穫して、それをほかの産地のものに混入する」という言葉であった。
「すでに原乳は混入されているし、福島県産の野菜は値崩れして安いので、そちこちで外食産業などに流れている」という話まで聞いた。
頼むから、学校給食にだけは混入しないでほしいと願うが、給食を担当する人たちの意識がどこまで高まっているか、はなはだ疑問である。

福島では、そうした危険性に気づいた父母が自衛しようと、自分の子供に「給食に筍(たけのこ)とシイタケが出たら、残すように」と言っている。
そして子供が給食の筍とシイタケを取り分けて残したところ、先生が「食え!」と言って食べさせたという。
このおそろしい話を聞いて、いったい日本はどうなるのだろうかと暗然とした気持ちにとらわれた。

◆認められた権利、災害の罪を問う◆

この刑事告発は、告発人が裁判を必要としないことに、すぐれた特長がある。捜査して裁くのは、告発状を受理した司直の人たちの職務である。
『原発の闇を暴く』のあとがきで、明石氏がこう書いている。

--広瀬さんと私はさらに「闇」の部分を暴くべく、東京電力の幹部や御用学者たちを刑事告発し、司直の手に委ねることを決意した。
刑事告発は何も特別なことではなく、広く国民に認められた権利であり、制度だからだ。
手間と時間がかかる民事裁判とは異なり、刑事告発で必要なのは「告発状」と新聞記事などの「証拠」、そして告発する本人の「陳述書」のみ。
これらを最寄りの地方検察庁か警察に提出するだけでいい。警察署で尋ねれば、やり方を教えてくれる。

また、自分は事故の被害者だと思っている方なら、第三者の立場でおこなう刑事告発よりも「刑事告訴」のほうをお勧めしたい。--


つまりすべての日本人が、私たち2人と同じように告発状を書いて、配達証明で司直に郵送し、これらの告発状が何万通も届くことを願っている。
「別冊宝島」1796号・特集「原発の深い闇」2011年8月14日号(7月14日発売)に、明石氏が告発状のひな型を紹介したので、参考にしていただきたい』



↓以下がその、ひな型です。むらさき色の部分をクリックし、画面上の2011年7月15日欄にある告発状のPDFをダウンロードしてください。

明石昇二郎氏のルポタージュ研究所
●告発状「東電用」提出版 PDF
●告発状「学者用」提出版 PDF


七夕の笹に、『がんになりませんように』と書いた子供の幼い字があった。
ちっちゃな子が、そんなことを願いながら天を仰ぐなんちゅうことはあったらあかんねん。
その子の横で、その子がそんなことを書いてるのを見てなあかん親御さんの気持ちを考えただけでも胸が詰まる。
お願いやから、何万人もの人、告発状を書く時間を作ってください!
そして司直に郵送してください!
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地球に謝れ!殺してしもた命に謝れ!

2011年07月30日 | 日本とわたし
京都のかねこねこさんという方から送られてきたメールの中に、とても興味深いビデオが載せられていました。
軽い気持ちでそのビデオを観て、今、まさに息を潜めて、自分の細胞の中にいったいどんな変化があったのかを問いただしています。
これは本当に恐ろしいビデオです。ポップでシンプルでさり気ない画面の中に、とてつもなく恐ろしい現実が存在しています。
どうか、15分間の時間をください。
そして、自分の、家族の、生まれた年の現実を直視してください。


↓以下はかねこねこさんのメールの原文です。

1945年から1998年までの世界中の核爆発(核実験・核爆弾投下も含む)

Multimedia artwork
"2053" - This is the number of nuclear explosions conducted in variousparts of the globe.

『1945年から1998年までの世界中の核爆発(核実験・核爆弾投下も含む)をビジュアルで表示したものです。
日本のアートキュレイター、Isao HASHIMOTOさんによるもの。(動画自体には一切の言語なし。数字のみ)。

ヒロシマ原爆投下の前の米国での核実験から始まり、ヒロシマとナガサキがあり、そして米国の核実験が増加し、それを追うようにソ連による核実験がなされていきます。
西暦が上にあり、ほぼ1秒ごとに月が刻まれていきます。
そして、核実験が追いきれないほど、続発する時期がやってきます。
2053回になったところで、この動画は、国別の簡単なまとめをして、最後に白い場所(何を意味するか、よくわかりませんが、高濃度汚染地帯?)を残して終わります。
コンピュータでのアートを見ているようですが、非常に恐ろしいビジュアルです。

自分が生まれる年の前後、また、親が生まれた頃のあたりを(若い人は曾祖父母が生きてきた年月を)要チェックして見ると余計興味深いと思います。

また、どの国がどんな場所で核実験をしてきたかもよくわかります。
米国はネバダあたりが圧倒的(それと太平洋の諸島、ビキニ環礁など)、
ソ連はカザフスタン、セミパラチンスク、北極圏、
フランスに至ってはアルジェリアやポリネシアの環礁、
英国はオーストラリア近海、太平洋クリスマス島など。
この実験場所が、核の被害を各国がどこに押し付けてきたかを物語っています。

色は国別になっています。
説明がないので、大きさが出力と比例しているのか、よく分かりません。
地下核実験もどれがそうなのかはわかりませんが、地下核実験でも浅い場合は実質的に地表爆発となる、
と原発推進学者の被爆地調査の本にありました。

この核実験の時代と重なるように、日本では原子力発電所(核発電所)が稼働を始めているため、自分自身はまさに『アトム(核)の子』であると認識しました。

1945年から地球はいたるところにセシウムがある世界になってしまったのです。(他の放射能各種も)。

そして、2011年、これに日本の原発事故による大汚染が付け加わわり、まだ、進行中であることをこの地図の中に想像で描いています。

もう、終わりにしましょう、核爆弾も、核発電所も!

文責:ねこ@京都』



核兵器って使たらあかんもんなんとちゃうの?
せやのになんで、みんなはそんなもん抱え込んで、せやけどなんか嬉しそうに興奮して、自分らが暮らしてるとっから遠~く離れたとこまでわざわざ運び込んで、ボンボン爆発させてるんやろ?
使わんのに、なんでそんなもんの実験せなあかんねやろ?
子供の頃からずうっとモヤモヤとしてたこの疑問。
誰も答えてくれへん。
大人に聞いたら必ず、「そんなこと言われてもなあ、よその国のことやしなあ」と、苦笑いしてそのまんま。
なんでやろ、なんでやろ、なんでやろ……と思てる間に、2053回も核爆発があって、世界のあちこちに原発が建てられてた。
あんまりやんか!めちゃくちゃやんか!
地球に謝れ!近くに暮らしてる人達に謝れ!殺してしもた命に謝れ!
わたしらは、正真正銘『アトムの子』や。
なにがセシウムや!なにがプルトニウムや!
もうずっと前からぐちゃぐちゃやんか!
わたしの父方の親類は、ほぼ全員ガンで死んだ。
関連性ははっきりわからんってか?
アホか。
そんなもん、調べんでも答は出てるわ。
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米国反原発ミーティング事情

