「長年暮らしているのに、まだ一度も行ったことがなかったし、きっとまうみが気に入ると思ったから」とジムが言うレインフォレスト。
広大な面積の国立公園のうちの、ほんの一部を一緒にハイキングするのが、今回の旅の目玉。
森のすぐ近くにあるホテルは宿泊代がべらぼうに高いのだけど、今回はジムがわたしたちの部屋の分も払うと言って聞かない。
それでなくても彼は、特別な検査だの治療だので、人のためにお金を使うような余裕が無いのに…。
さすが、雨の森と呼ばれるだけあって、いつ降ってきてもおかしくない曇りっぷり。
年間の降水量を示す目盛り。
去年は上から三つ目のところまで降ったそうな。
まるで神社の境内にいるような感じの、杉の大木があちらこちらに。
森の中は鬱蒼としていて、目に入る緑の濃淡がうまく写せない。
かといって色をつけるのも変なので、そのまま載せることにする。
本当はもっと緑が濃くて、木々の幹が深い色をしているので、それを想像して見ていただけたら、と思う。
出発!
わたしはいつものように、歩幅も小さいし撮りたいところだらけだし、だからついつい遅れてしまう。
なんでこんなところにスカンクが?と思ったら…スカンクキャベツが!日本名は『座禅草』。なんとイメージの違うことよ…。
雨の森の木々は、苔を身にまとっている。
どういう理由なのかはわからないけれど、ドスンと倒れた杉の大木。
根っこの周辺だけで4メートルはある。
切り落とされた木に寄生して大きくなった木。
あちこちに現れるミニチュア滝。
国立公園内では重機などが使えないので、木の世話は全て人間の手で行われる。
この大きさ、存在感を、写真では伝えられないのが残念!
ゾンビみたい。でも、緑はもっときれいな色だ。
もっとたくさんのカタツムリが見られるだろうと楽しみにしていたけれど、見つけたのはバナナスネイルだけ。
倒れた木が道を塞ぐこともしばしば。
兄弟!
空はいつもこんな感じ。
疲れ過ぎたらあかんで〜!
腕のような枝。
これも寄生中。英語では「nursing tree」と言うらしい。「元の古木が新たな命を大切に育ててあげる」という表現は、「寄生」よりもいいなと思った。
オリンピアの州花。
降ったり止んだりの雨に濡れて、すっかり冷えてしまった体を温めるオトナコドモたち。
ステファニーのダントツ勝ち。
空が晴れてきた。
翌日の日曜日、ピーカン晴れ!
部屋の窓を開けると、
朝ご飯をまず食べて、
でっかい流木によじ登り、先っちょを覗くと、石をいっぱい抱っこしてるのが見えた。
日本の杉だと書いてある。
たくましい草。
車で移動しながら、ハイキング再び。
よう晴れちょる!
巨大コブ。
どういう用具を使ってこんなデッカイ木を切ったのだろう…。ステファニーが登っている木の年輪は約400あったそうな。
湖に向かってゴロンと寝っ転がっている。
よじ登って湖に向かう。
ルーンがいた。
湖の中で横たわっている木。
これは何?
