心友のあけみちゃんから「友だちの黒色すみれさんが出るショーがマンハッタンのジャパンソサエティであるんだけど、どう?」という連絡をもらいました。
黒色すみれ?え?だれ?
全く知らない名前だったので、インターネットで調べてみました。
黒色すみれは個人名ではなく、ゆかさんとさちさんという、クラシックをしっかり学ばれた音楽家たちによるユニットの名前でした。
一体どうしてあけみちゃんが彼女たちと知り合ったのか、その馴れ初めを彼女から聞かせてもらいました。
それは、あけみちゃんの友人で津在住のカフェのオーナー、マイケルさんと黒色すみれとの出会いから始まります。
宮崎県出身のマイケルさんは、東大大学院で地方都市の再生について研究していた学者です。
彼はマーケティングに詳しく、中性的で、規格にとらわれない人で、ブラスバンドの演奏経験もある音楽愛好家です。
その彼がある場所で、福井県にある年縞博物館でカフェを営むよんよんさんに出会い、その後、彼女のインスタグラムをフォローしていたら、黒色すみれが博物館でライブをやることを知り、福井に出向いて行ったのでした。そしてマイケルさんは彼女たちをぜひ自分のカフェにも呼びたいと思い、津に彼女たちを招いたんだそうです。
余談ですがこの年縞博物館、かなりすごい博物館なんです。
まず、みなさんは『年縞』ってなんのことかわかりますか?
それは湖や沼などの底に、長い年月をかけて堆積した層が描く縞模様の地層のことなんです。
この博物館では、水月湖の湖底から採取された7万年分もの年縞を、ステンドグラス風に加工して展示しています。
その長さ、なんと45メートル!
この年縞ギャラリーでは、年縞の目盛りに沿って過去から現在へ、7万年の間に人類が経験したできごとを振り返ることができるのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/39/0a7c951fa341466cec2c33ce62f69079.jpg)
さて、話を戻します。
黒色すみれのウィキペディアより:
『2004年にデビューした黒色すみれは、日本の音楽ユニット。ボーカル・ピアノ・アコーディオン担当のゆか、ヴァイオリン担当のさちの2人による女性デュオである。クラシック音楽やシャンソン、歌謡曲をベースに、大正ロマンの雰囲気を漂わせたレトロでノスタルジックな曲調を持ち味とした「ネオクラシックユニット」と銘打ち、メンバーは2人とも「永遠の14歳」を自称している』
『2004年にデビューした黒色すみれは、日本の音楽ユニット。ボーカル・ピアノ・アコーディオン担当のゆか、ヴァイオリン担当のさちの2人による女性デュオである。クラシック音楽やシャンソン、歌謡曲をベースに、大正ロマンの雰囲気を漂わせたレトロでノスタルジックな曲調を持ち味とした「ネオクラシックユニット」と銘打ち、メンバーは2人とも「永遠の14歳」を自称している』
ゆかさんはフェリス女学院大学音楽学部出身で、歌とアコーディオンとピアノ担当。北原白秋などの日本文学にも詳しく、物事の捉え方が面白い人。
さちさんは国立音楽大学器楽学部出身で、歌って踊れるメルヘンヴァイオリニスト。
彼女たちにはクラシック音楽出身者特有の頑なさがなく、枠にとどまらない音楽性やファッションセンスの幅広さから、オルタナティヴ・ミュージックや「ネオクラシックユニット」として紹介されることもあります。
2007年よりフランスを始めとするEU諸国で海外ツアーを開始、2008年にはアメリカでもライブツアーを行っています。
演劇界でも彼女たちの出演を望まれていて、自作曲はもちろん数多くのレパートリーを持っています。
ちなみに監督のティム・バートンは彼女たちの大ファンだとか。
自身のカフェでの黒色すみれコンサートの本番が近づいてきた頃に、あけみちゃんの家に行ったマイケルさん。彼は彼女のアトリエ(彼女は実に素晴らしい陶芸家です)を見て、ここでもコンサートをしたらいいんじゃないかと思いつきました。
あけみちゃんは30名限定のお客さまをお招きし、そのコンサートのために特別に作ったお菓子をお抹茶と一緒に振舞ったのだとか。
そしてゆかさんとさちさんは、たっぷり1時間半のフルコンサートを行ったそうです。
実にエキサイティングな出会いだと思いませんか?
さて、ここからが本題です。
厳しい寒波の到来間近だった週末の土曜日に、マンハッタンのジャパンソサエティに向かいました。
その日は朝からずっとボケていて、時間の感覚も途切れ途切れで、出かける寸前にちょっとひと眠りしようとしたりして、夫をイライラさせてしまっていたわたし。
あまりの寒さに冬眠でもしたくなったのか、自分でもよくわからなかったのですが、体調はあまり良くありませんでした。
いつもなら渋滞で困り果てる時間帯に行ったにもかかわらず、マンハッタンへのトンネルも街中も道路はスカスカです。
数日前から執行された渋滞税の効果が出ているのかもしれません。
ユニセフの近くにあるジャパンソサエティの建物は、そこだけが急に京都の一画に入り込んだような錯覚を覚えさせます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/96/d5c3107066a6dd9bcac285eb4efa1288.png)
この日のショーは、寺山修司の戯曲『青ひげ公の城』。
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バルトークの歌劇『青ひげ公の城』を題材に、楽屋裏の事件や不条理なやりとりを描いた、メタフィクショナルな作品です。『青ひげ公の城』のヒロイン「七番目の妻」役を演じるために劇場にやってきた少女は、劇の内容について詳細を知らされないまま楽屋で待機することを命じられるのですが、そこを脱け出して、他の俳優たちや、舞台監督、大道具といった裏方スタッフと関わっていきます。劇中の台詞や場面が挿入されながら、楽屋裏での様々な人間模様や事件が展開されていき、劇と現実が交錯してゆきます。その混乱にマジシャンやエアリアルフープのダンサーの本格的な演技が差し込まれ、劇は実に目まぐるしくエネルギッシュに展開していきます。
そこに黒色すみれのお二人が登場です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/f3/fad12e74a3ff7c4549bbc72f1da27be3.png)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/60/a0519c6809933c175dd4355da7fe7c2f.png)
いやもう、ゆかさんの第一声を聴いた瞬間、心地良さと歓喜が同時に押し寄せてきて瞳孔が開きっぱなし。
あの発声の独特さは聴いたことがありません。さちさんのヴァイオリンもノリノリです。
黒色すみれ(ネオクラシックユニット)の音楽と寺山修司による実験的なアングラ演劇のコラボの公演は大成功で、満席の観客も大興奮。
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/fe/3c79b6759262944fb0402a0261aec2dd.png)
ちなみに出演者は全員女性です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/fe/ea7023f1c18777ec143347916e2b37da.png)
全員がまさに弾け飛んでいて、楽しくて可笑しくて、元気をいっぱいもらいました。
次回は女性だけの歌舞伎の公演を提げてニューヨークに来る、とおっしゃっていたのでとても楽しみです。