前回、余市へ行ったことを書いたが、その日はさらに積丹町まで足を伸ばして日帰り温泉に入って来た。
「岬の湯しゃこたん」
ここは露天風呂からのロケーションがとてもいい。
お湯に浸かりながら眼下に広がる雄大な日本海と、積丹岬、神威岬を見ることができる。
ここに来たのは3度目で、まだ一度も見たことは無いが、たぶん夕日が沈む時に入ったら最高の眺めじゃないかと思う。
ところが、残念なことに2022年1月で閉鎖することが決まっている。
2002年の開業当初から経営赤字が続き、施設の老朽化と入館者の減少で収支の改善が見込めず、町による施設の維持が困難となり、2019年(令和元年)3月から民間譲渡を図っていた。
ところが施設の買い手が見つからず、老朽化した施設の改修には約1億円以上の経費が必要となることから、施設の運営を断念し閉鎖する方針を固めた、、、とのこと。
20年近く経っているとは言え、まだまだきれいだし、何より良い温泉施設がまた一つ消えると思うとさみしい。
とは言え、開業当初から赤字だったとは知らなかった。
写真で少し伝わるかもしれないが、行った日も広い駐車場に停まっている車は数台のみだった。
入館者が増えなかったのは、(シロウトの考えですが)人口が多い札幌から離れているのが原因のひとつではないだろうかと思う。
この温泉がロケーションも含めて札幌近郊にあれば、けっこう人は入っていたのではないかと思う。
積丹は札幌から高速道路を使わずに車で行くと、片道2時間半くらいかかる。
往復で5時間もかかるとなると、そうそう頻繁には行けない。ましてや冬に行くのは難しい。
周囲に小さな集落はあるが、そこだけでは黒字になるほどの集客は見込めないだろうし、、、
良い温泉が、無くなるのはとても残念だけど、来年1月の閉館まで時間があるので、また行こうと思っている。
ところで、ここへ来るまでの道すがら、外の景色を見ていたら、ずいぶん空き家が多いことに気づいた。
跡を継ぐ人が居なくて離農したのか、雑草が生い茂って荒れ果てた牛舎や畑が、やはり朽ち果てた家と共に残っていた。
かつては、ここに汗を流して働く人たちがいて、多くの生活があったのだと思ったら、なんだか切なくなった。
そして今、人が居なくなって手入れがされないままの家や畑を、たくましく成長する雑草が飲み込もうとしているのを見ると、また開拓前の原始林だった頃に戻って行くのだなと思った。
果たしてそれが良いことなのか、良くないことなのか、、、
人間側から見れば、人が居なくなることはさびしいことだけど、自然にとっては良いことなのかもしれない。
というわけで、「岬の湯しゃこたん」に入浴できるのもあとわずかです。
ぜひ露天風呂からの絶景を眺めにいらして下さい。