2011年07月29日 | 米国○○事情
余談

EVO Gaming Tournament 2011

ただ今、息子が参加しているゲーム大会。
うちの次男が東海岸代表で参加してるんやけど、その大会の様子がUstreamで放映されていて、それを4~5万人が視聴してて、ほんでそれを、長男と旦那も観てる我が家。

今日の夕方、こちらの原発廃炉を要求するグループのミーティングに、マンハッタンまで出かけたわたし。
もちろん旦那も別の用事で同行。
丁度長男が働いてる会社の近くを走ってたので電話して、「一緒にラーメン(長男はラーメン狂で美味い店を知ってる)でも食べへん?」と誘ったら、
「まだもうちょっと仕事終わらへんし、恭平のゲームも観なあかん」と言う。
「え?そやのん?今やってんのん?」
「すごいで、専門の解説者がふたりいて、何万人も観てるねんで。世界大会やもんな」

やっぱマジやったんや……。
ということで、ミーティングからさっき戻ってきて覗いてみると……、
金デブ……え?
ようわからんけど、日本人の男の子、ちょいと太り気味の子がやってる。
ゲームのことは全然わからんから、画面観ててもさっぱりさっぱりやけど、強いらしい……。
次のペアもウメハラやのマゴやの、日本人多っ!
次男は確かにアメリカでは強いらしいけど、日本人がどどっと押し寄せてきたら……あかんらしい……。

一向に画面に出てくる気配がないので電話してみたら、「え、今ご飯食べてんねん。ぼく、今日は試合無いで、明日やで」……なんや……。

それにしても、やっぱりようわからんわ、あんたの世界……応援はしてるけどな。


さて、真面目な話。
福島第一と全く同じ構造の原発、インディアン・ポイント原子力発電所。
もう40年もの間稼働していて、これまでに起きた事故は数えきれず……。
ハドソン河の汚染もやり放題。
今、定期点検中のんを、再稼働させるにあたり、あと20年よろしぃでっせ~という許可が下りそうな気配が濃厚らしい。

福島の事故後、原発保有国でありながら廃炉を決めたドイツやイタリアに続け!とばかりに、
今まで闘うても闘うてもまるで相手にされんかった反核のメンバーは盛り上がってる。

6月11日のマンハッタンアクションで、一緒に行進した縁で、今日のミーティングの知らせをもろたわたしは、アメリカの反核運動の様子を知るいいチャンスでもあるので行ってみた。

街に着いてしばらくしたら大雨と雷の嵐。
すっかりビショビショになった通りを歩く。


ここがミーティング場所。


「このメンバーで運動を始めた頃は、ボク達も若かったんだよ」と、熟年を迎えた司会者がしみじみと言う。


マンハッタンから40キロしか離れていない所に原発がある。それもすごく古くて故障だらけの。
40年と、わたし達はつい一言で片付けてしまうけど、40年ってよく考えてみたらとんでもない時間の長さ。
急に、祝島のおじいさんおばあさんの姿が思い浮かんだ。
あのおじいさんおばあさんだってきっと、30代そこそこの、まだ独身だったり、赤ちゃんを抱えた若い夫婦やったんやなあ……。
人の人生の大半を、悶々としながら闘う日々に変えてしまう原発という物の存在。それに集る人間の欲。
やっぱりいらん、絶対にいらん。

8月の11日に、また大きなデモがある。
名付けて『原発が爆発したので避難してますデモ』
なにやら、マンハッタンのあちこちの通りを、信号を無視して、大勢で渡るらしい。
車は当然止まる。怒ってクラクションを鳴らす。そうしたらこう言うらしい。
「インディアン・ポイント原発が爆発したら、こんなふうに人が街にあふれて、一気に動きがとれなくなりますよ」とニッコリ笑いながら。

ニューヨーク州の知事が、福島第一と同じ型の原発を再稼働させることに難渋を示しているのがせめてもの救い。
けれども、ニューヨーク市の市長とニューヨーク・タイムズは、反反核のキャンペーンに総力を上げているらしい。
『インディアン・ポイントを廃炉なんかにしたら、夏の一番暑い時に絶対に大停電が起こる。それでもいいんですか?』
うん?どっかで聞いたなあ~この台詞。

「菅総理が脱原発を宣言したことは励みになる!」
それを聞いた時、もう黙ってられへんようになって、声を上げてしもた。
「彼は確かにその言葉を口にはしたけど、政府はそれを、なんとかして、意味の無かったことにしようと必死です。
彼をまずは総理の席から引きずり下ろし、原発推進の路線に戻したい人が多過ぎます。
アメリカは、原発廃炉の話の前に、電気の使い方に対する感覚をせめて普通になるまで教育するべきです。
冷房ひとつとっても、寒いぐらいに冷やしている。贅沢が骨の随までしみ込んでいる国民性をまず、常識的なものにするべきです。
反原発を心の中で考えている人も増えてはきているけれど、まだまだ一部の人間でしかありません。
政府はわざと情報を隠匿し、作業を遅らせ、放射能汚染区域に人々を縛り付けています。
汚染度が低い所からわざわざバスに乗せて、汚染度の高い所にある幼稚園に子供達を通わせています。
食物も飲み物も、農作物や園芸用の土も、セメントも、汚染された物がごちゃまぜになって、全国に広がっています。
原発は国の宝だから、国はなにもしません。宝がどんなに愚かで恐ろしい物か、それをわかりたくないのです。
だから、必死で守ります。国民なんて二の次三の次です。
お年寄りも子供も、誰もかれもまんべんなく、徹底的に無視されています。
原発を持っている国は、どこも同じようなものだと、覚悟した方がいいと思います。
そんな覚悟などしたくない、というのなら、原発をすべて廃炉にするしかありません」

あ~もっと英語がうまくしゃべれたら……しゃあない、とりあえず言える範囲のことは伝えたんやから。

一瞬ワァ~ッと歓声が上がった部屋が、シーンと静まり返ってしもたけど、すぐに拍手とともに、「よっしゃ、がんばろ!」という声が上がった。ホッとした。

どこもしんどい。ほんで、すごく辛抱してる。
けど、あきらめたり止めたりしたらあかんことも知ってはる。
今度のミーティングは1ヶ月後。それまでに、反核、広島&長崎の追悼、反フレーキングのためのデモが目白押し。

世界は変わるのやろか。
世界を変えられるのやろか。
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七万人の人が、自宅を離れて彷徨っている時に、国会は一体何をやっているのですか!

