八雲へは内浦湾沿いに行ったのだが、帰りは日本海沿いを走ってきた。
いつも道南へ行った帰り道は、遠回りになるので日本海側を通ることは無いのだけど、今回は私が途中で運転を代わるという条件で、初めて日本海沿いを帰ってきた。
「お母さんの運転、怖いー!」という家族の声は無視して、後続車がまったく来ないことをいいことに、安全運転で海沿いを走って来たのだが、運転に集中するあまり、せっかくの美しい景色を見逃すという痛恨のミスをおかしてしまった、、、
でも、たまに車を停めて風景を楽しんできた。
八雲の日本海側は、奇岩が多く風光明媚な所が多い。
海沿いに並んだ家の裏山にあるのは、津波が起きた時の避難用階段。
東日本大震災の時に津波被害のあった函館に近いので、ここも多少の津波がきたのかもしれない。
いくつかの場所に同じような階段を見た。
ところで、途中で寄った道の駅で楽しい出会いがあった。
着いた道の駅の駐車場に、一台のキャンピングカーが停まっていた。
それを見た夫は、「おっ、キャンピングカーだ!いいなー欲しいなー。何処から来たんだ?倉敷かあ」と、子どものように興味津々。
せっかくなので、キャンピングカーがよく見えるように、キャンピングカーの隣に車を停めて降りたら、ちょうどキャンピングカーから一人の男性が降りてきた。
初老の上品な感じの方で、目が合ったので声をかけてみた。
「こんにちは。倉敷からいらっしゃったのですか?」
すると、その方は声をかけられるのを待ってましたという感じで、足を止めてくれた。
「そうです。今、家内と二人で北海道一周の旅をしているんです。もう一週間以上になります」とおっしゃった。
そこへキャンピングカーに興味津々の夫が加わり、さらに男性の奥様もいらして、しばらくお話しをすることができた。
「いいキャンピングカーですね」という夫に、「実は定年退職しまして、ずっとやりたかったキャンピングカーの旅をしようと、新車を買ったのですが、車がくるのに一年も待ちました」と男性が教えてくれた。
今、キャンピングカーは人気だそうで、買ってから納車までずいぶん待たされるのだとか。
「いや〜楽しいですよ。キャンピングカーの旅は。昨日は、鮎の塩焼きを食べました。うまかったです。川で魚釣りをしている人が、持っていきなさいって鮎をくれたんです。そういう出会いも楽しいですね」
一年待って、やっと旅に出たご主人は、とても楽しそうだった。
「もう歳なので無理はせず、午後3時には宿泊する道の駅やキャンプ場に入って休むことにしているんです」とご主人。
「でも疲れてくると、宿に泊まっちゃうの。やっぱり車の中よりゆっくり休めるから」と、横から奥さまがおっしゃった。
無理をせず、自分たちのペースで旅を楽しんでいる素敵なご夫婦だった。
たぶん、もう二度とこのご夫婦に会うことは無いだろう。
楽しいひとときを共にできたことに、なんとなく一期一会という言葉が浮かんだ。
ところで、ご夫婦から「どちらへ行って来られたのですか?」と聞かれたので、八雲へ行ってきたことを話した。
そして、八雲が木彫りの熊の発祥の地だということを教えたら、奥さまがすかさずおっしゃった。
「一家に一つはある、木彫りの熊」
びっくりだった。これで3回目かな、同じ言葉を思い出したり聞いたりしたのは、、、
それにしても倉敷でも一家に一つはある(あった)ほど、木彫りの熊って日本中に浸透していたのかと、そっちの方が驚いた。