ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「やっぱり生演奏っていいな」の巻

2021年10月27日 | 音楽とわたし
見出し写真は先日義母からもらったオーガニック農場の卵。1週間以上冷蔵庫の中だったけど、黄身に元気がみなぎっている。

2019年の11月16日のコンサートを最後に、実に約2年ぶりに、ACMAの生コンサートが開催され、無事に終わった。

ホールに入るには、マスク着用はもちろん、ワクチン接種終了証明書と写真付きの身分証明(例えば運転免許証とか)を見せなければならないし、階段ホールや休憩所で屯していると、係の人がやって来て、分散してくださいと言われたりする。
ホールの外にさえ出れば何をしててもいいよ、という感じ。
あの地獄を経験し、あそこから生き残るためにどれほど大変な思いをしてきたかを想像すると、そういうことも致し方がないと思う。

ホールの壁や天井が、プログラムをめくる音、あちこちで「やあ久しぶり」「とうとうだね」とマスク越しに再会を喜び合う人々の声を、優しく包み込んでいる。


演奏曲は12曲、けれども休憩時間が無い。
人々が一堂に集まることを避けたいのだろう。
これもコロナウイルス対策の一つだと、プログラムに記されていた。
でも、そんなことなど全く気にならないほどに出演者たちの演奏は素晴らしく、バラエティに富んでいた。


ただ、マスク着用のまま演奏しているピアノ奏者を見ていると、こちらの方が息苦しくなってしまった。
いつまでこんなことを続けなければならないのだろう…。
レストランの室内で食べてもよくなったけど、店を出入りする時だけはマスク着用で、食べ始めたらなんでも有りとか、演奏会で歌や吹奏楽器の演奏者はマスク無し(そうでないと演奏できない)で、口を使わない演奏者はマスク有りとか、同じ場所でそんな制限して意味あるの?って思うことがいっぱいある。
そういう決まりを作っている人たちも、どうしたらいいのか、何が最善なのか、よくわかっていないのかもしれない。
マスク着用は感染予防の基本中の基本だし、うちに来る生徒たちにもこちらで用意した4層マスクに付け直してもらったりしているけど、ちぐはぐな規制は徐々に改良していくべきだと思う。


演奏会の翌日は、ACMAオーケストラの初顔合わせと初練習が行われた。
主席指揮者として今年からオーケストラを統括してくれるのはクリストファー・ノース氏。
プロの指揮者であり、ベース奏者であり、ハリウッドやブロードウェイの作曲を手掛けている。
わたしが振る曲「運命の力」の総譜とパート譜を、ニューヨーク公立図書館で借りてきてくれた。





古さが半端じゃない。
しかも書き込みが自由に行われていて驚いた。
もしかして、わたしもこれを使いながら書き込んでもいいのかな?
パート譜に目を通していると、各奏者の焦りや戸惑いや興奮がじわじわと伝わってくる。
たまに「何回読み間違ってるんだよバカ!」みたいな書き込みがあって、自分も同じようなことを書いたなあと苦笑する。
この曲にはクラリネットのソロがあるんだけど、ハープ2台とコントラバスだけが伴奏をしている静かで温かな雰囲気がする部分だ。