2011年07月28日 | 日本とわたし




↑この、先日7月27日の衆議院厚生労働委員会で発表された、児玉龍彦教授による発表『放射線の健康への影響について』の内容を、書き出してくださった方がいらっしゃいます。
『明日に向けて』というブログを書いておられる守田敏也さんです。
彼の承諾を得て、ここに掲載させていただきます。


『私は東京大学アイソトープ総合センター長の児玉です。
3月15日に、大変に驚愕しました。
私ども東京大学には27箇所のアイソトープセンターがあり、放射線の防護とその除染などの責任を負っております。

私自身は内科の医者でして、東大病院の放射線の除染などに数十年関わっております。
まず3月15日の午前9時ごろ、東海村で5マイクロシーベルトという線量を経験(観測)しまして、それを文科省に第10条通報ということで、直ちに通報いたしました。

その後、東京で0.5マイクロシーベルトを超える線量を検出しました。
これは一過性に下がりまして、そのあと3月21日に東京で雨が降り0.2マイクロシーベルト等の線量が降下し、これが今日までの高い線量の原因になっていると思っております。
このときに、枝野官房長官が、さしあたり健康にあまり問題は無い、ということをおっしゃいましたが、私はこれは大変なことになると思いました。
なぜなら、現行の放射線の障害防止法というのは、高い線量の放射線が少しあることを前提にしています。
この時は、総量はあまり問題ではなくて、個々の濃度が問題になります。

ところが今回の福島原発の事故というのは、100キロ圏で5マイクロシーベルト、200キロ圏で0.5マイクロシーベルト、
さらにそれを越えて、足柄から静岡のお茶にまで汚染が及んでいることは、今日、すべてのみなさんがご存じの通りであります。

我々が放射線障害をみる時には、総量を見ます。
それでは政府と東京電力は、いったい今回の福島原発事故の総量がどれぐらいであるか、はっきりとした報告は全くしていません。

そこで私どもが、アイソトープセンターの知識をもとに計算してみますと、まず熱量からの計算では、広島原爆の29.6個分に相当するものが漏出しております。
ウラン換算では、20個分のものが漏出しています。

さらにおそるべきことには、これまでの知見で、原爆による放射能の残存量と、原発から放出されたものの残存量は、
1年経って、原爆が1000分の1程度に低下するのに対して、原発からの放射線汚染物は、10分の1程度にしかならない。
つまり、今回の福島原発の問題は、チェルノブイリ事故と同様、原爆数十個分に相当する量と、原爆汚染よりもずっと大量の残存物を放出したということが、まず考える前提になります。

そうしますと、我々は、システム生物学という、システム論的にものをみるやり方でやっているのですが、
総量が少ない場合には、ある人にかかる濃度だけを見ればいいのです。
しかしながら、総量が非常に膨大にありますと、これは粒子の問題になります。

粒子の拡散というのは、非線形という化学になりまして、我々の流体力学の計算では最も難しいものです。
核燃料というものは、砂粒のようなものが、合成樹脂のようなものの中に埋め込まれております。

これがメルトダウンして放出されるとなると、細かい粒子がたくさん放出されるようになります。
そうしたものが出てまいりますと、どういうことが起こるか、というのが今回の稲藁の問題です。
例えば、岩手の藤原町では稲藁5万7千ベクレルパーキログラム、宮城県の大崎では1万7千ベクレルパーキログラム、南相馬市では10万6千パーキログラム、白河市で9万71千パーキログラム、岩手で6万4千パーキログラムというように、この数値は決して同心円上にはいかない。
どこでどう落ちているかということは、その時の天候、また例えば、その物質が水を吸い上げたかどうか、にかかります。

今回の場合も、私は南相馬に毎週末行っています。
東大のアイソトープセンターは、現在までに7回の除染を行っていますが、南相馬に最初にいった時には、1台のNaIカウンターしかありませんでした。
農林省が通達を出した3月19日には、食料も水もガソリンも尽きようとしていて、南相馬市長が、痛切な訴えをWEBに流したのは、広く知られているところであります。

そのような中で、通達1枚を出しても誰も見ることができないし、誰も知ることができません。
稲藁がそのような危険な状態にあるということを、農家は全く認識できません。
農家は何十万という負担を負って飼料を外国から買い、さらに牛にやる水は、実際に自分達が飲む地下水に、その日から替えています。

そうすると、我々がまず、何をやらなければいけないのかというと、汚染地での徹底的な測量ができるように保障しなければいけません。
我々が5月下旬に行った時に、南相馬には1台の線量計しか無かったというけれど、実際には米軍から20台の個人線量計が来ていました。
しかし、その英文の解説書が市役所の教育委員会の方では分からなくて、我々が行って、教えてあげて、実際に使いだして初めて、20個での測定ができるようになった。
それが現地の状況です。

それから、先程から食品検査と言われていますが、ゲルマニウムカウンターというのではなしに、今日ではもっと、イメージングベースの測定器が、はるかにたくさん半導体で開発されています。
なぜ政府は、それを全面的に応用してやろうと、全国に検査システムを作るためのお金を使わないのか。
3カ月経って、そのようなことが全く行われていないことに、私は満身の怒りを表明します。

第2番目です。
私の専門は、小渕総理の時から、内閣の抗体薬品の責任者でして、
今日では最先端研究支援ということで、30億円をかけて、抗体医薬品にアイソトープをつけて癌の治療をやる、
すなわち人間の身体の中に、アイソトープを打ち込むのが私の仕事ですから、内部被曝問題に関して、一番必死に研究しております。

そこで、内部被曝がどのように起きるかということを説明させていただきます。内部被曝の一番大きな問題は癌です。
癌がなぜ起きるかというと、DNAの切断が行われるからです。
ただしご存知のように、DNAというのは二重らせんですから、二重のときは非常に安定的です。

それが細胞分裂するときは、二重らせんが1本になって2倍になり、4本になります。
この過程のところがもの凄く危険です。
そのために、妊婦の胎児、それから幼い子ども、成長期の増殖の盛んな細胞に対しては、放射線障害は非常な危険性を持ちます。

さらに大人においても、増殖の盛んな細胞、例えば放射性物質を与えると、髪の毛に影響したり、貧血になったり、
それから腸管上皮に影響しますが、これらはいずれも増殖の盛んな細胞でして、そういうところが放射線障害のイロハになります。

それで、私たちが内部に与えた場合のことで知っている事例を挙げます。
実際には、一つの遺伝子の変異では、癌はおこりません。
最初の放射線のヒットが起こった後に、もう一個の別の要因で、癌への変異が起こるということ、
これはドライバーミューテーションとか、パッセンジャーミューテーションとか、細かいことになります。
参考の文献をつけてあります。
チェルノブイリの場合や、セシウムの場合を挙げていますので、後でそれを見ていただきますが、まず一番有名なのはα線です。

「プルトニウムを飲んでも大丈夫」という東大教授がいると聞いて、私はびっくりしましたが、α線は最も危険な物質であります。
それは、トロトラスト肝障害というところで、私ども肝臓医は、すごくよく知っております。

