ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

重なり合う世界

2020-02-07 15:03:25 | 日記

お姑さんが亡くなって、もうすぐ一ケ月。

その間、家の中でお姑さんの気配を感じることが幾度となくあった。(今もだが)

手続きに必要なお姑さんの戸籍を取り寄せた時のことだった。

夫「これは、ばあちゃんが生れた時からの戸籍だ。ここに書いてある村は、今はもう存在していないよな。たしか合併したんだ」

今はもう無い村の住所が書かれたお姑さんの戸籍には、私が会ったことも無いお姑さんの両親の名前も書かれていた。

夫と戸籍を見ながら話していたら、突然お姑さんの匂いが漂ってきた。

タンスの中のショウノウと少々のカビの匂い。

これは、お姑さんの衣服など、お姑さんのほとんどの持ち物からしていた香りだ。

二階にある私たちの部屋では、絶対にしない匂い。

思わず、夫が手に持っていた書類を取って鼻に近づけた。当然だが、書類からは紙の匂いだけでお姑さんの匂いはしなかった。

近くにお姑さんの持ち物がないか確認してみたが、それらしきものは見当らない。

でも、確かに周囲には匂いがしている。

びっくりしている夫に「今、おばあちゃんの匂いがしていない?」と聞くと、鼻をくんくんさせて「いや、べつに」と夫が言った。

かすかに香っているなんてもんじゃなくて、こんなにはっきりとした匂いなのに・・・

「自分は近視で目が悪い分、鼻はいい。どんなかすかな匂いでもわかる」なんていつも自慢している夫が、なぜわからないのか不思議になるくらいはっきりとした匂いがしばらく漂っていた。

もしかしたら、お姑さんは自分の生まれた頃からの戸籍が見たくて近くにいるのかもしれない。そう思ったら、戸籍書類をのぞき込んでいるお姑さんの姿が目に浮かんだ。

これが、お姑さんを家の中で感じた最初だった。

その後もお姑さんの遺骨が置かれた祭壇に手を合わせていたら、風もないのに祭壇横に置かれた紙袋がカサカサと音を立て、ふと目をやると肉眼では誰もいない祭壇横に、お姑さんがこちらを向いて正座している姿が見えた。

この時はお姑さんに(心の中で)語りかけていたのだが、ちゃんと聞いてくれているのだなと思った。

そしてまた別の日には、生前お姑さんがよくそうしていたように、玄関ホールに立って窓の外を見ているお姑さんの姿があった。

この時は、肉眼でも薄暗い玄関ホールに白い人影が見えたが、私が階段を下りていくと、白い人影はお姑さんの部屋だった和室にすっと入って行った。

このようなことがしばしばあることから、よく言われるようにやはり亡くなった方は四十九日までは自宅にいるのだという想いを深くしている。

しかし自宅にいるのだとしたら、お姑さんは家で何をしているのだろうか。

こうして家の中でお姑さんの存在をありありと感じる時もあれば、どこかへお出かけしてるんじゃないかと思うほど、まったくその存在を感じない時もある。きっと自宅にいるだけではなく、いろいろな所に出かけているのだろう・・・

いつもいつも存在を感じるのは、正直きついと思う。いつも感じていたら頭がおかしくなりそうなので、時々出かけてくれるくらいが丁度いい。(あら生きていた頃と同じだ~)

ところで四十九日までの間、亡くなった方は、これまでの人生を振り返っていると聞く。生前自分のした良いことも悪いことも余すことなく全て見せられているのだそうだ。

これは、怖いことだ。忘れていたようなことまではっきりと見せられて、果たして正気でいられるだろうか。

私ならば恥ずかしさやら後悔やらで、顔を覆いたくなるようなありとあらゆる感情に襲われるかもしれない。

それを思うと、やはり良心に沿った生活をしようと心から思う。

そして、こうして人生を振り返っている以外にも、生前いつも玄関に立って外を眺めていたように、生きていた頃と同じ生活を亡くなっても四十九日まではしているようだ。

果たして、その時間関係はどうなっているのだろうと思う。

過去に行ったり、現在に戻ったりしているのだろうか。

いや、そもそも亡くなったらこの世の時間は関係ないのだろう。

そしてお姑さんのいる世界とこの世は、一部は重なり合う非常に近い所にあるのだと思う。

だから重なり合った時に見たり感じたりするのかな。

ところでお姑さんの祭壇に手を合わせる時、いつも言う言葉がある。

それは「四十九日まで、うちでゆっくりして下さいね」ということ。

高齢者住宅に入居してからずっと家に帰っていなかったから、家でゆっくりしてほしいと思う。

お姑さんの四十九日は今月下旬。

そろそろ祭壇にお供えするお花を注文しようと思う。

 

 

 


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