夫の学生時代の友人が、仕事で来たついでにうちへ寄ってくれた。
会うのは、実に四年ぶりだが、夫が定年退職したので、気軽に遊びに来てもらえるようになった。
前に来た時は、奥さんも一緒だったが、今回は体調があまり良くないそうで、友人ひとりだけだった。
夫が羨ましいのは、学生時代の友人と今でも繋がっていることで、全国にいる友人たちと60歳を越えた今でもよく連絡を取り合っている。
そして、その土地に行くと、こうして訪ねて行ったり、時には家族も一緒に会ったりする。
若い頃は、夫の友人に会うことにとても緊張したけど、今はもう慣れてしまって、私も会うことが楽しみになった。
さて、遊びに来てくれた友人だが、会っていなかった四年の間にお孫さんが生まれて「おじいちゃん」になったそうだ。
「お孫さんは可愛いでしょう?」と聞いてみた。
すると、目尻を下げたままで言った。
「よく孫はかわいいって言うしょ?あれね、、、かわいいなんてもんじゃないから。もう可愛過ぎて、かわいいって言葉では表現できないほどのかわいさだからね」
なるほど、、、孫がいないのでよくわからないが、とにかくかわいいと言うことだけは間違いないみたいだ。
ところで話しているうちに、とても懐かしい気持ちになった。
今までその友人と会っても、そんな気持ちになったことはなかったが、これは何なのだろうと考えてみたら、わかった。
亡くなった父によく似ているのだ。
少し方言の混ざった話し方と雰囲気が似ていて、顔もなんとなく似ている。
若い頃は、まったくそんなことは思ったことはなかったが、夫の友人が歳をとったせいなのか、私の覚えている晩年の父によく似ていると思った。
四年ぶりに会った友人には、亡き父に似ている、、、なんてことは、絶対に言えない。
いくらなんでも80代で亡くなった父と似ているなんて聞いたら、気を悪くするだろう。
でも私としては、父に会えたようで、とても懐かしかった。
とはいえ、友人の老け方が少し早いことが気になった。
なーんて、私も他人から見れば、そう思われているのかもしれないので、他人のことは言えないのだが、、(いつも鏡を見ては、皺を伸ばしている)
ところで、急に老けたなと思うのは、この友人だけではない。
70歳を少し越えた知人男性。
三ヶ月前に会った時は、七三に分けたヘアスタイルで白髪に黒髪が混ざったグレーヘアだった。
ところが先日会ったら、すっかり髪が抜け落ちて、残った髪の毛は真っ白になっていた。
本人も気にしているようで、以前は被っていなかった帽子を深く被っていたが、最近体調が悪いと言って、被っていた帽子を取って頭髪を見せてくれた。
「ここ二、三ヶ月の間に、こうなってしまったんだ。それにほら、眉毛まで真っ白。股関節も痛くて、前のように歩けないんだ」
髪の毛と眉毛が真っ白になって、動きが遅くなったせいか、とても歳を取ったように見えた。実年齢より10歳以上も年上に見えた。
最近、続けて友人知人の二人に会い、二人とも以前より歳をとって見えたことで、私のテンションも下がりっぱなしだった。
どこか悪いのか、それとも自然現象なのか、それとも、、、と考えると心配で仕方がない。
とはいえ、私が心配して気持ちが沈んでいても仕方がない。
前を向いて、生きて行くしかない。
なんてことを考えるような時代なのだ、今は。