要するに、内部被曝というのは、さきほどから何ミリシーベルトという形で言われていますが、そういうのは全く意味がありません。
I131(ヨウ素131)は、甲状腺に集まります。
トロトラストは、肝臓に集まります。
セシウムは尿管上皮、膀胱に集まります。
これらの体内の集積点をみなければ、全身をいくらホールボディスキャンしても、全く意味がありません。

トロトラストの場合、これは造影剤、1920年代からドイツで用いられ、1930年頃から日本でも用いられましたが、
その後、20から30年経つと、肝臓がんが25%から30%起こるということが分かってまいりました。
最初のが出て来るまで20年というのが何故かと言うと、トロトラストはα線核種なのですが、α線は近隣の細胞を障害します。
その時に一番やられるのは、P53という遺伝子です。

われわれは今、ゲノム科学ということで、人の遺伝子の配列を知っていますが、一人の人間と別の人間はだいたい300万箇所違います。
ですから、人間を同じとして扱うような処理は、今日では全く意味がありません。
いわゆる、パーソナライズドメディスンと言われるようなやり方で、放射線の内部障害を見る時にも、どの遺伝子がやられて、どのような変化が起こっているかということを観ることが、原則的な考え方として大事です。

トロトラストの場合は、第一の段階でP53の遺伝子がやられて、それに続く第二、第三の変異が起こるのに20年から30年かかり、
そこで、肝臓癌や白血病が起こってくることが証明されています。

次にヨウ素131、ご存知のように甲状腺に集まりますが、成長期の集積がもっとも特徴的であり、小児に起こります。
しかしながら、1991年に最初、ウクライナの学者が甲状腺癌が多発しているという時に、
日本やアメリカの学者は、ネイチャーに、これは因果関係が分からないということを投稿しております。
なぜかというと、1986年以前のデータが無いから、統計学的に有意だということが言えないということです。

しかし、統計学的に有意だということが分かったのは、20年後です。
20年後に何が分かったかというと、86年から起こったピークが消えたために、過去のデータが無くても、因果関係があるということがエビデンスになった。
ですから、疫学的な証明というのは非常に難しくて、全部の症例が終わるまでだいたい証明できないのです。

ですから今、我々に求められている、子どもを守るという観点からは、全く違った方法が求められます。
そこで今行われているのは、国立のバイオアッセ―研究センターという所で、化学物質の効果を見る福島昭治先生という方が、チェルノブイリの尿路系に集まるものを検討されていまして、福島先生が、ウクライナの医師と相談して、500例以上のある症例を集めています。

前立腺肥大のときに手術をしますと、膀胱もとれてきます。
これを見まして検索したところ、高濃度の汚染地区、尿中に6ベクレルパーリットルと微量ですが、その地域ではP53の変異が非常に増えていて、
しかも、増殖性の前癌状態、我々からみますと、P38というMAPキナーゼと、NFカッパーBというシグナルが活性化されているのですが、
それによる増殖性の膀胱炎というのが必発性でありまして、かなりの率で上皮内の癌ができているということが報告されています。

それで、この量に愕然といたしましたのは、福島の母親の母乳から、2から13ベクレル、7名から検出されているということが、すでに報告されていることであります。
我々アイソトープ総合センターでは、現在まで毎週、だいたい4人ぐらいの所員を派遣しまして、南相馬市の除染に協力しております。

南相馬でも起こっていることは全くそうでして、20キロ、30キロという分け方はぜんぜん意味が無くて、幼稚園ごとに測っていかないと全然ダメです。
それで現在、20キロから30キロ圏にバスをたてて、1700人の子どもが行っていますが、実際には南相馬の中心地区は海側で、学校の7割は比較的線量は低いです。

ところが、30キロ以遠の飯館村に近い方の学校に、スクールバスで毎日100万円かけて、子どもが強制的に移動させられています。
このような事態は、一刻も早くやめさせてください。
今、一番その障害になっているのは、強制避難でないと補償しないということ。
参議院のこの前の委員会で、当時の東電の清水社長と海江田経済産業大臣が、そのような答弁を行っていますが、これは分けて下さい。
補償問題と線引の問題と、子どもの問題は、ただちに分けて下さい。
子どもを守るために全力を尽くすことを、ぜひお願いします。

それからもう一つは、現地でやっていて思いますが、緊急避難的除染と恒久的除染を、はっきりわけていただきたい。
緊急避難的除染を、我々もかなりやっております。
例えば、図表にでています滑り台の下、ここは小さい子どもが手をつく所ですが、滑り台から雨水が落ちて来ると、毎回ここに濃縮します。
右側と左側にずれがあって、片側に集まっていますと、平均線量1マイクロの所ですと、10マイクロの線量が
出てきます。
こういう所の除染は、緊急にどんどんやらなくてはなりません。

また、コケが生えているような雨どいの下、これも実際に子どもが手をついたりしている所なのですが、
そういう所は、高圧洗浄機を持って行ってコケをはらうと、2マイクロシーベルトが0.5マイクロシーベルトにまでなります。

だけれども、0.5マイクロシーベルト以下にするのは非常に難しいです。
それは、建物すべて、樹木すべて、地域すべてが汚染されていますと、一か所だけを洗っても全体を下げることは非常に難しいからです。

ですから、除染を本当にやるときに、一体どれぐらいの問題がかかり、どれぐらいのコストがかかるかといことを、イタイイタイ病の一例であげますと、
カドミウム汚染地域、だいたい3000ヘクタールなのですが、そのうち1500ヘクタールまで現在、除染の国費が8000億円投入されています。
もし、この1000倍ということになれば、一体どれだけの国費が必要になるのか。

ですから、私は3つのことを、緊急に提案したいと思います。

第一に、国策として、食品、土壌、水を、除染していく。
日本がもっている、最新鋭のイメージングなどを用いた機器を使って、半導体のイメージング化は簡単です。
イメージング化して、流れ作業にしていくという意味での最新鋭の機器を投入して、抜本的に改善してください。
これは今の日本の科学技術でまったく可能です。

二番目。
緊急に子どもの被曝を減少させるために、新しい法律を制定してください。
私の現在やっていることは、すべて法律違反です。
現在の障害防止法?では、核施設で扱える放射線量、核種などは決められています。
東大の27のいろいろなセンターを動員して、南相馬の支援を行っていますが、多くの施設は、セシウム使用権限など得ていません。

車で運搬するのも違反です。
しかし、お母さんや先生に、高線量のものを渡してくるわけにはいきませんから、今の東大の除染では、すべてのものをドラム缶に詰めて、東京に持って帰ってきています。
受け入れも法律違反、すべて法律違反です。
このような状態を放置しているのは、国会の責任であります。

全国の国立大学のアイソトープセンターには、ゲルマニウムをはじめ、最新鋭の機種を持っている所はたくさんあります。
そういう所が手足を縛られたままで、どうやって、国民の総力をあげて子どもを守れるでしょうか。
これは、国会の完全なる怠慢であります。

第三番目、
国策として土壌汚染を除染する技術に、民間の力を結集して下さい。
これは例えば、東レとかクリタだとか、さまざまな化学メーカー、チヨダテクノルとかアトックスというような放射線除去メーカー、竹中工務店などは、放射線の除染に対して、さまざまなノウハウを持っています。
こういうものを結集して、ただちに現地に除染研究センターを作ってください。
実際に、何十兆円という国費がかかるのを、今のままだと利権がらみの公共事業にならざるを得ない、という危惧を、私は強くもっています。
国の財政事情を考えたら、そんな余裕は一瞬もありません。
どうやって本当に除染をやるか。
七万人の人が、自宅を離れて彷徨っている時に、国会は一体何をやっているのですか!