わたしが演奏した時は公立の進学高校のブラスバンドだったので、当然ハープなんて楽器は無くて、だから代わりにクラリネットのパート2と3の人たちが必死でカバーしてくれていた。
わたしが気分良くソロ(といっても音作りにすごく苦労したし数えきれないほど練習した)を吹いている間、こんな大変な思いしてくれてたんだと、46年も経ってからしみじみと感謝している自分に苦笑する。
今回もハープの演奏者がいない。
初めはピアノ奏者にハープ音にセットしたキーボードを弾いてもらおうか、などと考えていたが、図書館からの総譜を見ると、その部分を丸々カットするのも有りだと知った。
それは一番楽な方法だし、音楽的な流れも悪く無いので、ソロを演奏するゲリーに事情を話して諦めてもらおうということになった。
でも…でも…同じクラリネット吹きとして、その部分をカットするなんてものすごく言いづらい。
どうしたものかと練習会場でウロウロしていると、ゲリー本人が近づいてきて、ニコニコしながら開口一番こう言った。
「やあ眞海、「運命の力」のあのソロを演奏するの、めっちゃ楽しみにしてるんだ僕は」。
「ハハハ、そ、そうだよね、クラリネット吹きだったら絶対に演奏したいよね、うん…」。
あ〜だめだ!絶対にカットするなんて言えない!
こうなったらもう仕方がない。
今回の演奏会を行う舞台は、あの狭っ苦しいカーネギーの(それでも600席の中サイズだったが)ではなくて、広々としたシンフォニー・スペースのホールだ。
あそこならピアノを第一バイオリンの後ろに置けるだろうし、シフトペダルを踏みながらハープ奏者になり切って演奏してもらえたらなんとかなるかもしれない。
誰に頼もうか、誰なら引き受けてくれそうか、12月4日までの土曜日の午後を毎週つぶしてもいいって思ってくれる人がいるだろうか?
また新たな人探しが始まる…。

肝心の指揮の方は、再びレッスンを受け始めているのだけど、なぜかすごく上達したねと言ってもらってびっくりした。
練習はもっぱらユーチューブのカラオケ(これぞまことのカラオケ😅)で、数あるビデオの中から一番しっくりくるものを選んで、空き時間を見つけては指揮棒を振っている。
でも、実際にオーケストラを前に立つと、指示を出す相手が広範囲に分散していて、出したつもりがとんでもない方向を見てることが時々あって苦笑いすることがある。
わたしはチビなので、腕の位置を他の人よりも高めに保たないと演奏者の目に届かない。
今回からプロの指揮者と一緒に指揮をすることになって、実はちょっとビビっていた。
音大で指揮を学んだこともないし、どこかの楽団で指揮をずっとやっていたわけでもない還暦を過ぎたピアノ教師が、そりゃまあずっとずっと夢見ていたことだとはいえ、なぜか自分にはできるはずと信じていただけなのだ。
実際にやらせてほしいと手を挙げてみたら、拍子抜けするぐらいにあっさりと、じゃあやってみたらとオーケーが出て、めちゃくちゃ焦りながらレッスンを受け、練習と本番を終えたら実に爽快だった。
また振らせてもらえることになって、じゃあどんな曲をやりたいかと聞かれ、嬉々として曲名を書いて送ったら、そのほとんどが今回のプログラムになった。
けれども主席指揮者はプロだ。
なので今回もわたしは一曲だけしか振らせてもらえない。
でもそれでもすごくありがたいし嬉しい。
しかもその曲が、提案した曲の中でも一番振りたいと思っていた「運命の力 序曲」なのだから不足はない。
クリストファーが電話ミーティングで言っていた言葉が心に刺さっている。
「僕は何よりもまず、また来たいなって思ってもらえるような練習にしたい」
前回のわたしは、弱みを見せたくなかったし、できることを証明したいばっかりに、やたらと厳しくやっていたような気がする。
もちろん音楽として質の良い、聞き応えのある演奏を求めていたからなのだけど、オーケストラメンバーがまた次の練習が楽しみだと思ってもらえるように、という意識は無かった。
これはピアノのレッスンにも言えるんじゃないか?
わたしは自分の生徒たちに対して、また来たいなって思えるようなレッスンをしているだろうか?
いやあ、人生学びの連続だ。
有言実行で突っ走っている64歳。
こんなわたしを受け入れてくれる、学歴不要のアメリカならではの寛容さに感謝する。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「消費税率5% VS 消費税率19%」 総選挙2021 

2021年10月22日 | 日本とわたし
消費税率が、どんなに裕福でも、どんなに貧困でも、一律に、生活必需品にまでかけられているっていうのも本当に間違っていると思いますが、自公政権がこのまま続けば、あと数年もしたら約20%に上げられてしまいます。
それだけでも十分ひどいのに、この所得税の負担率のトンデモさを、どうしてマスコミは報道しないんでしょう?

