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近所の猫
5月某日
ダウンタウンからジャバルアンマンまで、いつものようにセルビスに乗って運転手に30キルシュ払うと、あと5キルシュ払えと要求される。
「このルートの運賃は30キルシュじゃないの?いつも30キルシュしか払ってないけど」と反論すると、「俺は35取るんだ!」と運転手が言い放つ。
他の乗客たちも35キルシュ払ったようで、腑に落ちない顔をしている。
まあわずかなお金だから別にいいかと思い、追加で5キルシュ払う。
車内を見渡すと、運転席と助手席の後ろに、飛行機で見かけるような小さいスクリーンがくっついている。
天井にはガラス窓が嵌っていて、開閉できるようになっている。
ほかのセルビスとは明らかにランクの違う豪華車である。
料金が高い理由がちょっとわかった気がするが、それでもやっぱり腑に落ちない。
5月某日
アパートの前のスペースに、大家さん一家と座っておしゃべりする。
大家さんの孫息子のハイサム君が、犬が飼いたいと大人たちにおねだりしている。
アラブ世界では犬の地位が低く、ペットとして飼っている人は稀だったのだが、欧米の影響で最近流行ってきたらしい。
犬より猫の方が可愛いから、猫を飼えばいいのにと私が主張すると、ハイサム君は「犬の方が強い。泥棒よけにもなる」と言い返す。
他の大人たちも、「犬は30JDくらいする。そんなお金がどこにあるんだ?」とか、「毎日散歩に連れて行かなきゃいけないんだぞ、出来るのか?」とか、「犬は鳴き声がうるさいわよ」などと口々に言って諦めさせようとするが、ハイサム君が意見を変える様子はない。
どうしよう、このアパートに犬がやって来たら。
猫がこわがっちゃう・・・。
5月某日
ちょっと奮発して、スーパーで桃の香りのティッシュを買う。
寝室に置くと、桃香料のいい匂いが部屋中に広がる。
こういう小さな幸せって日々の暮らしに必要よね、などと考えながら、オレンジ色の桃ティッシュで鼻をかむ。
5月某日
ちょっと奮発して、市場で生魚を買う。
冷凍でない魚をヨルダンで買うのは初めてだ。
家に帰ってから台所に仁王立ちし、どうやって調理しようか思い悩む。
買った魚は大きくて平べったく、ウロコも内臓もエラもヒレも付いている。
今までの人生で魚のウロコをとったり、捌いたりした経験がないので、どうすればいいのか見当もつかない。
結局、鍋で丸ごと茹でてみることにした。
魚を初めて料理する欧米人のような発想だが、他に思いつかなかったのだ。
茹で上がった魚を菜箸でお湯から持ち上げようとすると、皮がずるずる剥がれ、全体にぐちゃぐちゃになった。
どうしよう、これ・・・。
猫は魚の匂いに鋭く反応して、私の足に身体をこすりつけ、期待を込めてこちらを見上げながら、みゃあみゃあとしきりに催促している。
ビールはなかなか飲めない贅沢品・・・
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5月某日
ダウンタウンからジャバルアンマンまで、いつものようにセルビスに乗って運転手に30キルシュ払うと、あと5キルシュ払えと要求される。
「このルートの運賃は30キルシュじゃないの?いつも30キルシュしか払ってないけど」と反論すると、「俺は35取るんだ!」と運転手が言い放つ。
他の乗客たちも35キルシュ払ったようで、腑に落ちない顔をしている。
まあわずかなお金だから別にいいかと思い、追加で5キルシュ払う。
車内を見渡すと、運転席と助手席の後ろに、飛行機で見かけるような小さいスクリーンがくっついている。
天井にはガラス窓が嵌っていて、開閉できるようになっている。
ほかのセルビスとは明らかにランクの違う豪華車である。
料金が高い理由がちょっとわかった気がするが、それでもやっぱり腑に落ちない。
5月某日
アパートの前のスペースに、大家さん一家と座っておしゃべりする。
大家さんの孫息子のハイサム君が、犬が飼いたいと大人たちにおねだりしている。
アラブ世界では犬の地位が低く、ペットとして飼っている人は稀だったのだが、欧米の影響で最近流行ってきたらしい。
犬より猫の方が可愛いから、猫を飼えばいいのにと私が主張すると、ハイサム君は「犬の方が強い。泥棒よけにもなる」と言い返す。
他の大人たちも、「犬は30JDくらいする。そんなお金がどこにあるんだ?」とか、「毎日散歩に連れて行かなきゃいけないんだぞ、出来るのか?」とか、「犬は鳴き声がうるさいわよ」などと口々に言って諦めさせようとするが、ハイサム君が意見を変える様子はない。
どうしよう、このアパートに犬がやって来たら。
猫がこわがっちゃう・・・。
5月某日
ちょっと奮発して、スーパーで桃の香りのティッシュを買う。
寝室に置くと、桃香料のいい匂いが部屋中に広がる。
こういう小さな幸せって日々の暮らしに必要よね、などと考えながら、オレンジ色の桃ティッシュで鼻をかむ。
5月某日
ちょっと奮発して、市場で生魚を買う。
冷凍でない魚をヨルダンで買うのは初めてだ。
家に帰ってから台所に仁王立ちし、どうやって調理しようか思い悩む。
買った魚は大きくて平べったく、ウロコも内臓もエラもヒレも付いている。
今までの人生で魚のウロコをとったり、捌いたりした経験がないので、どうすればいいのか見当もつかない。
結局、鍋で丸ごと茹でてみることにした。
魚を初めて料理する欧米人のような発想だが、他に思いつかなかったのだ。
茹で上がった魚を菜箸でお湯から持ち上げようとすると、皮がずるずる剥がれ、全体にぐちゃぐちゃになった。
どうしよう、これ・・・。
猫は魚の匂いに鋭く反応して、私の足に身体をこすりつけ、期待を込めてこちらを見上げながら、みゃあみゃあとしきりに催促している。
ビールはなかなか飲めない贅沢品・・・
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