以上です』


以下は、児玉教授の息子さんからの言葉です。
 
『親父が厚労委員会に参考人として招致されました。
東大放射線センター長として、毎週末南相馬に400km車を走らせて、自身で除染にあたったうえでの訴えです。
どうか見てやってください。

俺は、この人の息子で良かった。

とても多くの方から父の参考人招致について激励の言葉をいただき、感謝の言葉もありません。
全ての皆さんにお返事するのが難しいほどですが、全て拝見していますし、父にも伝えます。
本当にありがとうございます。

父は、3.11の前に東大のアイソトープセンター長に内定しており、放射線の研究が本業というわけではないのですが、このタイミングで父がなっていたのも何かの巡り合わせか、という気がします

ちょうど一年前に父から肝臓移植をした母は、おかげさまでかなり体調が回復し、今度仕事にでることになりました。
あの時もいろいろな方に激励をいただきました。
この一年間本当にいろいろなことがありますが、家族一同支え合ってなんとかやっています。

親父からはいつも、勇気ということを教えられてきた。
親父の立場で、公開の場でああしたことをいうのは、どれだけの勇気がいったことだろう。
まずはそれをねぎらってあげたい。

親父のスピーチを通して、どうか学者にも社会のため、人のために真摯に仕事をしている人間がいると伝わればと思っています。
利権やポジションにとらわれた人間の多さに嫌気がさすこともあると思いますが、物事をよくするために行動することをどうかあきらめないでください。

繰り返しになりますが、父のスピーチに激励をくださった皆様、本当にありがとうございます。
きちんと伝えます。

親父のスピーチを見ていただいた方に、一つだけお願いさせてください。
父は影響力のある科学者ですが、同時に病気の妻を抱えた58歳のただの男です。
一人ですべてを解決できるわけではありません。
本当に状況が良くなるために、一人一人ができることがあると思います』 
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花と野菜と勝負師と

2011年07月28日 | 家族とわたし
長い間謎やった花が、突然ボコボコ咲き出した。
花にボコボコやなんて失礼な表現の仕方かもしれんけど、この花のデカさと咲きっぷりを見たら納得してもらえるかも。
名前はまだ……知らん……。けど、絶対にハイビスカス系。


つぼみだってデカい。存在感ありまくり!明日咲くでぇ~、待っとってやぁ~、とかなんとか言うてそう。


裏が一番好きかも……。


さて、畑にもちょいと、世代交代が始まってるみたいな気配が……。


ふたつめの赤ちゃんナスビ。ヘアスタイルがチャーミング。


まだまだいっぱい花が咲きまくってるので、これからしばらくの間はナスビ料理が続きそうな予感……。


キラキラと輝きながら、葉っぱから葉っぱへ移動していく綿毛。


三度豆の新しい花。嬉しいけど、胡麻和えができそうなぐらいの量は期待薄……。


とうとう咲いたゴーヤの花。5個の種から3つだけ出た芽の中で、畑に植え替えた後の試練に耐えられた、たった1本のゴーヤちゃん。それだけにめっちゃ愛おしい。


おっ!赤ちゃん見っけ!


43℃を記録した先週末、地面に這うようにして生きている植物がかなりダメージを受けたみたい。


けれども、水やり担当の息子が機転を利かせてくれて、水を何度もやってくれたので、とりあえず命だけは取り留めたよう。Thanks!

その息子、我々と入れ替えに、昨日からラスベガスに行ってる。
東海岸から5名、西海岸から5名、ゲーム名人が集まり、そこに日本を始めとする他の国からの代表もやってきて、なにやら世界大会というもんが行われるらしい。
息子は自腹を切って行くのは嫌やったので、彼のスポンサーやファンの人達による寄付で航空券を買ってもらえることがわかるまで、大会への参加を明言せんかったらしい。
やれやれ……我が家の経済教育(?ただ貧乏が長い長い間続いたこと)の成果と言うてええのか悪いのか……。
彼は、ここ東海岸ではかなり名の知れた?ゲーマーみたいやけど、やっぱ日本からの参加者にはなかなか勝てへんらしい。
けど、もし運良く勝てたら、その賞金はハンパやないと、ガールフレンドのニーナちゃんは言うてた。

ちっちゃい頃から母親の身勝手に振り回されて、いろいろと不憫やからと、わたしの父が買い与えたゲームボーイが始まりやった。
その頃既に、ゲームが子供に及ぼす害みたいなもんが親の間で問題になってたから、そんな幼児の頃からゲーム機を与えたくなかったんやけど、実際かなり可哀相な状況やったんで、ついまあええかと許してしもた。
上の息子はゲームの腕はまあまあ。せやから時期が来たら自然消滅的に離れていくやろうと親の期待を裏切らんかった。
ところが下は、なにをやっても超上手。何才になろうが、どんな物事が周りで起こっていようが、一日の何割かはゲームで埋まってた。
とうとう親の我々が、もうそこまで好きで、そこまでうまいのやったら、好きなようにやりなはれとあきらめたのはほんの数年前のこと。
さて、息子は賞金を手に戻ってくるんやろか……。
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資源エネルギー庁の「不正確情報対応」事業の適正化を求める会長声明

2011年07月28日 | 日本とわたし
資源エネルギー庁の「不正確情報対応」事業の適正化を求める会長声明

2011年07月26日

東京弁護士会 会長 竹之内 明

経済産業省資源エネルギー庁の本年6月24日付け入札公告によると、同庁は、「原子力発電所の事故等に対する風評被害を防止する」ことを目的として、ツイッター、ブログ等インターネット上における原子力や放射線等に関する情報につき、これを常時監視し、「不正確」・「不適切」な情報に対して「正確」な情報を伝える事業を計画している模様である。

しかし、そもそも何をもって「正確」・「適切」というかは一義的に明らかといえないところ、政府の計画している上記事業は、政府自身が情報の「正確」・「適切」性を判断して情報コントロールをすることを意図するものであると解さざるを得ず、これは、本来自由であるべき情報の流通に対する政府による過度の干渉にならないか極めて強い懸念がある。