社会保険料制度の大きな問題
厚生年金と健康保険に負担上限がある。
厚生年金の場合
月給65万円までは保険料がかかる。
65万円以上、月給が1000万円でも1億円でも、保険料は65万円の人と同じ
健康保険の場合
月給が139万円を超えると、超えた部分には保険料がかからない
圧倒的に高額所得者に有利な制度

そのことについて前々から指摘していた共産党の大門実紀史議員。

自民党政治って、一般庶民からは搾取し、それを富裕層に分配し、その見返りとして献金や票をもらい、国体思想や戦前回帰を夢見る人々の先頭に立って人権を踏みにじり、権力を拡大し続けてきた政党なんだなあとつくづく思います。
公明党は創価学会の会員に票稼ぎの仕事を任せ、耳当たりの良い言葉を吹聴し、権力側に寄生して私腹を肥やすコバンザメ政党だし、維新の会は目先の儲けを重視し、政商竹中に追従し、詐欺とも言えるほどの自己アピールのうまさを発揮して、じわじわと拡大しているのが恐ろしい。

今回の選挙で、この自公維に大きな打撃を与えることができなかったら、今よりもっと暮らし辛い毎日がやってきます。
え?私は別に困ってないし辛く無いけど?という人もいるでしょう。
コロナ禍においても、仕事はいつも通りにやってこれたし、健康だし、別に誰が政治やってても同じでしょ?という人もいるでしょう。
でも、今困っている人、前々から困っている人は、周りを注意して見たら必ずいます。
日本はもう25年もの間、ずっと不景気が続いています。
年間の収入は、こんなにも差が出ています。


こんな状態なのに、消費税率20%(あえて19%とは書きません)なんて有り得ません。
経団連だの連合だの、労働者の味方ヅラして実は富裕層と自民党の一味だし、もうそんなこんなで本当にボロボロなのに、これ以上搾取されてもいいなんて、ドMの人だらけなんでしょうか?
今回の選挙、自公維の力を削ぐための選挙です。
だからわたしは、一般庶民の力になってくれる野党連合を応援します。
マスコミは鬼のように自民党総裁選を報道していましたが、そんなものよりずっと大事な総選挙の報道はどうですか?
各党の詳しい紹介、各地の選挙戦の様子など、取材して放送していますか?
公平にできない、などという変ちくりんな御託を述べて知らんぷりしていますか?
テレビはまたいつものように、全てが終わってからの投票後に、あーだこーだと言うだけの番組で誤魔化そうとしていますか?
投票率がまたまた50%前後という、およそ民主主義とは言えない選挙にして、自公政権を守り抜こうという輩たちに協力するのですか?
日本に暮らすみなさんの手で、みなさんの暮らしを良いものにしてくれる人たちが政治をやれるように、棄権などせずに、必ず投票してください。
お願いします。

おまけ写真
国会議員 VS 会社員の給料

政権変えたくなりませんか?
だから選挙行かなきゃ!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Dappiの正体がバレた!

2021年10月20日 | 日本とわたし
Dappiっていう名前を聞いたことがありますか?
ツイッター界隈では有名な人で、アベスガ政権を批判する人たちに執拗に絡んだり、政権寄りのデマを流したり、政権の中の人でないと知り得ないことをつぶやいたりしていたのですが…先日、とうとう身バレしたようです。
前々からわかっていたように、やはり自民党が深く関わっていました。

