生まれて初めて骨折してしまった。
骨折したのは左足の甲。通称「下駄ばき骨折」と言うらしい。
その日は来客があって、二時間くらい正座をしていた。
普段そんなに長い時間、正座をしていることがないので足がしびれていたようだ。
しびれていたようだ・・・というのは、自分では我慢できないくらいのしびれでは無かったので、途中で体勢を変えるなどせずに座り続けていたのがまずかった。
お客様が帰ることになり立ち上がった瞬間、よろよろとよろけてしまい、足を床に着いたと思ったら、なんと足の裏ではなく足の甲だった。
ぽきっと音がして、嫌な予感がした。
お客様が帰ったあと、痛みは治まるどころか、足を床につけることもできないくらい痛みだしてしまった。
単なる捻挫だったとしても痛みが尋常ではなかったので、これはすぐに病院へ行った方がいいだろうと思った。
と言っても痛みのある足を引きずって病院まで運転して行く自信がなく、申し訳なかったが仕事中の夫に電話をした所、すぐに帰って来て病院へ連れて行ってくれた。
そして、整形外科でレントゲンを撮ったところ、一か所にひびが入っていることが分かった。
さらにレントゲンに映っていない所も、もう一か所骨折している可能性があるとのことだったが「一か所だろうが二か所だろうが、治療法は変わりませんから」と言われて湿布薬を患部に貼って脛の高さまであるギブスで固定された。
ひびは入っているものの幸い骨にずれはなく、これがもしもずれていた場合、入院→手術のコースだったらしい。
ギブスをしている間に看護師さんが松葉杖を持って来てくれた。
お医者様に「今まで松葉杖を使った経験は?」と聞かれて「ないです」と返事をしたら、松葉杖の使い方を習う為にリハビリ室へ行くことになった。
リハビリ室は五十肩の治療で幾度となく通った場所だったが、五十肩がすっかり良くなった今、ふたたび戻って来ることになろうとは予想もしていなかった。。。
作業療法士さんから松葉杖での歩き方、階段の上り下りを教えてもらい、さらに骨折をした方の足にかける荷重が体重の三分の一になるように、体重計に片足をかけながら感覚をおぼえた。
「いいですか?骨折したんですよ。氷でしばらく冷やして、これからできるだけ足に負担をかけないように生活して下さい。もちろん家の中でも松葉杖は使ってください。お風呂はシャワーだけ。ギブスの足にビニール袋をかけて入ってください。くれぐれも痛みが無くなったからと言って無理をしないように!完治してもまだ痛みが続くという人は、大抵痛みが無くなったからと言って無理をした人ですから」
ちょっとコワモテのお医者様に、そのように言われてしょんぼり。
ちょっとした不注意で、こんなに大ごとになってしまうとは・・・
あの時、もっと気をつけて立ち上がっていれば・・・
用意してあった車椅子に乗ってロビーに出て行った時の夫の驚いた顔。私と同じく骨折したことが無い夫も、こんなに大ごとになるとは思っていなかったようだ。
というわけで、現在療養中のために外出もできず、買ったばかりの自転車でサイクリングなんて夢のまた夢。大好きな温泉もしばらく行くことができなくなった。
それにしても、片足が使えない、両腕に松葉杖を持って移動というのは本当に不便だ。今更ながら両足で何不自由なく歩いて、家事ができていたことが、なんてありがたいことだったと思い知らされる。
そう、私は家事がやりたくて仕方がない。と言うか、気になる・・・特に掃除が好きなので、掃除ができないことがつらい。
掃除機がかけられないので、松葉杖を小脇に抱えて、落ちている糸くずや髪の毛を拾っていたら、夫に叱られた。
そこで夫や娘たちに甘えて掃除洗濯、ゴミ出しは家族に任せることにした。部屋が少しくらい汚れていても目をつぶろう。今は療養優先だ。
洗濯物の干し方が気になっても目をつぶろう。今は療養優先。
「料理もしなくていいから。今晩は何がいい?牛丼買ってくる?それとも、みよしの?」と夫に聞かれ、娘たちの意見で牛丼になった。(みよしのは本州にもあるのだろうか?ちなみに、みよしのとはチェーン店で、札幌市民にはおなじみの餃子とカレーのお店である。カレーライスに餃子がトッピングされている。もちろんライスと餃子もしくはカレーいうメニューもある)
牛丼でも餃子カレーでもいい。野菜が足りなくても目をつぶろう。今は療養優先。
・・・とは言っても、テイクアウトばかりでは飽きるので、台所に椅子を持ち込んで、疲れたら座るということをしながら料理は作っている。
というわけで、骨折したことで色んな方にご迷惑をかけてしまったり、家族に甘えて家事をやってもらったりして申し訳なく思っているが、しばらくは安静にして早く治したい。