ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

木を切ったのは

2016-04-05 16:09:53 | 介護
しばらく行っていなかった父の所へ行って来た。

私が旅行で留守をしていた間、妹が行ってくれたのだが、父の脈拍数が高くなり、さらに血便も出始めたとのことだった。

ただ父は意識もはっきりしていて元気なので、今後の治療については後日、担当の医師からお話を伺うことになった。

さて私が父の所に行くと、父は珍しくベッドに寝ていないという。

じゃあ父はどこにいるのかな~?と探したら、車いすに座ったまま、テーブルに顔を突っ伏して寝ていた。(どおりで父を見つけられなかったわけだ)

職員さんが「娘さんが来てくれましたよ」と言って父を起こしてくれた。

眠っていた父がゆっくりと顔をあげたら、父の顔に赤く手の跡がついていた。

長く寝ていたのだろうか。

とりあえず父の部屋に車いすのまま連れて行って、そこでお話をすることにした。

職員さんからは「最近、ほとんど声を出さなくなったのでお話をさせてください」とお願いされた。

父に向っていろいろな話をしたが、にこにこと笑ってうなづくだけで、やはり職員さんがおっしゃっていたように自ら声を出して話そうとはしなかった。

そこで、父の大好き(だった)な話をすることにした。

それは父の過去の栄光ともいうべき、働いていた頃の話題だった。

すると父は「そうそう、そうだったな」と言って、当時の様子を話し始めた。

思った通り、話に乗って来た父の様子に「やっぱりお父さんは仕事が好きだったんだね~」と思った。

ずいぶん話の内容は変わっていたが、これも認知症の影響だと思えば仕方がない。

ちなみに父は男性の職員さんやお客さんが来ると、たちまちシャキーンと元気になることが多い。

これも働いていた頃の記憶がそうさせているのかもしれない。

父は70代半ばまで現役で働いていたのだが、当時の仕事関係の方は男性が多く、それで男性と話をする時にはしゃっきりするのだろう。
まるで今でも仕事をしているかのように・・・

しかし、やはり確実にいろいろな問題は起きてきている。

今、父はもう自分ひとりでは立ち上がって歩くことができないのだが、なんと夜中にひとりでベッドから降りると這って冷蔵庫まで行き、中に入っているものを食べてしまうのだそうだ。
(食べ物に対する執着がすごいと思う)

父は血糖値が高いので食べ物の制限をしているし、寝ている時には入れ歯を外しているので、食べた物を喉に詰まらせてしまう恐れがある。

そこで、今後はかわいそうだが冷蔵庫には何も入れないことにした。

また歩けなくなって自分でトイレに行くことができなくなったので、今はオムツにしているのだが、夜中に自分でオムツを外してしまうのだとか。

しかし、汚れたオムツを布団の中で外すと悲惨な状態になる。

寝間着も布団も汚物まみれ。

布団は中に汚物が浸み込んで洗濯しても臭いが取れないし、そもそも布団の洗濯が難しい。

そこで今までは羽根布団を使っていたのを、洗濯が簡単な木綿の布団に変えた。

ただ父がオムツを外したくなる気持ちもわかるような気がする。

きっとオムツの中に汚物が溜まるのが気持ち悪いのだろうと思う。

こまめにおむつ交換をしてあげられれば良いのだろうが、夜中は特に人手が少なくなっているので難しいようだ。

夜中はこんな具合に職員さんたちに大変なご迷惑をおかけしているが、昼間、私たち家族と話す父は穏やかで、甘いものも「血糖値が上がるからひとつね」と話すとちゃんとわかってくれる。

ただ、どんどんと変わっていく父を見ていると、やはり一抹のさみしさを感じる。

あんなに昔はしっかりしていたのにとか考えてね。

そうそう、我が家にはもう一人高齢者がいる。88歳のお姑さんだ。

やはり女の方が元気なのか、身体はいたって健康で今もちょっとした料理や裁縫をする。

・・・のだが、やはり認知症の症状はだんだん進んできていると思うことがある。

このところの暖かさで庭の雪はすっかり溶け、先日は庭木の雪囲いを外した。

雪囲いを外したのは私がやったのだが、今日外出から帰ってきたら、お姑さんがやって来て「木をもう切らないでくれる」と私に言った。

その言葉でピンと来た。

お姑さんが言っている木を切ったのは夫で、昨年、夫が何も考えず木を切ってしまった為、いつもは花をつける木が昨年は花をつけなかった。

毎年、花を楽しみにしていたお姑さんはがっかりして、しばらく気落ちしていていたのが昨年のことだった。

そして、お姑さんは何度も夫に「もう切るな」と怒っていたのだった。

冬になり雪で木が見えなくなると、お姑さんは木を切られたことも誰が切ったのかもすっかり忘れていたのだろう。木のことは何も言わなくなったのだが・・・

ところが、春になって姿を現した木を見て「木を切られた、それも最近。切ったのは庭の手入れをする嫁に違いない」と思い出したのだ。

そこで私は「今年は木を切っていませんよ。木を切ったのは○さん(夫の名)で、○さんにはもう切ったらだめだよと言ってあります。だから今年は花が咲くかもしれませんよ」とお姑さんに話した。

お姑さんは「そうかい、てっきりお母さん(私のこと)が切ったのかと思った。すまなかったね」と言った。

これでしばらくは納得してもらえるかもしれないが、またお姑さんはそんなことを忘れて同じことを言い始めるのだろうなぁ~

同居し始めたばかりの頃の私ならば「もう私のせいにしてー!!ぷんぷん」と怒っていただろうが、今はそんなことも面白く思える。

面白いなんて言ってられないのかもしれないが、年を取ると人間いろいろなことをしたり、言ったりするようになるのだなぁ。

私はそうならないぞ~!!

なーんて今は思っているが、わからないですね・・・こればかりは。











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