これ↓は今からもう3年も前のツイートですが、当時からこれは個人では無いなとささやかれていました。


ツイッターで野党やマスコミ叩きをしている有名ネトウヨ匿名アカウント「Dappi」の発信元が、自民党と取引がある広告・ウェブ製作会社だった。
その「Dappi」を運営していたと見られる広告・ウェブ制作会社が、岸田文雄首相や甘利明幹事長が代表取締役を務めたある会社とも取引があった
この会社は一応、民間企業の体裁をとってはいるが、その実態は「自民党のダミー会社」で、会社の名前は「株式会社システム収納センター」という。
所在地は自民党本部から徒歩で10分もかからない平河町のビルにある。
このビルには、石原伸晃が会長を務める派閥「近未来政治研究所」(石原派)の事務所や、自民党の党友組織である「自由社会を守る国民会議」(自由国民会議)の事務局なども入居している。

まだまだ続きますので、本文を読んでください。

とにかく、この「Dappi」疑惑はとても深刻です。

A社には、自民党本部から政治資金も渡っている。
党本部の政治資金収支報告書によると、党本部は17~19年、毎年「寄付・交付金」としてA社に12回、計約4000万円を支出している。

そして今日、『しんぶん赤旗日曜版』次号に、続報スクープが出ました。
前置き部分を書き起こします。


政権を批判する野党やメディアを、ウソ情報で攻撃する投稿をしていたツイッターの匿名アカウント「Dappi」(@dappi2019)。
この運営に個人でなく企業がかかわっていたことが大問題になっています。
編集部の調べで新たに、この企業の社長が、自民党本部の事務方トップ・事務総長の親戚を名乗り、自民党本部や国会などに出入りしていたことが分かりました。
正体を隠しながら政党が意図的に世論誘導したとすれば、民主主義破壊の重大問題。
自民党事務総長と社長の関係を追いました。 取材班

これは本当に恐ろしい事です。
こんなことをする政党は本当に終わっているし、こんなことがまかり通るような社会には先がありません。
2度と同じようなことが起こらないように、徹底的に絞りあげて欲しいです。
マスコミさん、日刊ゲンダイやリテラやアカハタにどんだけ遅れをとったら気が済むんですか?
それともまた自民党から止められてるんですか?
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

#投票はあなたの声 #選挙に行こう #わたしも投票します

2021年10月19日 | 日本とわたし
こういうプロジェクトが、スポーツ選手の巻、音楽関係者の巻、医療や農業や工業や教育の従事者の巻、サービス業従事者の巻、お母さんお父さんの巻、おじいさんおばあさんの巻、高校生の巻、大学生の巻、俳優の巻その2、その3とかって感じでどんどんどんどん増えて、ガンガン盛り上がっていくといいなあ。

VOICE PROJECT 
投票はあなたの声 
秋元才加・安藤玉恵・石橋静河・小栗旬・コムアイ・菅田将暉・Taka・滝藤賢一・仲野太賀・二階堂ふみ・橋本環奈・前野朋哉・ローラ・渡辺謙


これ、ひどかったですよね。

自民党政治って、本当に国民に配るっていうことを渋ってきました。
国民からは吸い上げられるだけ吸い上げて、それを仲間内の大企業や団体と一緒になって転がして、互いに肥太ってきたわけです。
社会保障の充実などという聞こえのいい嘘で誤魔化して消費税率を粛々と上げ続け、結局は法人税の減収補填に回しているのに、今だに堂々と嘘をつくのですからどうしようもありません。

仮に成長しても、分配は労働者以外に流れていくのですから本当にひどい。



1000円の買い物をしたら100円の罰金を払わなければならない。10000円の買い物をしたら1000円の罰金を払わなければならない。
10%ってすごい打撃ですよ。
それを生きるために不可欠な食料品や衣料品にも一律にかけているんですから残酷です。
消費税が高くても、そういう物は消費税無しで買えるようにするというのが常識だし、今は特にコロナ禍の大変な時なのだから、消費税率を下げるのは当然です。