マイクロブーストに襲われた場所。
橋を渡る。
墓標のように立っている。
ハイキングコースの入り口の標識に「ここ一帯はクーガーが生息しているので、独り歩きは絶対にしないこと。もしばったり居合わせた場合は、走らず、背を向けず、じっと目を見て動かないこと」と書いてあった。
そんなこと言われても…。
晴れていてもやっぱり、目で見ている緑がどうしても撮れない。
ジムは昨日からの続きで疲れが出て、「ゆっくり行くから気にしないで」と言う。
わたしは「どちらにしてもいつも遅れるし、写真も撮りたいから、ちょうどいいペースだから」と言って、しばらく二人で歩いていた。
「僕はここでやめておくよ。まうみは気にしないで行って」
そう言って、ジムは大きな岩に腰掛けた。
一緒にいようかどうしようかと迷ったけど、ジムに余計な気を使わせたくなかったので、ほいじゃあ行くね、と言って別れた。
先に行ってしまった4人の後を追いかけたのだけど、追いつくわけがない。
森の中はしーんと静まり返っていて、遠くの方から滝の音が聞こえるだけ。
ふと、あの立て看板の注意書きが頭の中に蘇ってきた。
クーガー…。
どうしよう…独りになっちゃってるやん、思いっきり。
いや、多分大丈夫。
よりにもよって、襲われたりなんかせえへんし。
けど、わたしの人生には、よりにもよってとか、なんでこんなことがとか、そういう状況が人より何倍も多かったしなあ…。
クーガーが今、笹の中に身を潜めてて、いきなり襲いかかってきたとしたら、まず鋭い爪で顔をひっかかれたりするのかなあ…一気に首元に食いついてくるのかなあ…。
あっという間に死ねたらいいけど、あちこち噛みちぎられながら、痛いよ〜痛いよ〜なんて思いながら死ぬのは嫌やなあ…。
もうすっかり襲われている自分という想像に頭の中がいっぱいになってしまった…。
そこにカサカサっという音が聞こえてしまったからもういけない。
足元に落ちている、一番とんがっている石を手に持って、万が一の時はこれで戦うぞ!と決心する。
そしてまず、下草が生い茂っていない、とりあえずクーガーが隠れられないような場所を選んで、そこで休憩することにした。
やっと戻ってきてくれたステファニーと合流して、二人で降りることに。ああドキドキした。
道端に突然現れた滝。
世界で一番大きい、1000歳のSitka Spruce。
帰り道のガソリンスタンドで、超アンティークなのを見っけた。
二日間、たっぷりと森林浴を楽しませてもらった。
ほんとにありがとうジム!
ジムのスクリーニングは翌日の火曜日に行われる。
良い結果が出ることを祈りながら、空港に向かう。
エゾマツがめちゃくちゃ多い。
イチゴが走ってる!
また来るからね。
お別れのハグをしている時、ジムはわたしに「僕は死なないから」と一言言った。
言葉の代わりに、ぎゅうっと抱きしめた。
広大な面積の国立公園のうちの、ほんの一部を一緒にハイキングするのが、今回の旅の目玉。
森のすぐ近くにあるホテルは宿泊代がべらぼうに高いのだけど、今回はジムがわたしたちの部屋の分も払うと言って聞かない。
それでなくても彼は、特別な検査だの治療だので、人のためにお金を使うような余裕が無いのに…。
さすが、雨の森と呼ばれるだけあって、いつ降ってきてもおかしくない曇りっぷり。
年間の降水量を示す目盛り。
去年は上から三つ目のところまで降ったそうな。
まるで神社の境内にいるような感じの、杉の大木があちらこちらに。
森の中は鬱蒼としていて、目に入る緑の濃淡がうまく写せない。
かといって色をつけるのも変なので、そのまま載せることにする。
本当はもっと緑が濃くて、木々の幹が深い色をしているので、それを想像して見ていただけたら、と思う。
出発!
わたしはいつものように、歩幅も小さいし撮りたいところだらけだし、だからついつい遅れてしまう。
なんでこんなところにスカンクが?と思ったら…スカンクキャベツが!日本名は『座禅草』。なんとイメージの違うことよ…。
雨の森の木々は、苔を身にまとっている。
どういう理由なのかはわからないけれど、ドスンと倒れた杉の大木。
根っこの周辺だけで4メートルはある。
切り落とされた木に寄生して大きくなった木。
あちこちに現れるミニチュア滝。
国立公園内では重機などが使えないので、木の世話は全て人間の手で行われる。
この大きさ、存在感を、写真では伝えられないのが残念!
ゾンビみたい。でも、緑はもっときれいな色だ。
もっとたくさんのカタツムリが見られるだろうと楽しみにしていたけれど、見つけたのはバナナスネイルだけ。
倒れた木が道を塞ぐこともしばしば。
兄弟!
空はいつもこんな感じ。
疲れ過ぎたらあかんで〜!
