バージニア労働者

アメリカで働くってどんな感じ?アメリカの企業で働く統計アナリストの労働ブログ。アメリカ生活小話や猫も登場。

地獄と天国を見た

2011年01月22日 | お仕事
さて、前回の記事ではシステムエラーの内容が思っていたよりも深刻で、
それを修復するために週末の大掛かりなシステムメンテナンスを実行することになったことを述べた。


今日のこの記事はその続編。



時は土曜日、午前4時20分。


猫を飼っている利点はいろいろあるが、
目覚まし時計がいらないという利点もあるんだなと、
覚醒していない頭のなかでぼんやり思った。

お嬢らが『ケイエス、お腹すいたよ』と不平を言い始めたのが4時18分のこと。


彼女らに続いて、私もコーヒーを沸かすべくキッチンに下りてきた。


システムメンテナンスが無事に終わるといいな。


そう願いながら、私は彼女らに朝食を振る舞い、コーヒーを飲み終えると
軽く身支度を始めた。


病気している以外は必ず化粧をするケイエス。

そんな私だったが、今朝はすっぴんで出社しようかと思った。

だって、どうせデータルームには私一人しかいないだろうし、
15分ぐらいでまた家に戻って、それから暖かいベッドにもぐりこんで二度寝を貪ろうと予定していたからだった。

しかし、よく考えるとセキュリティーの前を通過しないとビルに入れない。

すっぴんだと社員証の写真と顔が一致しなくてセキュリティーに止められるかも知れない。

余談だが、以前こちらの軍事基地内の住宅に住んでいたときの話。

私は日本から帰国したばかりで、あまりもの長旅により
薄化粧していたのがほぼ「すっぴん」状態になっていたと思う。

(ちなみにハニバニはそのとき日本に長期出張していたため、私は一人旅)

戻った時間帯も週末の真夜中ということもあり、ゲートのセキュリティーが一層強化されていた時間帯でもあった。

MP(ミリタリーポリス)に身分証明書を見せる。

すると彼はその写真と私のほぼすっぴんの顔を交互に見比べ始めた。

一度や二度ではない。

この人物は本当に写真が示す人物なのか?ということを確認するために
何度も見比べる。

そのときの屈辱感を今でも忘れない。
そして今回またセキュリティーで屈辱を味わうわけにはいかない。

こういう経験ががあったので、
やはり化粧だけはちゃんとして行こうぞ。

(なんか情けないわね)



さて、いつもながらシステムを故意にシャットダウンするのは神経を使う。

もう何年も同じことをやっているにもかかわらず、
いつもこんな感じだ。

やはり白髪が増え始めたのはこういう心労があるからかもしれない。

全てのデータを記憶させるためのシステムテープを挿入し、
いつもどうりにコマンドを入れて15分ほどで家に戻る予定だった。

5分ぐらい経過したところで、
システムからメッセージが送られているのでそれに対応せよというコマンドが現れる。

これに対応するのは慣れている。

今使っている画面をAだとして、そのコマンドに対応するには画面Bに切り替えて対応するのが常なのだが、
私が凍りついたのはまさにその瞬間であった。

画面Bはすでにシャットダウンされている。

当然だ。

すでにシステムダウンは開始されているのだから。

一体どうやってこのメッセージに対応すればいいのだろう。
対応しなければメンテナンスは行われず、午後からやってくるIBMのジムの予定を大いに狂わすことになる。

それは元よりも、

もしかしたら間違ったコマンドを入れてしまって、
こういうことになる予定ではなかったのかもしれない。

画面は既に他のコマンドを打つラインにも行けない、まさにフリーズされた状態だ。

以前同じようなことがあって、コマンドを入れることができたキーがあったはずのような気がしたが
思い出せない。

これは文句なしに一大事だ。

どうしよう。

予定外のハプンングだわ。

やっぱり私は先の見えない真冬で真夜中をさまよっているんだわ。

どうしよう。

これが原因でクビになるかもしれない。

システムメンテナンスで遮断してはいけないサーバーを間違って遮断してしまい、
即クビになった人をたくさん知っている。

どうしよう。

どうしよう。


再びブラックホールに吸いこまれる様な気持ちに陥ってから
30分ぐらい経過しただろうか。

IBMに電話すればいいんじゃん、という思案に至った。

しかしその思いはすぐに消える。

IBMという会社は肝心な人物と交信できるまで、
かけた電話はいろんなオペレーターに転送されて転送されて転送されまくる。

ああ、そうだ。

ジムはもし何かあったらここに電話しなさい、と電話番号をくれたんだった。

しかしたいていその携帯の番号はたいてい会社のオペレーション部に繋がるだけで
本人ではなく他の人に繋がり、そこから何かを経由して彼に繋がる、というのがIBMでは主流だ。

でも溺れるものは藁をもつかむんよ。

祈る気持ちで電話する。

『...ハロー?』

あれ、会社に繋がったんじゃないの?

『ケイエスというものですが、あなたジムじゃないですよね?』

『ああ、おはよう、ケイエス。僕だよ、ジムだよ。どう?うまくいってる?』


この瞬間、
















ハレルヤコーラス大合唱


早朝にもかかわらず電話したことを詫び、事態を説明する。

彼は電話を通じてああして、こうしてと、キビキビ教えてくれて、
いきなり水を得た魚に変身した私は彼の言うとおりに動く。

あ。

彼が言ってくれたそのコマンド。
思い出した、思い出した。
やっぱりそうか。

こういう事態は滅多に起こるわけではないので忘れていたが、方法があったんだ。

安堵に胸を撫で下ろし、これで一安心と思ったら、
画面が全く変わらないことに気がついた。
それをジムに告げて、彼もあのキーを押してなど言っていたが、何も起こらない。

これは本当に困ったことになったぞ。

『じゃね。こうしよう。今からそっち行くから。
画面見ないと僕も思い出せないんだ。方法はあるから。じゃ、後ほどね。』



この瞬間、




















ハレルヤコーラス大合唱再び。


それから30分して彼は到着。
時間外に電話したことを再び詫びて感謝すると、

『こういうことも起こりうるから個人の携帯の電話番号教えといたんだよ。
え?会社に繋がると思った?』


と笑うジム。



あなたは神様ですか?



こうしてジムによって地獄から天国へと引き上げられたケイエス。

それから数時間はジムが丁寧に説明してくれるシステムの話を聞き、

『あと1時間ぐらいでシステムセーブの方は完了するから、
ケイエスはもう家に帰ってコーヒーでも飲んでゆっくりして下さい。』


と言うジムの暖かい言葉に甘えて私は自分の荷物をまとめ始めた。
帰り際にちゃんとお礼を言って、握手をして私はその場を去った。


それから帰宅し、ジムが言ったように1時間ぐらい経ってから、

『たった今、全てが完了しました。もう心配する必要はないですよ。』

と携帯に連絡があった。

うう。なんて有難いんだろう。
そして、私はなんて良い人に縁があるんだろう。


もう祝うしかない。


その日の午後はハニバニが北バージニアにある車のディーラーに行く必要があり、
ついでだからと、いつもの寿司屋に立ち寄った。

もうランチは宴ね。


ここの餃子は皮が薄くてたくさん食べれそう。



天ぷらも揚げたてサクサクでとても美味しい。



ハニバニ大好物のアヒツナのお刺身



私の大好物はアボカドツナロールとサーモン及びハマチ


こアボカドツナロール(実際の名前はSupreme Tunaだって)、とっても美しいんだよ。





大仕事したあとのご馳走は大変満足であった。

もちろんそれから家に帰ってからは夕方までどっぷり本格的昼寝。お疲れ~



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