日本は世界の主要国の中で賃金がマイナス成長の国です。

実質賃金の推移を見ると、安倍内閣から以降、民主党政権時以外は下降の一途をたどり、底の方でフラフラ停滞しています。


なにが悪夢の民主党時代なんだと。
民主党が悪夢なら、自民党時代は地獄、それも現世での地獄です。

報道の自由度もだだ下がり。


そして一番ひどいのはこの約2年に渡るコロナ禍対応です。
自助を強制する、金を出し渋る、対応と称して税金を流用し、仲間内と共謀して私腹を肥やすという醜さ。
バレたら証拠を隠滅し、国会を開かないまま時間が過ぎるのを待ち、GoToだのオリンピックだの、自分たちに利があることは頑として強行する。
その結果がこれです。


自民党に期待するのはもうやめましょう。



この方の「マニュフェストざっくり版」、それぞれにとても忙しいだろうとは思いますが、ぜひ目を通してみてください。

これは、医療・コロナ対策における各党の公約評価です。

投票はあなたの声です。
あなたがどうでもいいのなら、困っている人たちのために投票所に行ってください。
あなたが幸せなら、不幸せな人たちのために投票所に足を運んでください。
あなたが困っていて不幸せなら、絶対に今回の投票を棄権しないでください。
今回こそ瀬戸際の選挙です。
投票率を50%から70%に上げられたら政治はガラリと変わります。
世間を知らない、苦労を知らない、知らなくても学ぼうという人ならまだしも、知ろうともしない世襲議員(もちろんそうではない人も少しはいるでしょうが)に政治をさせると、本当にろくな事がありません。
自民・公明・公明と同じく補完勢力の維新・常にグラグラしてる国民民主、この4党の力を削ぐ。
投票はあなたの声です。
棄権するのはもったいないです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

わびさびや お寿司につけるの どっちやねん

2021年10月16日 | ひとりごと
すごく久しぶりに、友人のSちゃんと、近所の日本食レストラン『WABI SABI』でランチを食べた。
わたしたちがランチに行くと必ずちらし寿司を頼んでいたのだけど、渡されたメニューの隅々まで探しても見つからない。
ここのちらし寿司はランチ限定で、しかもたったの12ドルとあって、わたしたちの間では定番のメニューだった。
「見つからないね」
「うん」
「無くなったのかな」
「いろいろ大変だったもんね」
「確かにあれは出血大サービスバージョンだったもんなあ」
などとブツブツ言いながら二人でメニューと睨めっこしていたら、そこに給仕長のアリスちゃんがやってきて、
「ちらし寿司食べたいでしょ?」と、にっこり笑って言うではないか。
「え?でもメニューに載ってないよ」
「うん、いろいろあってもうメニューから削除したんだけど…でも作れると思うよ」
「いやあ、そんなこと頼めないよ、迷惑だし、他のお客さんの手前もあるし」
「だいじょうぶだいじょうぶ、いいからいいから」
と手をひらひら振りながらアリスちゃんは去って行く。
テーブルに残った我々は焦ってメニューにまた戻り、それじゃあせめていつもなら頼まない前菜を頼もうかということになった。
すると彼女がまた戻ってきて、「ちらし寿司には味噌汁かサラダが付いてるけど、どっちがいい?」と聞く。
わたしはサラダ、Sちゃんは味噌汁を頼んだ。
そうなると前菜が頼み辛くなったので、わたしだけが揚げ出し豆腐を、Sちゃんはデザートを注文して、感謝の印にすることにした。
そして運ばれてきた揚げ出し豆腐を見てびっくり!
丸々一丁分を切り分けて揚げられた豆腐が、アリスちゃんのお手製の器で、フルフルと揺れているではないか。
いやもう絶対に一人では食べきれないので、二人でいただくことにした。
中身はトロトロ、衣はカリカリ、熱々の揚げ出し豆腐を、おろし大根と天つゆでハフハフ言いながらいただいていると、幻のちらし寿司がやってきた。

いやもう、ご飯どこ?
格子模様のサーモンはさっと炙ってあるし、前は入ってなかったウニやほんのり温かい厚焼き卵がもう嬉しくて、食べる前から泣けてきそう。
揚げ出し豆腐でお腹がかなり膨れていたにもかかわらず、ネタをペロリとたいらげて大満足。
「こりゃデザートは無理だね」
「じゃあチップで払おうか」
と話していると、「これ、わたしからの気持ち」と言って、めちゃんこ美味しそうなプリンがテーブルの上に。

