散歩をしていたら、小さな犬を散歩させている方とすれ違った。
私の視線は、ちょこちょこ歩くワンコに釘付けになり、自然とニヤけてしまう。
触りたい、触りたい、、、
ワンコから視線を飼い主さんに移すと、かすかに笑顔。
これはイケる!
そう思ったら、即座に「かわいいですね」と声をかけてみる。
「幾つですか?えっまだ四ヶ月?しっかりしてますね〜ほんとに可愛いわ〜」
それで飼い主さんが、笑顔でワンコちゃんについて語り始めたらチャンス。
あらためて「撫でてもいいですか?」と伺ってみる。
大抵は「いいですよ」と言ってもらえるので、あとはひたすら撫でてワンコと戯れる。
以上、まるで誘拐を企む悪人の手口のようだが、もちろん誘拐しようなどとは微塵も思っていない。ただただワンコを触りたいだけ。
だったら飼えば、、という話だが、色々と事情があってまだ飼うまでの決断には至っていない。
コロナが流行ってからは、知らない人にワンコを触られるのは嫌だろうなと思って我慢していたが、飼い主さんのご厚意で久々にまたワンコを撫ぜることができた。
ところで別の日に車に乗っていたら、犬を散歩させている見覚えのある高齢男性の姿を見かけた。
連れているワンコもかなり高齢のようだ。
艶のなくなった毛並みからもわかる。ヨタヨタしながら、一歩ずつゆっくりと歩いている。
そして犬を連れて歩いている男性もまた高齢のためか、ゆっくりゆっくり歩く。
このゆっくりと歩くふたりの姿を見て思い出した。
初めてふたりに会ったのは、もう10年くらい前だったと思う。
ワンコは元気一杯のしば犬で、リードを持つ男性は引っ張られるようにして歩いていた。
もちろんワンコは、触らせて頂いたことが何回かある。
その後も度々見かけたが、特に印象に残っているのは、真冬の公園で学校帰りの子供たちとワンコが、一緒になって雪の中で遊んでいる姿。
子どもたちとワンコが雪まみれになって遊ぶ姿を、飼い主の男性が嬉しそうに見ていらしたことがあった。
それから見かけないようになって、たまにどうしているだろうかと思い出すことがあったのだけど、久しぶりに見かけることができた。
ワンコも飼い主さんもお元気でよかったと思った。
あれからずいぶん時間が経ってしまった。
当時の子どもたちは、すっかり大きくなってもう雪の中でワンコと転げ回って遊ぶことはないだろう。
また歳をとったワンコにも、その体力は残っていないだろうと思う。
飼い主の男性もずいぶん歳をとったように見える。
そして私も10年分の歳をとった。
お互いをいたわり合うようにゆっくりと歩くふたりを横目に見ながら、今度会ったらまたワンコを撫ぜさせてもらおうと思う。
名前も知らず、ただ散歩の時に会ってワンコを撫ぜさせてもらっただけの関係だが、久しぶりに見た嬉しさと、ちょっぴり悲しさが入り混じった気持ちになってしまった。
さて話は変わって、やっと春らしくなってきた。自宅の裏庭↓
雪がまだ残っていて、どこが春なんだと思われるでしょうが、木の根元を見ると丸く土が見えている。
これは根開きといって雪国の春を告げる現象。
根開きが始まると、やっと春が来たなと思う。
待ち焦がれていた春。またどこかへ出かけたくなってきた。