バージニア労働者

アメリカで働くってどんな感じ?アメリカの企業で働く統計アナリストの労働ブログ。アメリカ生活小話や猫も登場。

元同僚の夢

2014年05月02日 | お仕事


ちょっとここで元同僚の話をしたい。



彼の名前はブライアン。



数年前に同僚だった。



彼は私が前の職場を離れる前に別の部署のアナリストとして仕事が決まり、そこでしばらく数字漬けになっていたが
もともと彼がやりたかった職業への夢が捨てきれず、会社を退職し、警察官になった。


彼の奥さんも同じ会社で働いているので会えば彼がどうしているか話をしていたが、
その奥さんも別のフロアにある職場に移り、それ依頼彼の話を聞くことがなくなった。



そんな彼の訃報を聞いたのは水曜日。



月曜日の朝、トレーニング中にぶっ倒れ、それっきり戻らぬ人となってしまった。



34歳の若さである。



昨日の晩、彼のお通夜があり、デミ嬢と一緒に行ってきた。



さすが警察官だけあって、葬儀場には同僚の警察官で溢れている。



ちょっと前、アメリカの結婚式が日本のそれとは全く違うことをこのブログで書いたが
お通夜もちょっと違う。


日本のお通夜やお葬式は悲しみで包まれているが、
こちらのそれは、故人のために場を華やかにし、故人の一生を祝うような感じがある。


ところどころで笑い声すらこぼれている。


棺は数人の警察官にガードされていたが、わりと参列者が簡単に彼を見ることができるように会場の中心に置かれてあった。
そしてその棺のまわりには生前彼が大切にしていた持ち物や趣味で集めていたものなどが、キレイに飾られていた。



私はアメリカでの生活がもう長く、いろんなお通夜や葬儀に行ったことがあるが
これほど若い遺体を見たことがなかった。



ショックというよりも、今にも警察官の制服に身をまとった彼が『冗談だよ』と言って
へらへら笑いながら起き上がるような気がして、なのに目を閉じたまま、彼が動こうとしないのが腹立たしい。



本当に寝てるみたいだった。



彼の警察官の制服姿はとても似合っていた。



会社勤めしていたころよりも、警察官になりちょっと痩せたブライアンを想像していた私とデミ嬢は
「ブライアン、はっきり言って太ったんじゃない?」と顔を見合わせてくすくす笑った。
彼がそこにいたならきっと一緒になって照れ笑いをしていたと思う。


そういえば棺の周りには彼のティーンネイジ頃の写真も数々置かれていて
私とデミ嬢はその中の一枚の写真に釘付けになった。



二十歳前ぐらいの写真なのか、写真館で撮られたようで
そこにいる彼は会社の誰もが想像できなかったであろう、まるでボーイズバンド(日本でいうジャニーズ系)のように微笑んでいた。



「これって詐欺レベルじゃんか。」とまたもやデミ嬢と笑う。「私らって不謹慎なのかな。」
彼にも一緒に笑って欲しかった。



目を他の場所に移す。



懐かしい靴があった。



一緒に働いていたとき彼が履いていた靴。



彼は大きなボーダーのポロシャツが好きで、その靴をいつも履いていたのだったが
ある日ルイスと私は彼に「ブライアンって実写版チャーリーブラウンなんだよね」と言ったら
「お前たち、ひでーな」と言い、それでも一緒に笑った彼が思い出されて、その瞬間ちょっと動揺した。





ブライアン、あんた本当にいなくなっちゃったんだね。



ブライアンの家族の方々と話する機会があって、奥さんのハイジとブライアンが可愛がっていた
アルマジロの「ジロ」について話した。
彼女はとても気丈にしていて、ジロの話をする時もいろんなジョークをふまえて笑ったりしていたが
顔の憔悴は傍からもはっきりわかる。



彼のご両親とも話をしたんだが、奥さんのハイジも同じ事を言っていた。



『ブライアンはとても幸せだった。夢を追いかけて、夢を掴んで、
その夢の職業「警察官」のまま生涯を終えることができたから。』



私は思う。



私は仕事しながらデスクに突っ伏して逝くなんて嫌だなあ、と。



ブライアンの家族が言うように、彼はある意味本当に幸せで充実した一生を送ったのかもしれない。



だけど早すぎたね。



私とデミ嬢はもう一度ボーイズバンド風の彼の写真を見に行って、そして彼にお別れを言いその場を離れた。



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そしてもう一つ別の別れ。


ブログで少し話をしたことがあるこの彼、覚えているだろうか。








男の子なのに名前が「ミャオミャオ」で、もう一匹の別の猫(茶色猫)が女の子なのに「ブルース」っていう。


最近彼が近所を俳諧するのを見かけなくなって、なんかちょっと胸騒ぎしていたんだけど
ちょっと前に飼い主の息子の友人の男の子に聞くところによると
飼い主が獣医に連れて行ったところミャオミャオはもうすでに腎臓がかなり悪くなっていて
これ以上放っておくと彼に相当の苦痛を与えることになるのでその場で楽にしてあげたらしい。


「彼はいっつも僕の足をパンチしたり噛み付いたりしてくるんですよ。意地悪な猫なんです」
と、ある日オーナーは言っていたが、彼はミャオミャオをとても可愛がっていた。


実は私もハニバニも足をパンチされたことがある。


彼は近所の主みたいな顔して俳諧していたので、
その姿をもう見ることはないのかーって思うとすごく淋しい思いがこみ上げる。




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今月末レポート真っ最中。疲れもマックスです。
GWいいなー。うらやましい!


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いつもありがとう。



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