「なんかもう申し訳なさ過ぎる」とわたしたち。
「全然気にしないで、この器もプリンもわたしのお手製だよ」とアリス。
ミントの金箔を舌の上に乗せながら、「お腹いっぱいだけど美味しいね〜、やめられないね〜」と言いながらまたまた完食。

このお店は、今回のコロナ禍のパンデミックにも負けず、生き残ってくれたレストランの中の一つなのだけど、娘ちゃんがアルバイトをしていたこともあってお店の内部事情に超詳しいSちゃんが、どんなふうに大変だったかを教えてくれた。
それまで全然知らなかったのだけど、先日のハリケーンの洪水で、ここの地下室も全滅したらしい。
地下室には、そんじゃそこらの店には置いていない、ものすごく高価で特別仕様の鮮魚用の冷凍冷蔵庫があって、もちろんその中には食材がぎっしり詰まっていた。
それらが全て入れ物ごとダメになったのだそうだ。
水害地域指定では無いから保険がおりない、経営者カップルは市民権を持っていないので州からの支援も受けられない。
この経営者がなんと、アリスと板前長さんだというのを知ってうわぁ〜となったのだけど、この二人、パンデミックの最中に、元の経営者がいきなり辞めると言い出したので、慌てて店を買って跡を継いだのだそうだ。
だからその借金もある。
「まあ又一から必死で働くよ」と笑っている二人を見て、Sちゃんはたまらず「寄付を募ればいいんじゃない?」と提案したらしい。
わたしだってその場に居たら同じことを言ってただろう。
するとまた、「お客さんにはここに来てお金を払ってもらってる。それなのにまたお金をくださいと言うのは気が引ける。だから一所懸命に料理を作って、食べてもらって、喜んでもらって、また来ようと思ってもらえたらそれでいい」と言って断ったのだそうな。
これを読んでるみなさんの中にもし、ニュージャージー州在住の方がおられましたら、このお店をどうぞ贔屓にしてやってください。
本当に気持ちの良い、腕も良い、素晴らしい人たちですし、もちろん料理もとても美味しいものばかりです。


さて、話は変わるが、この1ヶ月、夫は両親の世話をしにペンシルバニアの実家に通っている。
といっても週末だけなのだけど、片道3時間の運転を一人でするのは楽ではない。
先月の下旬に足の付け根の手術を受けた義母は、大きな手術だったにもかかわらず、術後1日半で退院した。
義父は目に問題があって、新聞や本はもちろん、細かな物を読むことができない。
なので日常の些細なことの多くを義母に手伝ってもらっているのだが、術後の痛みと戦っている間は第三者の手を借りなければならない。
ということで、その手伝いのほとんどは、実家から1時間ほどの所に住む夫の姉(といってもわたしより6歳下なんだけど)がやってくれていた。

わたしの父は、わたしたちがこちらに移住する直前に亡くなっている。
来月87歳になる母は、去年の初めに脊椎の大きな手術を受けた後、体調を崩し、歩くことが困難になって気持ちが塞いでいたのだけど、それまでの不沙汰を反省し、数日おきに電話で話すようになってから、文句は今も多いけどずいぶんと明るくなってきた。
コロナ禍にも負けず、徹底した自己管理で乗り越えてくれた。
遠く離れているだけに、母のこの健康維持がどんなにありがたいことか、本当に感謝している。

この卵は義母からのお土産。
彼女の家のご近所さんが養鶏をしていて、とてもきれいな色の卵を産む。
黄身はもうほぼオレンジ色なのだそうだ。
殻を水でよく洗い、乾かしてから冷蔵庫に入れるようにと言われた。