まして、本年3月に発生した福島第1原子力発電所の事故において、事故後数日で第1ないし第3号機にメルトダウンが発生していながら、その事実を東京電力及び政府が認めたのは2か月以上も経った後である。
また、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム_で把握していた放射性物質の拡散予想につき、“社会的混乱”を理由にその公表を遅らせたのも政府自身である。

原子力発電や放射線に関する政府のこのような情報隠しの実態を目の当たりにした現在、政府による情報の「正確」・「適切」性の判断をおしなべて信用することは到底できない。

むしろ、原子力安全・保安院の会見に基づいて事故直後からメルトダウンの可能性を示唆していたのはインターネットメディアであり、また、放射線量の測定について公的機関の対応が遅れているのに対し、独自の測定結果の情報を提供してきたのもインターネットメディアである。
これらのことを考えるとき、インターネット上に流通する情報を政府が監視することは、むしろ弊害の方が大きいと思わざるを得ない。

私たち市民は知る権利を享有しており、情報流通の多様性の確保は民主主義社会の生命線である。
政府の上記事業は、誤った運用がなされれば、「風評被害の防止」の名の下に政府にとって都合のよい情報にのみ私たち市民の目を向けさせることとなり、それによって有用な情報が圧殺される虞がある。
かかる事態を招かないために、当会は、上記事業の適正を期するべく、その運用につき極めて慎重な態度で臨むよう政府に求めると共に、上記事業に対する政府の動きを厳格に注視していく所存である。




よかった……まともなこと考えて、それを文書にして、行動に移してくれはる人もいはるんやということがわかって……。
わたしなんか絶対に、一番に網に引っかかりそうな魚やもんね。
まあ別に、引っかかったからいうて、大人しいするつもりなんか全然あらへんのやけど……。
自分のウロコが全部剥げ落ちたかてかまへん。動きを止めたら死んでしまうからな、わたしっちゅう魚は。
ただ、けったいな人間が間に入ってきたりして、家族にしょうもないチョッカイ出してきよったりしたら話は別。
荒れるで~、吠えるで~、日本語やったらどんと来いやからな~!
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チェルノブイリ・ハート

2011年07月28日 | 日本とわたし
福田良紀さんによる、映画『チェルノブイリ・ハート』の解説と感想を紹介します。
字幕無しの英語ビデオですが、福田さんによる解説でほとんどの内容が理解できると思います。
福田さん、ありがとうございました。

『チェルノブイリハート』上映時間40分 監督:マリアン・デレオ







この映画は2002年に製作され、2003年、アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門でオスカー賞を受賞しています。

監督のマリアン・デレオさんは、日本語版製作に当たり、トルコ人の詩人ナジム・ヒクメット氏の『生きることについて』を日本人に捧げたいと提案されました。
『生きることについて』の詩の内容については映画をご覧下さい。
心に刺さる詩です。
福島の悲劇は、日本一国の問題ではなく、地球全体の問題であることを予言していたかの如き内容です。

【チェルノブイリ原発事故】
1986年4月26日、チェルノブイリ(当時ソ連:現ウクライナ)原子力発電所4号炉で爆発事故が起こり、国際原子力事象評価尺度(INES)において、最悪レベルの7に達した。 
4号炉は炉心溶解(メルトダウン)の後爆発、放射能降下物はウクライナ、白ロシア(現ベラルーシ)、ロシアを汚染した。
原発から東北へ約350kmの範囲内には『ホットスポット』(高濃度汚染地域)が約100ヶ所点在し、農業や畜産業は壊滅し、流通は全停止した。

●映画の内容
190トンの放射性ウラニュームと放射性黒鉛が空気中に拡散し、延べ60万人のリクビダートル(清掃人)が大量の放射線を浴び、13000人以上が死亡した。
避難民の総数は40万人を超え、汚染地域では2000以上の集落が廃村になった。
だが一際大きな放射能被害を受けたのは、子供たちだった……。

【出演者】
エイディ・ロッシュ(チェルノブイリ子供のプロジェクト代表)
彼女が監督と共に参加し道案内役になる。

【場面1】
ウクライナの国境『強制退去地域』(爆心から半径30km以内)
鉄道引込み線の土手を登るとチェルノブイリ原発跡が見えた。
4号炉は石棺に覆われているが、雨の度に亀裂から浸水し、その重みで天井が崩落する危険がある。
夜の線量計での数値は11,000以上(単位不明)。
ニューヨークの1000倍の値。

【場面2】
ベラルーシ・ミンスク市(爆心から300km)
甲状腺がん治療専門病院。
甲状腺がんは10代の青年たちに多く、手術を受けたばかりの若者たちをインタビュー。
いずれもゴメリ州(爆心から100kmの汚染地域)の出身者。
医師は「チェルノブイリ事故当時、幼少期や思春期だった子供に多発している」と言う。
その中に、1986年4月3日生まれの少女(撮影当時16歳)がいた。
彼女は、生まれて23日後に被爆した。
エイディが彼女に質問するも遮られる。
医師は病室外に出てから「彼女はがんだが、本人には話さない」と言う。
希望がないからだ。
この地方の甲状腺がん発生率は、1万倍に増加した。

【場面3】
ノヴィンスキ精神病院(ミンスク郊外)
この病院には、重度障害児が収容されている。
脊髄損傷と脳性麻痺の子供は全員知的障害を持つ。
17~18歳になると、成人用の精神病院に移送される。
しかも半監獄状態だ。
障害児は増加傾向にあり、遺伝子の損傷も増えた。
放射能との因果関係は、実態からしか汲み取れない。
事故以来、障害児の出生率は25倍に増えている。

【場面4】
強制退去地域(チェルノブイリから240km)
殆どの住民は1986年に避難したが、セシウム137汚染地域。
この放射性物質は、内部被爆すると筋肉に蓄積する。
村人「心配だけど、どうすらいいのよ」「放射のかい?みんな、こんなに長生きしているよ」
しかし……多くの人がこう訴える。「骨が痛い」

【場面5】
ある高校にて(チェルノブイリから200kmの汚染地域)
高校生の体内にあるセシウム137を調査。
数値の高い生徒に訊ねる科学者
「汚染源はキノコ・シカ類・野イチゴ・魚。君はどう?」
「キノコとイチゴ類は食べます」と生徒。
家庭にあった自家製ジャムから、高い数値が検出される。
ジャムを線量計の傍に置くと、激しく反応する。
「これからは食べては駄目だよ」
「はい、食べません」
「セシウムはがんを誘発させやすい。消化器系、心臓、肝臓、腎臓そして肺です」と科学者は言う。

【場面6】
ヴェスノバ精神病院(ベラルーシ南部)
曲がった腕の少年、腰から下を引きずって歩む少年は「医者になって子供たちを助けたい」と言う。
エイディに「テレビが故障して退屈なの。新しいテレビかデッキ・ラジオを贈って」と明るく言う。
サーシャ少年は、両手をできものに覆われ、特別なクリームを塗られると痛みで顔を歪ませる。
現地の女医は言う。「勤続19年ですが毎年障害児が増えている。しかもその子たちはの多くは遺棄児童なのです」
遺棄児童は『ナンバーワンホーム』に収容されてくる。

