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昨日の夜12時頃、母猫ふぁーちゃんがまたお引越ししました。
ただし、今回よそへ運んでいったのは子猫5匹のうち2匹だけなので、まだ未完了の状態だ。
彼女が今後どのような行動をとるのかは、まだわからない。
窓の外を眺めながら何か考え込んでいたふぁーちゃん、渦巻き模様がステキ
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ふぁーちゃんは子育て中、子猫のために食べ物を運ぶ習性があると前回書いたが、
彼女にはそれとは別に、頻繁に引越しをする習性もあるのだ。
これは猫の本能らしいが、ふぁーちゃんはどうもやりすぎの感がある。
今回の出産では、これが6回目のお引越しだ。
彼女はここ2、3日やけに神経質になっていて、ひっきりなしに「ウワア、ウワ~!」と裏声で叫んでいた。
子猫が活発にそこいら中を駆け回ったり、
疲れてこてんと床で寝ちゃったりしているのをみて、
なんだか心配しているらしい。
前回の出産の時もよく悲鳴を上げていたが、
どうも、その頻度がだんだん上がっている気がする。
近所迷惑なくらいヤカマシイのだが、幸いここは大らかなヨルダン。
こういうことで苦情を言ってくるひとはいない。
せいぜい大家さんの孫たちが、うちの前を通るとき「ウワ~」とマネをする程度だ。
ふぁーちゃんは子育てのストレスで、ちょっと気がおかしくなっているのかも、と思う。
この辺で一番頭が良くて、一番頭のおかしい猫、それがふぁーちゃん。
本名は「ファーティハ(アラビア語で”開く者”という意味。彼女は窓を開く能力を持つので)」だが、
「マジュヌーナ(アラビア語で”狂った女”という意味)」に改名したほうがいいかも。
だけど、狂っていても君が好きだよ…
正気を失っていく智恵子を前にした高村光太郎のような心境で、私はそうつぶやくのだ。
撮るのが下手でぼやけてますけど(いつものことだが)、子猫を咥えたふぁーちゃんでございます
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流し台で取り落とした子猫を咥え直し、網戸の破れ目をくぐって外へ
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自分の運命も知らずに眠りこける子猫
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なんとなく状況を察知している感じのくろちゃん
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1匹目を運んでから、2匹目を連れに来るまで、かなり時間がかかった。
そして、2匹目を運んでいってから、ふぁーちゃんはなぜか朝まで戻ってこなかった。
これまでの引越しでは、子猫全員を連れて行ったものだが、今回はどうしたことか。
残された3匹はどうするんだ。
不思議に思いつつ、私は朝方ベッドに入った(夜型なので)。
そして今日のお昼前、ご飯をねだるふぁーちゃんの声で目が覚めた。
食事をしに戻ってきたらしい。
残りの3匹ちゃんはもう連れ去られているかも、と思ったが、
予想に反して、やつらは元気に床を飛び跳ねていた。
残ったのは、くろちゃんとみそこちゃんともう1匹(名無しちゃん)。
なんだかよくわからないが、まあここは母猫にすべてを任せて傍観することにしましょう。
それにしても、子育てする猫と一緒に暮らしていると、
毎日がドラマチックだ…。
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床で眠る子猫の後方にあるのはアラクの瓶。猫見酒です。
アラクはアニス風味の無色透明な蒸留酒で、水を加えると白濁する。
これはヨルダン製の「カラア(アラビア語で”お城”という意味)」という名の商品、アルコール度は52%。
飲み過ぎると胃が痛くなる、危険な酒なのだ。