ミーロの日記

日々の出来事をつれづれなるままに書き綴っています。

正しかった選択に

2016-01-04 15:47:30 | 日記
遠方の大学に通っている長男パインと次女ピーチが帰って来てにぎやかなお正月だった。

さて長男のパインだが、帰省すると必ず会う5人の友人たちがいる。

みんなおむつをしていた頃からの幼馴染で、始まりは私たち母親に連れられて公園で出会った。

母親同士の交流の場だった公園から始まった関係は、その後、親の手を離れてからも子ども同士の友人関係は今も途切れずに続いている。

パインは一浪して大学院に通っているので24歳になった今も大学に通っているのだが、就職した一人とフリーターをしている一人を除いて、パインと同じくまだみんな学生をやっている。

もとはパインと一緒に毎日のように公園で会っていたよく知った子ばかりなので、パインから年に1~2度聞くみんなの近況に私も安心したり心配したりしている。

さて、みんなは元気だったかな?

心配なのは二年前に大学を卒業後、就職せずフリーターをしている子だった。

すこしシャイだが、まじめでとても良い子だ。

スーパーでバイトをしていた時に見かけたが、普段話す時とはうってかわって、大きな声で呼び込みをしたりハキハキとした挨拶をして接客をこなしていた。

接客業に向いていそうだね・・・と話していたのだが、結局就職はしなかった。

聞けば何社も就職試験を受けたのだが、ことごとく落ちたのだそうだ。

シャイな子なので、面接で失敗することが多かったとか。

そうして何社も落ち続けているうちに自分の人格さえも否定されているような気持になって就活をやめてしまったらしい。
今はアルバイトをしているとか。

そんな友人もいれば、希望の会社に就職が決まった友だちもいたそうだ。

就職が決まった彼のことも私は赤ちゃんの頃から知っている。

体は小さかったがとても負けず嫌いの子で、体の大きかったパインとよくおもちゃの取り合いをしていた。

そして負けると、泣きながらパインに向かって行っておもちゃを奪い返そうとしていたっけ。

今や遠くなつかしい思い出だ。

さて彼は大学入試には失敗してしまい二浪している。

第一志望だった国立大に二浪して挑戦したのだが、結局入ることができず第二志望の私立大学へ行った。

「本当は大学院にも行きたかったが、親にずいぶん負担をかけたから4年を卒業したら就職するよ」とパインに話していたそうだ。

その彼がなんと幼い頃から憧れ続けていた会社に入社できることになったそうだ。

その会社とは某大手自動車会社。

自動車が好きであこがれの会社だったので、彼は大変な喜んでいたそうだ。

(そういえばパインとよく取り合ったおもちゃとは、車のおもちゃだった)

「二浪して回り道をしたけど、最後は希望が叶ってよかった」

そう言ってみんなで祝福したそうだ。

希望が叶った子、叶わずに希望とは違う道に進む子、将来がまだ定まらない子、障害物に阻まれて苦しんでいる子など、いろいろな人生を歩んでいるパインの幼馴染たち。

「あいつはいいなぁ。安泰だよなぁ」

そう言って就職が決まった友だちをうらやましがるパインだが、大手に入ったからと言って、映画のようにハッピーエンドで終わるわけではないことをまだ若いパインにはわかっていない。

もちろん自分の希望する道に進めればそれは幸せなことだが、人生はまだまだこれからで途中で様々な大変なことも起こってくるだろうということがまだ実感できていない。

大企業に入ることが幸せなのか、それはひとりひとりが感じるものなので何が幸せなのかはわからない。

そもそも幸せとは他人の評価で決まるものではなく、自分が幸せと感じているかどうかなのだから。

ところで現代社会では「成熟社会型の価値観」を持つ若者が増えているとか。

進学や就職先に大都会・東京は地方の若者にとっては憧れであり大舞台として語られることが多かったが、それがいま様変わりをしつつあるという。

都会より地元志向で、年々地元での進学や就職を希望する若者が増えているのだそうだ。

「経済的豊かさではなく人間関係の豊かさを、出世の高みより身近な満足を求める」若者が増えているそうだ。

幸せは案外身近にあることをいまの若者は本能的に察知しているのかもしれない。

「正しい選択なんてこの世にない。正しかった選択にしていくだけ」とは大学在学中に直木賞をとった朝井リョウさんの言葉だ。










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