【場面7】
ゴメリ市(チェルノブイリから80km・人口70万人)
遺棄乳児院『ナンバーワンホーム』へ。
親が、奇形や障害に手に負えなくなって、ここに捨てていくのだ。
その中には、全く健常な子供もいる。
経済的な問題だ。
退去地域の解除で、補助金が受けらない事が原因か?
遺棄乳幼児院には、水頭症の子供が多い。
アメリカでは、水頭症の症状の初期に水を抜くことで、病状の進行を抑えることができる。
しかしここでは、その術はあるのに出来ないでいる。
資金がないのだ!
エイディが子供を抱きかかえる。
脳が頭蓋骨に収まっていない。
子供は苦痛を訴えない。
「子供はこの姿勢が楽なんです」と看護婦が言う。
他にも、背中から肝臓が飛び出している子供。
足が動かない。
泣き叫ぶ。
その声が心を締め付ける。
見ていられない!
下を見てしまう。
それでも声は私の心を抉る。
子供を荒々しく扱う看護婦に、エイディが「もっと優しくして」と言うが取り合わない。
「これ以上良くならないのだから」と叫ぶ。
悲しすぎる。
本当に!
もはや看護婦も、尋常な気持ちではいられないのだろうか?
それとも余りの日常に慣れてしまっているのか? 
心が荒んでしまったのか?

【場面8】
ゴメリ私立病院
分娩室では、妊婦二人が、同時にお産の真っ最中。
健康な赤ちゃんが生まれる。
しかし安心できない。
ブラコフスキー医師によると「健常児が生まれる確立は15~2-%。放射能の影響があります」とのこと。
赤ちゃんは出生後、免疫システムが弱いことが原因で死亡することが多い。
ベラルーシの乳児死亡率は、ヨーロッパ諸国の3倍。
健常児出産の確立が、20%とは余りに異常!
異常児出産が20%でも大変なことなのに……。

【場面9】
ゴメリ市立小児病院
イナ12歳、心臓に重大な欠陥がある。
同じ病気に苦しむ患者が、7,000人も心臓手術を待っている。
一人の看護婦が涙を浮かべてインタビューを受ける。
泣くしかないという事か?
悲劇的な患者の多さと、地獄のような毎日が続き、絶望的な様子なのだ!

【場面10】
ミンスク第一小児病院~2週間後
この病院には、14名のアメリカの心臓手術チームが来ている。
米人医師「この子(ターニャ)は心房中隔欠損症で2つ心房の間に穴が開いている。手術で塞ぎます」
エイディ「何で塞ぐのですか?」
米人医師「ゴアテックスで塞ぎます」
エイディ「それは幾らですか?」
米人医師「300ドルです」
近くの医師に聞いて答える。
この国の平均月収が100ドルのところ、300ドルは大きな負担だ!
ため息が出てしまう。
恐らく、この手術の費用はボランティアであると推察される。
ターニャの両親が手術を控え、心配そうに見守り、母親が娘の傍で祈りを続ける。
父親は声なく見詰めている。
重苦しい空気が支配する。

ノヴィック医師(米人医師チーム:ターニャの手術の執刀医)
「患者は別の病院で手術不可能と言われた。重度の心臓疾患があり、このままでは確実に死亡する。
ターニャの心臓は2つの穴が開き、ウクライナ人が《チェルノブイリハート》と呼ぶ。左右の心室の穴
を塞ぐ手術だ」

※因みに2つの穴がある場合、シャントが起こり死産しない。しかし、確実に死が待っている。
その事が新たな悲劇を生んでいる。
シャントとは? 

手術は無事に成功する。
母親が何度も医師に感謝の言葉を語り、ノヴィック医師の胸で泣き崩れる。
「奇跡が起こった」と。

現在でも、心臓外科医の数が不足するロシアでは、手術不可能とされてる子供たちが多くおり、ターニャもその一人だった。
アメリカからのボランティア心臓外科医に娘を治療してもらった親に、奇跡だと泣いて感謝されるノヴィック医師が、カメラに向かって言う言葉の中に、一連の悲劇がまさに今も続いており、終わりが見えていない事、そして国家が民衆を蔑ろにしている事が、如実に象徴されている様に思う。
「感謝の気持ちは有難いが、医師として当たり前の事をしているだけだ。アメリカでは当たり前に治る病気なのだから……」
そして、目を赤くしながら次の手術に向かって行ったのが印象的だった。

国が何も出来ずにいる中、ボランティアでしか救えない命。
国は余りにも非情だ。
こんな事が後の日本で起こるという可能性はないのか?あってならない!
今日の上映会に出席した17人の国会議員たちよ、それ以外の政治家たちよ!肝に銘じろ!

このボランティア医師チームは、13人の子供の命を救った。
しかし、この国では今も、年間300人の子供たちが心臓手術を必要としている。
25年経った今でもだ。
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殺されてたまるか!

2011年07月27日 | 日本とわたし


利害関係のある人達が規制し監督する、という体制自体が間違うてる。
鉄道事故、航空機事故、薬害、耐震構造、金融機関の不祥事などなど、いつも政府のひも付き機関が処理してきたように、なれ合いと誤摩化しが続いてきた。
監督する側が監督される側に世話になってきたりするからあかんねん。
もたれ合いの構造こそが、デタラメの基準値や貧しい政策の根源。

この現実はパッと変わらへん。絶対に変わらへん。
そやし、変わらへん相手に期待して待ってても、時間が虚しく過ぎていくだけ。
時間が過ぎていくだけならええけど、内部被曝量はどんどん増えてしまうねん。
あかんやん。そんなん絶対にあかんやん。

こうなったら我々が立ち上がるしかない、いうて、立ち上がった人達がいる。
食品や空気がどんだけ汚染されてるか、専門的に測ってる人、疎開や避難を斡旋してる人、福島県民を孤立させんよう奮闘してる人、
私財を投じてやってる人、自分の職を一旦放棄してやってる人、自分の子供が内部被曝を受けてることを知り、その事実を冷静に受け止めようとしてる人、
いろんな人が、それぞれの立場で、それぞれのやり方で、少しずつ動き出してる。

もうこうなったらしゃあないわ。
わたしら市民がやるから、あんたら政府は後からついてきたらええ。
日本は今、冗談抜きで、市民が政府を動かさんとあかんようになってしもてる。
けど、もしかしたらとっくの昔から、こんな国やったんかもしれん。
やっと気がついて、いや、一部の人だけやのうて、大勢の人が気がつかざるを得んようになっただけなんかもしれん。
とにかく、間違うた現実を信じ込んでる人達に、丁寧に、根気良く、ほんまのことを伝え続けなあかん。
最悪は、もうどう思ててもええから、黙って後について来て!言うて放っとかなあかんことになるかもしれん。
ひとりでも多くの人に、ひとつでもほんまのことを知ってもらえるように、団扇でもチラシでもなんでも配ろ!
伝え続けていこな!
へこたれたらまた、一緒にやってる人に元気もろて続けよな!
殺されてたまるか!
せやろみんな?
せやろ?
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世界的心中とエイミー・ワインハウス