この虫は、今年になって大暴れしている害虫なのだそうだ。
見つけたらすぐにその場で殺してください、って言われてるけど、この虫のお腹の模様の美しいことったら。
前に見つけた時は、窓ガラスに止まっているのを部屋の中からだったので、その模様に見とれてしまった。



わたしはまた指揮のレッスンに通い始めた。
12月の中旬に、大きな舞台を借りられる『Synphony Space』で、オーケストラのコンサートをするのだが、その日、ヴェルディの「運命の力・序曲」の指揮をする。

この曲は、遠い昔、高校3年生だったわたしが吹奏楽部の一メンバーとしてコンクールに出た時に、クラリネットで演奏した曲で、いつか指揮をしてみたいと思っていた。
その夢が64歳になって叶うとは…人生ってほんとにエキサイティングだ。
指揮の練習をしていると、当時のめちゃくちゃ厳しかった練習のこと、吹き過ぎて唇が切れお味噌汁をストローで飲んでたこと、パート練習をする各教室からの音や渡り廊下の匂いまでもが思い出されてくるから不思議だ。

合わせ練習の第一日目は今月最後の日曜日。
今回から第一指揮者としてACMAに迎えられたのはChristpher North氏で、彼はプロの指揮者であり、クラシックはもちろん、たくさんの映画音楽やダンスや歌の作曲を手がけ、ブロードウェイではベースを演奏したりするマルチタレント。
指揮や作曲で多様な音楽に才能を発揮し、いろんな賞をもらっている。

そんな彼との最初の打ち合わせの時に、「合わせ練習の期間が短い上に難しい曲が多い。練習時に焦って厳し過ぎる態度を取ったらどうしよう…」とポロリとこぼしたら、
「僕はまず、1日目は曲の全体を演奏してもらって、その時にあちこちでボロボロと綻びたり不協和音が聞こえてきたりしても聞き流すことにしている。
2回目に、少しだけ部分的に注文を入れて、そのことで自分から気をつけて演奏を整えていくだろうと期待する。
それでもうまくいかない、直らないということになったら、個人的に、誰もいない場所で、僕の意見を聞いてもらう」
「僕はとにかく、また練習に行きたいなって思って欲しいんだ」と話してくれた。

いい言葉だなって思った。
「また練習に行きたいな」は、「またレッスンに行きたいな」とも言い換えることができる。
わたしはこれまで、生徒に対して、こんなふうな気持ちになってもらいたいなって思ったことがあっただろうか。
なんだかすごく勉強になった気がしている。


初めての炊飯器バナナケーキ。
少し焦げたけど、卵の白身をしっかり泡立てて生地に混ぜたので、プルンプルンで美味しかった。

最後は寝ぼけ顔の海ちゃん。

おまけに、歩美ちゃんが採ってきてくれた畑の野菜。多分これでおしまい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

恥ずかしくないのですか岸田首相?

2021年10月06日 | 日本とわたし

最近の日本の研究は、以前に比べて好奇心を持って研究することが少なくなっているように思います。
日本では、科学者が政策を決める人に助言する方法、つまり、両者の間のチャンネルが互いに通じ合っていないと思います。
米国はもっとうまくいっていると思う。
米国での暮らしは素晴らしいと感じます。
おそらく、私のような研究者は好きなことがなんでもできる。
使いたいコンピューター、欲しいものはすべて得られました。
私は調和の中で暮らすことはできないものですから、それが私が日本に帰らない理由です。

******* ******* ******* ******* *******

優れた研究者や学者が日本を離れています。
好きな事を好きなだけできない。欲しいものが得られない。
そりゃそうでしょう。
今だけ金だけ自分だけの、学術を重んじないどころか軽視する輩が国の中央に陣取っているんですから。
それに、海外に出てそこの市民権を取ったら最後、日本国籍を放棄しなければならないのですから、もういいやって気持ちにもなるでしょう。

