ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

音楽三昧

2019年10月21日 | 音楽とわたし
7月13日に行われるはずだった演奏会が、マンハッタンの中心街で突然発生した大停電により10月12日に延期された。
毎年コンサートの予約を入れるには1年以上も前から申し込んでおかないといけないホールなのに、いつも質の良いコンサートをしている常連だからということで、特別に、昼間ではあるけれども、スケジュールに入れてもらえたことはありがたかった。

結局作曲に1年以上かかった『OKINAWA』の演奏を、7月の時点で仕上げたつもりでいたのだけれど、
日本での帰省の間に、ピアノの師匠に聞いてもらってたくさんのアドバイスを受けたら、いろんな可能性がまた見えてきて、練習がどんどん面白くなった。
今回のこの『OKINAWA』には、わたしの沖縄への想いのありったけを込めた。
沖縄の大自然、特に美しい海。
それらは物言わず、ただそこにあって、長々と続いている沖縄の人々の、理不尽な差別に対する不屈の闘いを見つめている。
伝わったらいいなあ。
そう思いながら、パートナーのバイオリニストのサラと練習を重ね、先週の土曜日に舞台に立った。

とても特別な時間だった。
たったの9分強の時間だったけれど、わたしとサラ、そして会場に足を運んできてくださった人たちが、それぞれの想いを共有できたような気がした。

海を見た人がいた。
森を感じた人がいた。
拳をあげて踏ん張るオジイやオバアの姿を思い出した人がいた。
のんびりとくつろぐ老人や、無邪気に遊ぶ子どもの姿を見た人がいた。

もうそれだけで十分だと思った。
作曲者冥利に尽きることだ。


そのコンサートが終わった晩に、遠くから聞きに来てくれた友人一家(7歳の双子ちゃんがいる)がうちに泊まった。
その晩から、来月の11月中旬にあるオーケストラを中心にしたコンサートの打ち合わせが始まった…。

…というわけで、もう本当に信じられないほどに時間が経つのが早くて、頭が三日分くらい後からついてくるという感じの毎日が続いている。
3歳から琴を、そして8歳からピアノを学び始めて半世紀以上経つのだけど、そんな長い付き合いの音楽と、ここまで濃密なデートを繰り返す毎日になるとは思ってもいなかった。

長い音楽との関わりの中で、ずっと夢見てきたことがある。
いつかわたしも曲を創りたい。
いつかわたしもオーケストラを指揮したい。

作曲願望は、6歳か7歳の頃だったか、当時通っていた音楽教室のアップライトピアノの前に座り、その時に習っていた本のページを眺めていた時に芽生えた。
指揮者願望は、16歳から始めたクラリネットを吹きながら、目の前に立つ指揮者を見るたびにふつふつとわき上がってきた。

でも、どちらも叶うことなく、叶える努力もせぬままに、時間はどんどん過ぎていった。
それが突然、アラ還で作曲の夢を、年金をもらう歳になって指揮者の夢を、叶えるチャンスをつかんだわけで、
しかもそのどちらも、多分、えっと、できると思う、へへへ、みたいな感じの、いつもながらの有言実行(と言えば聞こえは良いが、どちらかというと無謀な行動)だった。
だからめちゃくちゃに焦ることになる。
またやっちゃった…と冷や汗かきながら、だけど後悔は全くしない。
もうやるっきゃないんだからと覚悟を決めて、指揮のレッスンに通い始めた。
ちゃんと学び始めると、自分がいかに無謀なことにチャレンジしようとしているのかがはっきりとわかる。
わかった時点ではもう遅いので、無謀ではなかったと思えるところまで自分を引き上げていくしかない。
わたしの英語でのコミュニケーション能力が不十分だったからか、それとも忙しさにかまけてちゃんと尋ねるべきことを尋ねなかったからか、
一昨日の夜になって初めて、わたしが勉強し続けているオーケストラの総譜と、オーケストラメンバーが練習している楽譜が違うことに気がついた。
そして在ろう事か、彼らにあらかじめ送られていたオーディオファイルの演奏が、わたしの望んでいる音楽とまるで違う事も。
それを送ったのも、そしてわたし用の楽譜を送ったのも、同じ人物なのだけど、彼に何か意図があったとは思えないし思いたくない。

左がこれまでプリントアウトした楽譜をテープで貼り付けて使っていたもので、右がやっと手に入った総譜。
空のシッポはおまけ♪


だけど、わたしに振り分けられたオーケストラとの合わせ練習の時間が少な過ぎて、1分でも無駄にできない状況の中で、この間違いはかなり痛い。
なので昨日、初めてオーケストラメンバー全員と歌手二人が揃ったリハーサルの場で、この行き違いと勘違いの話をして、とにかくわたしの指揮棒についてきて欲しいとお願いをした。
かなり突っ込んだ練習ができたし、メンバーからの信頼を得られたという感じもした。
やっぱり指揮ってすごく面白い。
いろんな楽器のいろんな人たちと一緒に、音楽を作り上げていくのが楽しくて、ものすごく興奮した。



こんな立派なフライヤーを作ってもらったんだもの、頑張れるだけ頑張らないと!

という事で、11月16日のこのコンサートが終わるまでは、本当に忙しい毎日が続く。
このコンサートと同時進行で、12月15日に行う(この秋になぜかいきなり8人も増えた)生徒の発表会の準備もしなければならない。

『日本とわたし』カテゴリーの記事を書きたい気持ちは山々なんだけど、本当に時間が無いので、いっそのこと、ツイッターに投稿しているツイートをここに載っけようか、などと考えたりもする。
どうしたらいいだろう…。
コメント (2)
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