腕のような枝。
これも寄生中。英語では「nursing tree」と言うらしい。「元の古木が新たな命を大切に育ててあげる」という表現は、「寄生」よりもいいなと思った。
オリンピアの州花。
降ったり止んだりの雨に濡れて、すっかり冷えてしまった体を温めるオトナコドモたち。
ステファニーのダントツ勝ち。
空が晴れてきた。
翌日の日曜日、ピーカン晴れ!
部屋の窓を開けると、
朝ご飯をまず食べて、
でっかい流木によじ登り、先っちょを覗くと、石をいっぱい抱っこしてるのが見えた。
日本の杉だと書いてある。
たくましい草。
車で移動しながら、ハイキング再び。
よう晴れちょる!
巨大コブ。
どういう用具を使ってこんなデッカイ木を切ったのだろう…。ステファニーが登っている木の年輪は約400あったそうな。
湖に向かってゴロンと寝っ転がっている。
よじ登って湖に向かう。
ルーンがいた。
湖の中で横たわっている木。
これは何?
マイクロブーストに襲われた場所。
橋を渡る。
墓標のように立っている。
ハイキングコースの入り口の標識に「ここ一帯はクーガーが生息しているので、独り歩きは絶対にしないこと。もしばったり居合わせた場合は、走らず、背を向けず、じっと目を見て動かないこと」と書いてあった。
そんなこと言われても…。
晴れていてもやっぱり、目で見ている緑がどうしても撮れない。
ジムは昨日からの続きで疲れが出て、「ゆっくり行くから気にしないで」と言う。
わたしは「どちらにしてもいつも遅れるし、写真も撮りたいから、ちょうどいいペースだから」と言って、しばらく二人で歩いていた。
「僕はここでやめておくよ。まうみは気にしないで行って」
そう言って、ジムは大きな岩に腰掛けた。
一緒にいようかどうしようかと迷ったけど、ジムに余計な気を使わせたくなかったので、ほいじゃあ行くね、と言って別れた。
先に行ってしまった4人の後を追いかけたのだけど、追いつくわけがない。
森の中はしーんと静まり返っていて、遠くの方から滝の音が聞こえるだけ。
ふと、あの立て看板の注意書きが頭の中に蘇ってきた。
クーガー…。
どうしよう…独りになっちゃってるやん、思いっきり。
いや、多分大丈夫。
よりにもよって、襲われたりなんかせえへんし。
けど、わたしの人生には、よりにもよってとか、なんでこんなことがとか、そういう状況が人より何倍も多かったしなあ…。
クーガーが今、笹の中に身を潜めてて、いきなり襲いかかってきたとしたら、まず鋭い爪で顔をひっかかれたりするのかなあ…一気に首元に食いついてくるのかなあ…。
あっという間に死ねたらいいけど、あちこち噛みちぎられながら、痛いよ〜痛いよ〜なんて思いながら死ぬのは嫌やなあ…。
もうすっかり襲われている自分という想像に頭の中がいっぱいになってしまった…。
そこにカサカサっという音が聞こえてしまったからもういけない。
足元に落ちている、一番とんがっている石を手に持って、万が一の時はこれで戦うぞ!と決心する。
そしてまず、下草が生い茂っていない、とりあえずクーガーが隠れられないような場所を選んで、そこで休憩することにした。
やっと戻ってきてくれたステファニーと合流して、二人で降りることに。ああドキドキした。
道端に突然現れた滝。
世界で一番大きい、1000歳のSitka Spruce。
帰り道のガソリンスタンドで、超アンティークなのを見っけた。
二日間、たっぷりと森林浴を楽しませてもらった。
ほんとにありがとうジム!
ジムのスクリーニングは翌日の火曜日に行われる。
良い結果が出ることを祈りながら、空港に向かう。
エゾマツがめちゃくちゃ多い。
イチゴが走ってる!
また来るからね。
お別れのハグをしている時、ジムはわたしに「僕は死なないから」と一言言った。
言葉の代わりに、ぎゅうっと抱きしめた。