2011年07月27日 | 日本とわたし
ルーとイライザとは、自然のこと、芸術のこと、健康のこと、人生のこと、アホなこと、そしてもちろん津波や原発のことも話した。
というか、起きている間中ずっと、顔を付き合わせている時はしゃべり続けていた。

カナダにも原発はたくさんある。
いらないのにある。
最近、金にモノを言わせて首相になった男が、いよいよめちゃくちゃな独裁政治をやっているらしい。
しかも、狡猾に、密やかに、うまく誤摩化しながら。
自分の邪魔をする者、楯突く者、または正しいことを言ってくる者は即刻クビ。
その中に、原発施設の脆さを指摘した女性議員もいたそうだ。
やれやれ……原発狂団は世界にガッチリ根ざしている。

今回の日本のことがあって、カナダでも一時、人々がとても不安になった時期があった。
過去形になるのは、それが自国のことでなく、政府がまるで聞く耳を持たず、もちろんその姿勢をマスコミも貫いたからだ。
当事国の日本でさえ、一週間ぶりにニュースを読むと、福島第一の状態を知らせてくれる記事はとても少なく、
歌舞伎役者の子供の名前がついたとデカデカと書かれていたり、
女性の平均寿命が5年ぶりに縮まったのは、猛暑で次々に亡くなってるからだと、暗に原発推進のアピールをしたり……。
原発狂団との闘いは、本当に一筋縄どころか、百筋縄でも行かないことを肝に銘じないといけないのだと、改めて自分に言い聞かせた。

イライザはこれまでにも、持病が原因で、何度か命が危ない状態になったり、失明の危機に見舞われたりした。
それで彼女は若い頃、ある意味自棄自暴になり、楽しけりゃええやん、の暮らしをした頃がある。
パートナーのルーも、家庭の事情でとても深い怒りを抱えていて、互いの暗い感情に同感したり同情したりして励まし合って生きてきた。
だからもう、それはそれは仲良しで、エキセントリックで、そして、社会の事情にとても敏感なすてきなカップル。

コンサートや他のいろんな催しで集まったお金を日本に寄付することが、今もカナダのあちこちで毎日のように行われている。
カーラジオから聞こえてくるそのニュースに、思わず「ありがとうございます」と頭を下げた。
原発を建てられてしまった国はどこもきっと、本当は不安で心配なのだと思う。
こんな言い方をしたらとても不謹慎なのはわかっているけど、できたら日本のような大事故が起きて、自分の国の原発狂団を追いつめることができたら、と思っているかもしれない。
もちろんその時は、自分の身に災難がふりかからないことを望みながら。
でも、本当はもう、そんな悠長なことを考えている時間など無いのかもしれない。
津波や地震や竜巻や洪水が起こらなくても、原発の施設そのものに寿命がきている所が数えきれないほどあるのだから。
多分マスコミは、古くなり過ぎて事故を起こしてしまう原発が出てきても、それでも原発狂団の言いなりになってウソを垂れ流すのだろう。
摘発する議員や記者をどんどん排除して、知ろうとしない人達をうまく丸め込み、地球の終わりまで大勢を従えて、世界的な心中を実行するんだろう。

だから、やっぱり、ここで日本が丸め込まれるわけにはいかない。
日本は世界を救わなくてはならない。
その前にまず、日本を救わなくてはならない。
日本のみんなを救わなくてはならない。
町や村の人を、家族を、友達を、踏ん張って、気長に、あきらめないで、粘り通して救わなくてはならない。

明後日の夜に、インディアン・ポイント原発の廃炉を実現させるためのミーティングに行こうと思う。
そこに行って、日本の現状をできるだけ知ってもらおうと思う。
日本のことがきっかけであってもなくても、原発のすぐそばで何十年も暮らし、ずっと苦しみながら闘っている人達は世界中に存在している。
そんなことを全く知らずに生きて、いい歳になっている自分が恥ずかしいけれど、だからこそ我々の世代が中心になって行動を起こさないと。
物知り顔をして生きてきたが、本当はなにも知らず、知ろうともせず、便利と贅沢を享受し続けていた平和ボケしていた自分を戒めるためにも。

難しいことはなにもない。
ただ、イヤなものはイヤだと声に出すだけ。
そして言い続けるだけ。
今やめたら、相手の思うツボだ。
奴らはいつもそうやって、ニヤニヤ笑いながら、それみたことか、とばかりにのさばってきたのだから。
だから、いつもの我々になってはいけない。
それだけはなんとしても踏ん張って、ならないようにしなければいけない。
でも、ひとりの人間がずっとずっと同じエネルギーを使い続けてはいけない。
そんなことをしたら、疲れ過ぎて、心も体も悪くなってしまう。
だから、適度に休みを取らなければならない。
頑張り続けたら無理が生じ、古ぼけた原発みたいにあちこちで故障が出てきてしまう。
人間が故障したからといって、恐ろしい放射能なんかまき散らすことはないけれど、その人が崩れると周りのエネルギーが低下する。
その波は、思いの外影響力がある。
だから、闘う人は自分をうんと大切にして欲しい。
自分をうんと大切にできないと、自分以外の人を大切にすることもできないから。

今、ふと、エイミー・ワインハウスのことを思い出した。
彼女の歌が好きだった旦那とわたしは、カナダでそのニュースを聞いてとても悲しくなった。
イライザが最後に見た彼女は、ステージに出てきてもちゃんと立つこともできず、バックバンドが何回曲を演奏し始めても歌えず、
バンドのメンバーさえもが、彼女を見限ったような目をして彼女を見つめていたのがとても辛かった、と言っていた。
彼女が自分を大切にできずに、薬物や酒に命を縮められていることは知っていたから、いつかきっとこんな事になるだろうと思っていたけれど、
27才……息子とさほど違わないではないか。
彼女の家族は、彼女の一部始終を辛くて見ていられずに、もしかしたら少し距離を置いていたのかもしれない。
自分の子供が、姉が、どんどん崩れていくのを知りながら、うまく手を差し伸べられずにいた家族の気持ちを思うと、本当にいたたまれない。
けれども一方で、彼女はあんなふうに、本物の死と隣り合わせで生きていたので、あの歌と歌声と雰囲気が生まれたのかもしれない。
そしてその彼女を、金づるのように扱い、いろいろと親切にするふりをして利用しまくった人間がいるのかもしれない。
カナダからの帰り、カーラジオから、フランス語で歌う彼女の声が流れてきた。
車の窓の外に広がる、広大な畑の風景を観ながら、彼女の冥福を祈った。
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