なのに、安倍さんとか菅さんとか、ノーベル賞とか世界大会とかで元日本人(国籍を剥奪されちゃうからこんな言い方をしなければならない)が活躍すると、いきなりしゃしゃり出てきてさすが日本人!みたいなこと言ってたじゃないですか。
それを聞くたびにムカムカしてたんですけど、今回のこの岸田さんのツイート読んで、たまらなくなって言わせてもらいました。
こんな時だけヘラヘラいいとこ取りして…。
ほんと、普通だったら恥ずかしくてみっともなくて浅ましくてできないんですけどね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

寿司と友だちとライブ音楽と

2021年10月05日 | 友達とわたし
寿司三昧❣️
お友だちのおかげです。

のんちゃんの友人さんが本マグロを釣り、その釣りたてホヤホヤのマグロの切り身がドカンと送られてきたそうな。
そこでプロのシェフさんにお願いして、マグロパーティなるものを開くことになり、お相伴に預かることになりました。

まずはHideyoシェフによるマグロこれでもか〜寿司。


生まれて初めてのマグロの鎧(ヨロイ)身。

お寿司を食べるのは年に何回か数えられる程度なんだけど、好きなネタはハマチとアナゴとタイ。
マグロはどちらかというと苦手な方で、いつも他の人に食べてもらうか、頼まないようにしていました。
だけどこの日、めちゃくちゃ新鮮な本マグロの鎧身というものを口に入れた途端…えへらえへらと意味不明の笑いが込み上げてきて、のんちゃんちの庭から採れた紫蘇に巻いてはパクリ、またパクリと、贅沢の限りをさせてもらいました。

手巻きのネタとビーツとポテトのサラダ

炙りマグロ。

自家製缶詰マグロの作業開始!


メイソンジャーのフタが新しいかどうかが大事だそうです。

圧力鍋で何分だったっけか?もう忘れちゃっいました。

出来上がり

このまま常温で何ヶ月もオッケー。果物やトマトソースなど、いろんなものでできるってことを聞いてびっくりしてたら、今まで知らなかったの?と反対にびっくりされちゃいました。

Hideyoさん手作りのデザートがまたすごくて、写真に撮り忘れてしまったのだけど、グルテンフリー&ビーガンの、これまた名前も材料もすっかり忘却の彼方…でも口に入れた時の至福感は今もくっきり残っています。
彼女のいろんなビデオはここで観られます。


そして次の土曜日は、ACMAがついに、バーチャルではない演奏会を開くことができた記念日でした。
ほぼ2年ぶりに顔を合わせた仲間たちと、新しい会の旗。


やっぱり生の音はいいなあとしみじみ思いました。

そして急いで家に戻り、歩美ちゃんと息子くんカップルをお迎えしたのですが、二人が持参してきてくれた手巻き寿司セットがすごかったのでした。
歩美ちゃんが、自分がどうしても食べたかったから、えいっと決心して買ってきたというマンハッタンの高級お魚屋さんのウニ。
その値段を聞いて目玉が飛び出しそうになりましたが、胸はワクワクドキドキ。


味はどうだったかって?
いやもう、言葉にならない美味しさでした。
こんなの食べちゃったら後々困ります。
わたしなりにえいっと決心して買って食べた(まあ1年か2年に一回ですけど…)ウニもそれなりに美味しいと思ってたのが吹っ飛んじゃいました。

お寿司で盛り上がり過ぎちゃって、ジャズフェスを聞きに行くのが遅くなり、到着して15分ほどで終わってしまいました。
このジャズフェスも去年は中止だったので、町の人たちの盛り上がりのすごかったこと。


ちょっとびっくりしたのは、マスクをつけていない人が多かったことと、かなり密接していたことです。

わたしたちの住む地域ではマスク着用率がとても高く、マスクをつけていない人がいるとギョッとするほどなのに、なぜかこの夜は無礼講だったのか、それともコロナ禍以前の日常が戻ってきたと思いたかったのか、理由はわかりません。

というわけで、お友だちのおかげで、心身ともに小確幸ならぬ大確幸な週末を過ごさせてもらいました。
感謝!!
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする